ストック(読み)すとっく(英語表記)stock

翻訳|stock

デジタル大辞泉 「ストック」の意味・読み・例文・類語

ストック(stock)

[名](スル)
在庫品。手持ちの品。「ストックが底をつく」
ためておくこと。蓄えておくこと。「食料品をストックする」
牛・鶏・魚の肉や骨、野菜などからとった煮出し汁。スープやソースの材料にする。
株券のこと。「レジャーストック
国富・資本など、ある一時点に存在する経済数量。→フロー2
アブラナ科多年草。高さ0.6~1メートル。長楕円形の葉が互生する。4~5月ごろ、白・桃・紅・紫色などの香りのある花を総状につける。地中海沿岸地方の原産で、観賞用。あらせいとう。 春》

ストック(〈ドイツ〉Stock)

スキーで用いるつえ。
[類語]ステッキ松葉杖つっかい棒ピッケル

ストック(Stok)

インド北部、ラダック連邦直轄領の村。レーの南約15キロメートル、インダス川沿いに位置する。1825年に建てられたラダック王国の旧王宮がある。現在、王族は居住せず、王族ゆかりの品々などを展示する博物館になっている。ストク。

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精選版 日本国語大辞典 「ストック」の意味・読み・例文・類語

ストック

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] stock )
  2. ( ━する ) 資本や商品、材料などを貯えておくこと。また、その在庫。一般に、日用品や食料などの貯えにもいう。
    1. [初出の実例]「トタンのストック約二千トンは」(出典:商品取引の見方‐一般商品編(1925)〈川西正鑑〉)
    2. 「我々は何でも作りますよ。そして、ストックします」(出典:街頭の風(1930)〈北村寿夫〉幸福の跫音)
  3. ( ━する ) 資料、知識などをたくわえておくこと。また、その資料、知識など。
    1. [初出の実例]「彼の家へ行けば〈略〉銀座女給の目星しい連中の写真は全部揃って居るであらう。彼のストックは生きた女給史が出来る位だ」(出典:銀座細見(1931)〈安藤更生〉九)
  4. 植物「あらせいとう」の英語名。
    1. [初出の実例]「ストックを三本計りと、肴は三通り計り見つくろって」(出典:藪の鶯(1888)〈三宅花圃〉八)
  5. 株券。
    1. [初出の実例]「是が即ち欧西に謂ゆるストック、エキスチェンジにて」(出典:東京日日新聞‐明治一一年(1878)九月一九日)

ストック

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Stock ) スキーで用いる、二本ひと組のつえ。先端には、雪の中にめりこまないように輪がついている。登山、トレッキングで用いるつえにもいう。ポール
    1. [初出の実例]「ストックかざして我は翔る」(出典:唱歌・スキーの歌(文部省唱歌)(1932)〈林柳波〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストック」の意味・わかりやすい解説

ストック(アブラナ科)
すとっく
stock
[学] Matthiola incana R.Br.

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の半耐寒性多年草。アラセイトウともいう。通常は一年草として扱う。南ヨーロッパ原産。高さ約60センチメートル。葉は木質化した茎に多数つき、披針(ひしん)形で灰緑色、白毛に覆われる。原種の花は同じくアブラナ科のダイコンに似た紫色の4弁花で、小さく、長い総状に開花する。強い芳香があり、ことに夜、よく香る。未熟な若莢(さや)は細長い棒状で食用に供されるというが、現在は利用されていない。品種改良によりさまざまな形態のものがあり、葉に毛茸(もうじ)のない濃緑色のもの、枝の出ない一本立ちのもの、あるいは矮性(わいせい)種などがある。花色も赤、桃、紫、青、淡黄、白色など、豊富である。花形は大輪の八重咲きも作出され、長い筒状の穂になって開花する。現在よく栽培される八重咲きの系統も八重咲きの株からはまったく種子がとれないので一重咲きの株から採種するが、これを播(ま)くと、一重と八重が半々に出る。八重咲きをつくるには、一重咲きと八重咲きの株では葉の形など小苗のときから微妙な相違があるので、間引きをし、八重咲きの株だけを残して育てる。秋、冬、春を通し、切り花に多く用いられる。栽培はビニルハウスか海岸近くの暖地の露地で行う。苗づくりがむずかしく、冬の寒さにも弱いので、一般家庭で栽培するのはむずかしい。

