改訂新版 世界大百科事典 「ジャケツイバラ」の意味・わかりやすい解説
ジャケツイバラ
Caesalpinia decapetala(Roth)Alst.var.japonica (Sieb.et Zucc.) Ohashi
山地の河原,川岸,林縁など日当りのよいやや湿地を好むマメ科のつる性低木で,枝に鋭くとがったかぎ形のとげが無数にあり,多数の黄金色の美しい花を長い穂につける。和名は蛇結茨の意で,とげだらけの枝がもつれながら伸びている様子をヘビがからみ合っているように見立てたという。幹は長く伸びて他の樹木をおおうこともあり,枝は赤褐色でよく分枝する。葉は互生し,2回羽状複葉で,羽片は3~8対あり,1枚の羽片に5~10対の偶数個の小葉がつく。羽軸にも多数のかぎ形のとげがある。小葉は長楕円形または倒卵状長楕円形で,先端は円く,長さ1~2cm,裏は淡緑色。5~6月に枝の上部の小枝に長さ15~30cmの総状花序を頂生し,20~40花をつける。花は左右相称で蝶形花とならず,径2.5~3cm,細長い小花柄がある。花弁は5枚で,最上部の1枚は基部に赤い脈が目だつ。おしべは10本で,花から長く伸び出しており,長さ1~1.5cm,花糸の基部に白い綿毛がある。果実は長楕円形,扁平,長さ6~10cm,幅約2.5cm,無毛,上縁に狭い翼が発達する。4~9個の種子を入れる。本州(東北地方中部以南),四国,九州,沖縄に生育し,基本変種var.decapetala(英名Mysore thorn)はアジアの熱帯,亜熱帯に広く分布する。種子は雲実(うんじつ)とよばれ,漢方薬としてマラリアの解熱や下痢を止める効果があるという。
執筆者:大橋 広好
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報