スポーツ仲裁裁判所(読み)スポーツチュウサイサイバンショ(英語表記)Court of Arbitration for Sport

デジタル大辞泉 「スポーツ仲裁裁判所」の意味・読み・例文・類語

スポーツちゅうさい‐さいばんしょ【スポーツ仲裁裁判所】

スポーツに関連する紛争を解決する国際機関。1984年に国際オリンピック委員会IOC)が設立し、1994年に独立機関となった。ドーピング・競技結果の判定・出場資格などの問題仲裁する。本部スイスローザンヌCASキャス(Court of Arbitration for Sport)。
[補説]国内のスポーツに関する紛争を解決する機関として、日本オリンピック委員会JOC)により、平成15年(2003)に日本スポーツ仲裁機構が設立されている。

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共同通信ニュース用語解説 「スポーツ仲裁裁判所」の解説

スポーツ仲裁裁判所(CAS)

ドーピング問題や出場資格の認定などスポーツ関連の紛争解決を目的とした独立仲裁機関。一般の裁判所とは別の機関で、国際オリンピック委員会(IOC)が創設した。本部はスイスのローザンヌ。日本では競泳千葉ちばすずさんが2000年シドニー五輪代表から漏れたことを不服とし、日本水泳連盟提訴した例などがある。国内では03年に日本スポーツ仲裁機構が設立された。(共同)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スポーツ仲裁裁判所」の意味・わかりやすい解説

スポーツ仲裁裁判所
すぽーつちゅうさいさいばんしょ
Court of Arbitration for Sport

スポーツにかかわる紛争を解決する国際機関。ドーピング、国際大会への出場資格、競技結果の判定、チーム移籍の問題などに関連するトラブルや紛争を、スポーツ界の枠組みのなかで解決するために仲裁を行う。略称CAS(キャス)。スポーツ仲裁国際理事会(ICAS:The International Council of Arbitration for Sport)によって運営される一審制の第三者機関である。本部はスイスのローザンヌにある。CASには87か国、およそ300人のスポーツに詳しい法律専門家などが仲裁人として登録され、年間約300件の事案を取り扱っている。1980年代以降、スポーツに関した国際的な争いや、拘束力のある決定を必要とする問題が急速に増加したため、国際オリンピック委員会(IOC)によって1984年に組織され、1994年にIOCから独立した。

 これまで日本のスポーツ選手が提訴したケースはあまり多くはないが、以下のような事例がある。2000年に行われたオリンピック・シドニー大会で、女子競泳の有力選手が日本代表として選出されなかった問題では、CASは選手側の訴えを認めなかったものの、日本水泳連盟に対して選考基準の不明瞭(ふめいりょう)さを問題点として指摘し、訴訟費用の一部負担を命じた。また、サッカーJリーグの選手がドーピング禁止規定違反の処分に対して提訴した際には、2008年(平成20)に選手側の主張を認める判断を下した。さらに、2012年に陸上男子ハンマー投げの選手が違反をしたとしてIOC選手委員選挙での当選を無効とされた問題で、CASは選手と日本オリンピック委員会の提訴を退けたものの、選手の関与はなかったとする裁定を公表したことが話題になった。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スポーツ仲裁裁判所」の意味・わかりやすい解説

スポーツ仲裁裁判所
スポーツちゅうさいさいばんしょ
Court of Arbitration for Sport; CAS

スポーツにかかわる紛争を解決するための独立機関。本部はスイスのローザンヌ。スポーツ組織や競技大会の運営,選手の権利などに詳しい弁護士,判事など法律の専門家で構成する。ドーピング (禁止薬物使用) による処分やオリンピック競技大会への代表選考に関する決定などで,選手が一般法廷に不服申し立てをする事例が増えたため,国際オリンピック委員会 IOCは迅速な裁定ができるよう 1983年にスポーツ仲裁裁判所 CASを設立,翌 1984年に活動を開始した。 1993年これを管理運営する国際スポーツ仲裁評議会 ICASがつくられ,CASは IOCから完全に独立した機関となった。選手側が IOCや国際競技連盟 IF,あるいは国内オリンピック委員会 NOCを訴える事例が多い。被申立人が受理することが審理の条件で,上訴のできない一審制をとっている。オリンピック競技大会期間中は複数の仲裁人が開催都市に待機し,仲裁申し立てが出てから原則 48時間以内に裁定を出す手続きが確立されている。

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知恵蔵 「スポーツ仲裁裁判所」の解説

スポーツ仲裁裁判所

スポーツで発生した紛争を一般社会の公的な裁判所ではなくスポーツ界自身が裁定するために、1984年に国際オリンピック委員会(IOC)によって設立された一審制の第三者機関。ドーピングをめぐる裁定、競技結果の判定、出場資格の認定、などを仲裁、年間200件程度の提訴がある。94年にIOCから独立、スポーツ仲裁裁判所を運営するスポーツ仲裁国際理事会(ICAS:The International Council of Arbitration for Sport)が設立された。仲裁人は世界87カ国、約300人のスポーツ知識のある法律専門家。提訴後は当事者同士が、CASの仲裁を受ける契約を結ぶ。本部はスイスのローザンヌ。日本にも2003年4月に国内のスポーツ紛争を解決する独立機関として、日本スポーツ仲裁機構(JSAA:Japan Sports Arbitration Agency)が設置された。初代機構長は道垣内(どうがうち)正人早稲田大学大学院法務研究科教授。

(高橋義雄 名古屋大学総合保健体育科学センター講師 / 2007年)

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