[伊藤秋夫 2020年11月13日]

文化史

中世までに園芸化された。16世紀末ごろにはイギリスではたいていの庭でみられるようになり、花色の違いがあると、ジェラードJohn Gerardは書き留めている(『The Herball』1597)。1611年には、トラデスカントJohn Tradescantによって八重咲きが記録された。当時のイギリスでは、ストック・ジロ・フラワーstock-gilo-flowerとよばれたが、ジロ・フラワーとはクローブ(丁字(ちょうじ))やクローブカーネーションのことで、それらに似たよい香りがするが、クローブカーネーションより茎(ストックstock)が目だつので、ストックの名が冠せられ、のちに略称されストックになった。日本には江戸時代の寛文(かんぶん)年間(1661~1673)に渡来した(『花壇地錦抄附録(かだんちきんしょうふろく)』1733)。アラセイトウの名は茎葉の白い毛を羅紗(らしゃ)に見立てた羅紗のポルトガル語ラセータraxetaに基づく。

[湯浅浩史 2020年11月13日]



ストック(火成貫入岩体)
すとっく
stock

火成貫入岩体の名称の一つで、岩株(がんしゅ)ともいう。周辺の地層の構造とは不調和で、形態はかなり不規則である。直径10キロメートル以下の小型のもの。中粒ないし粗粒の、中性ないし塩基性岩類(石英閃緑(せんりょく)岩、閃緑岩、斑糲(はんれい)岩など)のものが多く、また花崗(かこう)閃緑岩類のものもある。

矢島敏彦


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改訂新版 世界大百科事典 「ストック」の意味・わかりやすい解説

ストック
(common)stock
gillyflower
Matthiola incana R.Br.

冬の切花として日本の暖地やハウスで多く栽培されるアブラナ科の一年草。和名をアラセイトウという。原産地は地中海北岸地方で,現地では多年草となるが,一般には一年草として栽培される。一重咲きの若い果実が辛みをもっているので,明治のころに香辛野菜として導入されたが,欧米で改良がすすみ,高性大輪で花色も豊富な観賞用品種が数多く作出された。高性1本立の系統はハウスや温室の栽培に,地際で枝を分ける分枝種は暖地の露地栽培に用いられる。北ヨーロッパでは矮性(わいせい)で開花の早いテン・ウィーク系のものが鉢仕立てとされている。花は株によって一重咲きと八重咲きがあり,八重咲きは花弁が20枚前後で,おしべめしべがなくて種子がとれない。一重咲きは花弁が4枚で,自家受粉で結実する。観賞用には八重咲きに価値があるので,幼苗時代に一重か八重かを鑑別して植えつける。発芽の勢いがよく発育旺盛なもの,子葉の形の横径が大きいもの,本葉7~8枚のころ葉縁の欠刻が強く波打つものが八重咲きとなることがわかっている。種子は一重咲きからとれる。冬の切花のためには暖地では8月に種子をまくが,ふつうは10月上旬で,越冬中は凍らないように保護をする。一般にストックの花芽は15℃以下に約4週間遭遇することで分化し,その後は温暖な気温で開花が進む。この原理を応用して長野県下では,高冷地で早まきで育苗したものを低温にあわせ,その後ハウスで保温して10月末には切花として市場に出荷している。ストックの品種は年々改良され,新種の作出も多いが,年末に咲く早生種で大輪種,八重咲き率のよい赤,ピンクなどの品種が望まれている。しかし,ストックにあらわれる花色は青紫,紫,白,クリーム,あんず,ピンクなどがあり,かつては銅褐色の花色さえもあった。
執筆者:



