翻訳|sonic boom
飛行機が音速を超えて飛行するときに発生する衝撃波が,地上に到達して爆発音として聞こえる現象。ときには窓ガラスを割るような破壊力を発揮することもある。飛行機の速度が音速を超えるようになると,飛行機の周囲の圧力変化は飛行機より後方に取り残され,飛行機を頂点とする円錐面に沿ってエネルギーが蓄積されて衝撃波面が形成される(図)。この衝撃波が地上に達すると,ソニックブームになる。衝撃波は機体から遠ざかると急激に減衰するので,小型機が高空を水平に超音速飛行しただけでは,地上に大きな被害をもたらすことはない。しかし急降下飛行中に音速を超えると,飛行方向にあたる地上には大きなソニックブームをもたらすことになる。ソニックブームは通常バンバンと連続音で聞こえるが,これは機首と機尾に衝撃波が発生するからである。飛行機の性能が不十分で急降下しなければ音速を超えられなかった1950年代には,ソニックブームは地上にいる研究者に音速突破成功を知らせる祝砲の役割をしたが,今日では超音速飛行に伴う公害の一種となっている。
→SST →高速気流
執筆者:鳥養 鶴雄
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超音速航空機の衝撃波によっておこされ、地上で感じられる爆発音。超音速(音速の2~5倍の速度)で飛行する航空機の機体各部から生じた衝撃波は、機体から十分に離れた場所では統合されて近似的な円錐(えんすい)状の二つの波面を形成する。このため、地表におけるその波面の通過地点では2回の連続した瞬間的な圧力上昇を生じ、人体には衝撃音(爆発音)として感じられる。この圧力上昇は通常1~2ヘクトパスカル、たとえば飛行高度6100メートルでは14.7キログラム毎平方メートル(近くの雷程度)、1万2200メートルでは4.9キログラム毎平方メートル(遠雷程度)で、数値的にはそれほど大きなものではないが、音としては大きく感じられる。突然爆発音を感じることになるので、人や動物に与える心理的な影響は大きく、強さが大きくなれば窓ガラスの破損など建物にも悪影響を及ぼすようになる。ブームの強さは航空機の飛行高度、マッハ数(飛行速度)、航空機の大きさ、重量などにより変化するため、航空機の形や飛行速度、飛行コースを選択してその影響を除くことができる。
[落合一夫]
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… 超音速で進行する物体では前部の衝撃波によって圧縮された空気が膨張の後,再び後端の衝撃波で圧縮されるので,地面では,反射によって2倍に強められた圧力分布をもつN形のN波が生じ,二つの大きな爆音が聞こえる。これをソニックブームという。物体のマッハ数が大きく(5程度以上)なると衝撃波と物体との傾きが小さく,ほとんど物体面の境界層に近くなるので,境界層との干渉が著しくなり,物体面上の発熱も大きくなる。…
※「ソニックブーム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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