「冗談、戯れ」の意で、「諧謔(かいぎゃく)曲」とも訳される。一般には軽快な三拍子の音楽で、とくに器楽曲の第三楽章(ときには第二楽章)に用いられる。(1)この名称は最初、17世紀のマドリガル風声楽曲に使用された(モンテベルディ作曲『スケルツォ・ムジカーリ』1607、1632)。(2)メヌエットのかわりにスケルツォの名をもつ楽章を用いたのはハイドンが最初で、「ロシア四重奏曲」とよばれる作品33の六曲の弦楽四重奏曲(第37~42番)にみられるが、実質的にはメヌエットである。メヌエットとは異なる様式をもつスケルツォを定着させたのはベートーベンであった。音楽は、中間部にトリオをもつ三部形式で、ユーモラスな性格をもつものが多く、シューベルト、シューマン、ブラームスらによって踏襲された。(3)19世紀には、楽器の音色を楽しむ楽章としても用いられ、メンデルスゾーンの劇音楽『真夏の夜の夢』やベルリオーズの劇的交響曲『ロミオとジュリエット』にその例がみられる。そのほか独立した作品としては、ショパンのピアノ曲(全四曲、すべて速い三拍子)、「ゲーテのバラードによるスケルツォ」の副題をもつデュカースの管弦楽曲『魔法使いの弟子』(1897)などがある。
[関根敏子]
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〈冗談〉〈諧謔〉を意味し,諧謔曲とも呼ばれる。(1)交響曲や弦楽四重奏曲の第3楽章(ときには第2楽章)に用いられ,急速なテンポ,3拍子,激しいリズム,気分の突然の変化などを特色とする。一般に3部分形式で書かれ,中間部はトリオである。この楽章の一形態としてのスケルツォは,ハイドンにおいてメヌエットの代りとして用いられ始め,ベートーベンでしばしば用いられるようになった。(2)ロマン派に好まれた器楽小品の一形態。その代表的な例はショパンの作品20,31,39,54やブラームスの作品4のピアノ曲にみられる。
執筆者:国安 洋
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