ステンシル(読み)すてんしる(その他表記)stencil

翻訳|stencil

デジタル大辞泉 「ステンシル」の意味・読み・例文・類語

ステンシル(stencil)

謄写版用の原紙。また、捺染なっせん印刷で用いる型紙ステンシルペーパー
カッパばん

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精選版 日本国語大辞典 「ステンシル」の意味・読み・例文・類語

ステンシル

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] stencil )
  2. 木版印刷の彩色法の一つ。防水した紙を切り抜いて型紙をつくり、その上から刷毛絵の具を塗りつけるもの。また、その型紙。
    1. [初出の実例]「床はパインナップルのやうなステンシル模様」(出典:小さき室内美術(1926)〈森谷延雄〉はしがき)
  3. ステンシルペーパー」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ステンシル」の意味・わかりやすい解説

ステンシル
すてんしる
stencil

紙や金属板に切り抜いた図柄や文字を刷り出す方法で、版画染織、工業用簡易印刷などに用いられる。合羽摺(かっぱずり)や、透し型による型染めもステンシルの一種であり、とくに日本では、染織の分野で高度な技術が発達した。版画の手段としては、ヨーロッパでは16世紀以来、木版画の簡単な彩色法として、遊戯用カードや民衆版画に使用された例が多いが、補助的な方法にとどまっている。近年、ステンシルを創造的な版画の手法として採用する作家もいるが、同じように平面的な効果をもつリトグラフ、木版、シルクスクリーンに比べると、作例は少ない。刷り方は、型紙を紙や布などの上に置いて、刷毛(はけ)やローラーで直接インキを刷り込むが、インキを吹き付けることもある。シルクスクリーンに型紙を応用した例は多く、この方法ではより細かな表現が可能である。ステンシル法の代表的な作例としては、マチス画集ジャズ』(1947)があげられる。

[八重樫春樹]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ステンシル」の意味・わかりやすい解説

ステンシル
stencil

型染のこと。型紙の模様を切抜いた部分に染料や絵具を摺り込む染色や版画の技法。きわめて初歩的な技法であるが,デザイン,版画およびフランスなどの美術印刷ではいまでも一部でこの方法が用いられている。

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世界大百科事典(旧版)内のステンシルの言及

【版画】より

…古来の東洋の拓本がそれであり,20世紀ではシュルレアリスムが開発したフロッタージュもそれである。これらが原版の凹凸を手にもったタンポンで写しとるのに対して,原版に開けられた孔を通して台材にインキが塗られるステンシル(合羽(かつぱ)版,孔版)は,前述の旧石器時代の手型をはじめとして江戸小紋などの捺染(なつせん)の制作過程にも用いられ,さらに現代ではシルクスクリーンsilkscreen(セリグラフィーserigraphy)にも使われている。 以上の印刷方式はインキとなんらかの圧力とを用いてなされるが,光と薬品とによる化学的処理のみによる技法がある。…

【レタリング】より

…また,歌舞伎の看板に使われる勘亭流(かんていりゆう)や相撲の力士名を表す相撲文字,寄席の題名や芸名を表す寄席文字などの江戸時代に創作されたものを江戸文字といい,これらもフリーハンドレタリングに含めることができる。道路上に書かれる標示文字のうち〈型〉(文字の形にくりぬいた板など)を使って書(描)かれたものの類をステンシルと呼ぶ。同じものを多量に表す場合や,また表面が平らでないときに用いる技法である。…

※「ステンシル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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