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ソリュートレ文化(ソリュートレぶんか)
Solutré
後期旧石器時代中葉の文化。1866年,ド・フェリーとアドリアン・アルスランがフランス,ソーヌ・エ・ロワール県のソリュートレのクロ・デュ・シャルニェ遺跡で発見した文化。断崖直下にあるこの遺跡は,下層にオーリニャック文化層,上層にソリュートレ文化層を含んでいた。ソリュートレ文化層からは,押圧剥離(おうあつはくり)による月桂樹葉形石槍,あるいは側抉(そっけつ)石槍,ポイント(尖頭器),ビュラン(刻刀)などが発見され,マンモス,熊,トナカイを伴う。この種の文化の分布は,フランス南西部および北スペイン,ドイツ南東部,オーストリア,ポーランド,ハンガリーなどにわたって知られている。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
ソリュートレ文化
ソリュートレぶんか
Solutré culture
西ヨーロッパ,特に南西ヨーロッパにみられる後期旧石器時代中葉の文化。それ以前の広義のオーリニャック文化,このあとに続くマドレーヌ文化と大きく異なり,押圧剥離を施した石槍が特徴的。前期では片面加工の石槍,中期では月桂樹葉形の石槍,後期では有肩の石槍などである。それとともにすぐれた石刃剥離技術をもっていることでも著名である。これがどのような形でフランスを中心とする南西ヨーロッパに出現したかは現在では明らかではない。故地を北アフリカもしくは中央ヨーロッパに求める考え方もあるが,なお定説にはなっていない。
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世界大百科事典 第2版
「ソリュートレ文化」の意味・わかりやすい解説
ソリュートレぶんか【ソリュートレ文化】
フランスのソリュートレSolutré遺跡を標準遺跡とする後期旧石器時代文化。2万年前頃の気候が温暖化しつつあった時期に始まり,温暖湿潤のラスコー休氷期(1万7000年前頃)まで続いた。その分布の中心はロアール川からピレネー山脈の間で,ローヌ川以西にあるが,スペインを含め,その周辺地域にも認められる。起源および文化浸透の問題をめぐり,石器製作技術の面からウクライナのコスチョンキ遺跡群,ハンガリーのセレタ文化,北アフリカのアテル文化と,おのおのの遺物が対比された。
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「ソリュートレ文化」の意味・わかりやすい解説
ソリュートレ文化【ソリュートレぶんか】
フランスのソリュートレ遺跡を代表とする後期旧石器時代文化。フランス,スペインを中心に分布。押圧剥離(はくり)による石刃技法が特色。ゲッケイジュ葉形,柳葉形の尖頭器・骨角製の長い槍先,石錐(せきすい)がある。
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