シーグラム(読み)しーぐらむ(英語表記)The Seagram Co., Ltd.

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

1928年に設立されたカナダの酒造会社。カナダ国内では最大のブロンフマンBronfman財閥が有する企業であり、設立よりブロンフマン家による支配的株式の所有と経営が続いていた。シーグラムは、ウイスキー、ジン、ラム、ブランデー、ウォツカ、リキュール、ビール、ワイン、スピリッツなどの製造と販売を世界150か国以上の地域で展開する世界最大クラスの酒類メーカーであったが、1990年代に入って酒造業からメディア・娯楽事業への転換を急ぎ、2000年フランスのビベンディ社と合併、新会社ビベンディ・ユニバーサルに改組された。

[芦澤成光]

メディア事業への進出

1995年に娯楽大手のユニバーサル・スタジオUniversal Studiosを傘下にもつアメリカの映画会社MCA(ユニバーサル映画)の株式80%を松下電器産業(現パナソニック)から買収したことにより、メディア事業へ参入を果たした。MCAの社名は1996年ユニバーサル・スタジオに改称され、映画、テレビ放送、ホームビデオの制作・配給、音楽ソフトの販売からテーマパークや小売店業務まで展開。1998年にはオランダのレコード会社大手ポリグラムPolyGramを買収して、ユニバーサル傘下の音楽部門と統合したユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)が発足した。娯楽事業の戦略の中核はデジタルメディア事業への進出であり、タイム・ワーナーにも資本参加をしていたが、1998年には全株式を売却し、負債、借入金の返済にあてた。

 娯楽事業への傾斜を強めたシーグラムであったが、巨額の買収費用に対して映画部門ではヒット作に恵まれず収益が上がらなかったため、一転して身売り交渉に入り、2000年メディア事業の拡大を進めるビベンディとの合併に合意するに至った。合併後、酒類部門はイギリスのディアジオDiageo(旧ディスティラーズ)、フランスのペルノ・リカールPernod Ricardに売却された。現在、シーグラムの飲料ブランドは一部だけ残っているが、企業としては存在していない。合併前のシーグラムの総資産高は350億1100万USドル、総売上高は123億1200万USドル、純利益は6億8600万USドル(1999)。なお、世界的な化学メーカーであるデュポン社株式の24.2%を所有してきたが、MCA買収の際に手放している。

[芦澤成光]

日本における事業展開

日本では1972年(昭和47)にビール会社の麒麟麦酒(きりんびーる)と株式所有比率50対50で合弁会社キリン・シーグラムを設立して事業を展開してきた。キリン・シーグラムはシーグラム社の酒類部門売却に伴い、2002年社名をキリンディスティラリーに変更。同時にケンタッキー・バーボン「フォアローゼズ」の全世界での事業権を取得した。

[芦澤成光]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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