タウリン

デジタル大辞泉 「タウリン」の意味・読み・例文・類語

タウリン(taurine)

アミノ酸の一種。牛の胆汁や魚などに多く含まれ、血中コレステロールを下げる。

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食の医学館 「タウリン」の解説

タウリン

魚介類に多く含まれる物質で、アミノ酸の一種です。血圧やコレステロールの低下、心臓の機能強化など、身体各部の機能を高める作用があり、スタミナドリンクの有効成分としてご存じの人も多いでしょう。
 タウリンには多くの働きがありますが、よく知られるのが高血圧の改善作用。交感神経の働きを抑制することで、血圧の上昇を抑制する効果を発揮するのです。この働きによってタウリンは、塩分のとりすぎからくる高血圧はもとより、動脈硬化(どうみゃくこうか)脳卒中(のうそっちゅう)などの予防にも役立ちます。
 また、心筋の収縮力を高めて、心臓からでていく血液の量をふやす働きもあるので、うっ血性心不全(けつせいしんふぜん)の治療薬としても利用されています。
 このほか、胆汁酸(たんじゅうさん)の分泌量(ぶんぴつりょう)を増加させる働きにより、コレステロールの排出をうながして胆石(たんせき)の生成を予防する、小腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)をうながして腸内細菌の異常繁殖を防ぐ、などの効果を発揮。さらに、気管の収縮を抑えて、気管支炎(きかんしえん)やぜんそくの予防改善にも効果があるといわれています。
 タウリンは体の中でも合成されますがその量は少ないため、食品から積極的に摂取するのがポイント。タウリンが豊富な食品は魚介類ですが、なかでも貝類やイカ、タコ、魚の血合いに多く含まれています。逆に、牛、豚、鶏といった肉類にはわずかしか含まれていません。
 魚の消費量が高い地域で、高血圧や血管障害の発症率が低いのは、魚介類に含まれるDHA、IPAの作用だけでなく、タウリンも一役買っているといえます。
 高血圧の改善効果を望むなら、食物繊維といっしょにとるのがおすすめ。野菜やキノコ海藻類と組み合わせるといいでしょう。

出典 小学館食の医学館について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タウリン」の意味・わかりやすい解説

タウリン
たうりん
taurine

アミドスルホン酸の一つで、アミノエタンスルホン酸をいう。単斜柱状晶で、熱水に溶け、アルコールに不溶。天然には広く動植物中に存在する。ことにウシの胆汁中に多く存在し、胆汁の加水分解により得られる。合成化学的には2-クロロエタンスルホン酸あるいは2-ヒドロキシエタンスルホン酸とアンモニアとの反応により製造される。アンモニアのかわりに種々のアミン類を用いれば、N-置換タウリンを得ることができる。N-置換タウリンと高級脂肪酸とのアミドは界面活性を有し、合成浸透剤として用いられる。この種の代表に、N-メチルタウリンとオレイン酸とのアミドであるN-メチルオレイルタウリンナトリウム塩はイゲポンT(ドイツのイー・ゲー・ファルベン社の商品名)とよばれる。またN-置換タウリンは染料合成用中間体としても用いられる。

[飛田満彦]



タウリン(データノート)
たうりんでーたのーと

タウリン
  H2NCH2CH2SO3H
 分子式 C2H7NO3S
 分子量 125.1
 融点  328℃(分解)
 沸点  ―

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「タウリン」の解説

タウリン
タウリン
taurine

2-aminoethanesulfonic acid.C2H7NO3S(125.15).NH2CH2CH2SO3H.生物界,とくに軟体動物肉エキス中に遊離の形で広く分布しており,またコール酸と結合して胆汁中にタウロコール酸として存在している.生体内ではシステインから生合成され,化学的にはエテンやニトロエテンから容易に合成される.単斜晶系プリズム状結晶.分解点約300 ℃.pK1 1.5,pK2 8.74.水に易溶,有機溶媒に不溶.胆汁の分泌や脂肪の吸収をよくし,制汗作用がある.高級脂肪酸とのアミドは浸透剤として用いる.LD50 > 64 mg/kg(マウス,腹腔内).[CAS 107-35-7]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「タウリン」の解説

タウリン【taurine】

アミノ酸の一種で、非必須アミノ酸。アミノ酸ではあるが、たんぱくを構成する成分ではなく、胆汁酸と結合することで抱合胆汁酸を形成し、胆汁酸の分泌や脂肪の消化・吸収をよくする物質。魚肉の血合い部分や貝類に特に多く含まれる。血圧やコレステロール値の低下や、心臓の機能強化に効果を発揮するほか、肝細胞の再生促進作用、細胞膜安定化作用、糖尿病の改善・予防などに効果が期待できる。◇「アミノエタンスルホン酸」とも呼ぶ。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

百科事典マイペディア 「タウリン」の意味・わかりやすい解説

タウリン

化学式はH2NCH2CH2SO3H。2−アミノエタンスルホン酸。アミノ酸とよく似た両性電解質で,動植物の体内に広く見出され,軟体動物の肉エキスには大量に存在する。脊椎動物では抱合胆汁酸(タウロコール酸)のかたちで肝臓に存在するほか,神経伝達物質としても働くとされる。アミノ酸の一種システインの主要代謝産物でもあり,ヒトの尿中には1日約200mgが排出される。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

栄養・生化学辞典 「タウリン」の解説

タウリン

 C2H7NO3S (mw125.15).H2NCH2CH2SO3H.アミノ酸の一種であるが,酸が通常のカルボン酸ではなく,スルホン酸.システインから体内で合成される.胆汁中にコール酸と結合してタウロコール酸の形で存在する.イカ,タコの筋肉に含まれる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タウリン」の意味・わかりやすい解説

タウリン
taurine

化学式 NH2CH2CH2SO3H 。分解点約 300℃,柱状晶。水に溶けやすく,エチルアルコールに不溶。イカ,カキなどの軟体動物の組織に遊離で存在するほか,種々の動物から見出されている。胆汁酸と結合したタウロコール酸は肉食獣の胆汁の主成分。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

農林水産関係用語集 「タウリン」の解説

タウリン

貝類、いか、たこ、いわしなど水産生物に豊富に含まれる含硫アミノ酸で、高等動物ではコレステロールとともに脂質の吸収に必要なタウロコール酸などの胆汁酸の原料となる。生理作用として、血中コレステロール上昇抑制効果や、血圧低下作用が知られている。

出典 農林水産省農林水産関係用語集について 情報

デジタル大辞泉プラス 「タウリン」の解説

タウリン

アミノエチルスルホン酸の別名。胆汁分泌促進、滋養強壮などの作用があり、栄養剤などに使用される。

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