別名をオフショア・バースoffshore berthともいい、大型オイルタンカーに対して、水深の比較的大きい沖合いに係留施設をつくり、そこから陸上の貯油タンクまで海底に設置したパイプを通じて石油をポンプ圧送する装置をもつ施設。防波堤を設けずにすむ静穏な海域で、大型船の接岸のために広い水域と所要の水深が得られ、他の船舶の航行に支障のない場所を選ぶことが必要である。
シーバースで用いられる係留施設には2種類あり、係船浮標(ブイ)によるものと、脚柱構造をもつドルフィン・バースdolphin berthによるものとがある。前者による船舶の係留には、浮標のみによる場合と、船舶の錨(いかり)を一部併用する場合とがある。最近では単独の大型浮標にタンカーを係留し、風、波、流れに従って船が浮標を中心に旋回できる一点係留ブイが用いられている。後者は、接岸時の衝撃を受け持つブレスティング・ドルフィンbreasting dolphinと、係留の綱取りに用いるムーアリング・ドルフィンmooring dolphinとで構成され、ブレスティング・ドルフィンは2基、ムーアリング・ドルフィンは2~4基設置されるのが一般的である。施設の中央には油送管と油荷役のための荷役桟橋が設けられる。
[堀口孝男]
沖合に係留施設を設け,陸岸との間を荷役用のパイプラインなどで連結したもの。船は大型にすれば輸送コストは大幅に低減し,運賃負担力の小さい大量輸送の石油類ではとくにこの傾向が大きい。しかし船を大型化すれば喫水も大きくなり,陸岸に近づけるためには航路,泊地を大規模な浚渫(しゆんせつ)工事によって整備しなければならず,これがかえって不経済となる場合にはシーバースが設けられる。シーバースは係留施設の種類によって固定式と浮遊式とに分類される。前者は脚柱の上に係留施設を設けた,ドルフィンdolphinなどの海底に固定する形式のものであり,後者には大型浮標(ブイ)が用いられる。シーバースは防波堤の外側などに設けられることが多く,風や波の影響を受けるので,できるだけ静穏な場所を選び,かつじょうぶな構造物として安全性を高めている。
執筆者:長尾 義三
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