ストック
stock

地球が太陽を1周する時間の1/12を1単位として時間を測っても,月が地球を1周する時間を1単位として時間を測っても,われわれの今保有する現金の量は変わらない。現金保有量のように,時間を測る単位の変更によってもその大きさが変わらない変数をストックと経済学では呼ぶ。したがってストックとは,会計学,簿記において〈残高〉と呼ぶ概念と同じであり,また物理学での位置に対応する概念である。ストックに属する概念は,マクロ的な変数では国富,貨幣供給量,外貨準備高等が代表的であり,ミクロ的な変数では各企業の負債残高,資本金,棚卸資産,固定資産等の貸借対照表の項目や,家計の保有する貨幣量,預金量が代表的なものである。なお,フローという概念がストックと対になっており,フローは時間の尺度のとり方で値が変わる変数をいう。
フロー
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ストック」の意味・わかりやすい解説

ストック
Stock, Alfred

[生]1876.7.16. ダンチヒ(現グダニスク)
[没]1946.8.12. カルルスルーエ
ドイツの化学者。ベルリン大学で化学を学ぶ。卒業後同大学で研究を続けたのち (1900~09) ,ブレスラウ無機化学研究所所長 (09) ,ベルリンのカイザー・ウィルヘルム研究所所長 (16) ,カルルスルーエ化学研究所所長 (26) 。ドイツ化学会会長 (36~38) 。水素化ホウ素,水素化ケイ素類の先駆的研究,そのための超高真空分離法の開発で知られる。また各種研究・教育機関の組織化,拡張に尽力し,ドイツ化学,化学教育の発展に貢献した。

ストック

「アラセイトウ」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディア 「ストック」の意味・わかりやすい解説

ストック

アラセイトウとも。地中海沿岸原産のアブラナ科の草だが,栽培上は一〜二年草として扱われている。茎は葉とともに灰白色を帯び,高さ30〜75cm,総状花序をつける。本来は四弁花だが,重弁花の園芸品種が多く,芳香あり,花色は赤紫・淡紅・白・淡黄等。花序が分枝する系統や,鉢植に向く矮性(わいせい)系統の園芸品種もある。冬の切花用に暖地や温室で夏種子をまくが,春咲は秋まきとする。

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会計用語キーワード辞典 「ストック」の解説

ストック

一時点の残高反対に、一定期間に対する動きを示すのがフローである。

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世界大百科事典(旧版)内のストックの言及

【ネクタイ】より

…クラバットの流行は19世紀初期まで続いた。18世紀初期にはストックstockと呼ばれる衿飾が現れた。これはあらかじめ結び目や蝶結びがつくられていて,帯状の布をシャツの衿に回し,後ろで結ぶかバックル留めにするものであった。…

【ブランデー】より

…これらは特定の産出地域で一定の規格を満たした製品のみに使用が許された呼称で,他のフランス産ブランデーはフレンチブランデーと呼称している。フランス以外のものでは,ドイツのアスバッハ,イタリアのストック,スペインのファンダドール,ギリシアのメタクサなどが日本でもよく知られた銘柄である。このほか,ブドウ酒用の果汁をとったあとの搾りかすを蒸留してつくるかすブランデー,ブドウ酒のおりでつくるリーズブランデー,干しブドウからつくった酒を蒸留するレーズンブランデーなどがある。…

【錨】より

…発達の過程では4本爪(つめ)のものや片爪のものなど種々のものがあったが,現在では特殊用途以外はいずれも2本爪である。 現用の錨は有銲錨(ゆうかんびよう)(ストックアンカー)と無銲錨(ストックレスアンカー)に大別される(図)。錨に要求されるのは海底にしっかりと把持して船をつなぎ留める役割のほかに,上げ下ろしが容易なこと,引き上げた際の収納が容易なことなどである。…

【フロー】より

…フロー変数として代表的なものは,マクロ変数では国民所得,国民総生産,消費,投資,貯蓄等の国民所得勘定の項目,輸出,輸入,経常収支,資本収支等の国際収支表上の項目,ミクロ変数では売上高,費用,経常利益等の損益計算表上の項目,各個人の賃金,所得水準等である。なおフローという概念はストックstockという概念と対になっている。ストックとは時間を計る単位の変更によって値の変わらない変数をいう。…

※「ストック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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