モリエールの代表作の一つ。五幕韻文喜劇。1664年ベルサイユ宮大饗宴の折,ルイ14世の前で初演されたが,宗教的偽善を告発する大胆な内容ゆえに公開を禁止され,曲折を経た後,69年に解禁となった。初演物の正確な内容は今日なお不明である。偽善者タルチュフを聖人と錯覚した金持のオルゴンは,家族の反対を無視して全財産を彼に譲る手続をとる。タルチュフが自分の妻を口説く姿を見せられようやく目が覚めるが,彼を追い出すどころか逆に謀反人と訴えられ逮捕の危機が迫る。結局,国王の裁断でタルチュフが罰せられ,オルゴンは救われる。当時の社会を毒していた偽善者がブルジョアの家庭を破壊してゆく恐怖を描いたもので,18世紀に栄える町民劇の先駆とも言えるが,現代の眼で眺めると,終幕のどんでん返しは,国立民衆劇場(TNP)のプランションが言うように,これを政治劇と定義することも十分可能であろう。
執筆者:鈴木 康司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
フランスの劇作家モリエールの戯曲。五幕韻文喜劇。副題は「ぺてん師」、1664年初演。パリの町人オルゴンはえたいの知れぬにせ信者タルチュフにのぼせあがり、彼を家に招じ入れ信仰の鑑(かがみ)として手厚くもてなし、ほかに恋人のいる娘を彼と結婚させようとする。しかしタルチュフは同時にオルゴンの若い後妻エルミールをくどくという鉄面皮ぶりを発揮する。エルミールのたくらみによってにせ信者の正体は暴露される。と、彼は居直って一家の財産をのっとり、かつオルゴンの託した秘密文書を盾にとりオルゴンを告発する。しかし国王の内命を受けていた警吏はあべこべにタルチュフを逮捕し、オルゴン一家は危ういところを救われる。信仰の問題を取り上げたこの作品は、当時の社会に根強い力をもつ教会側の忌諱(きき)に触れ、上演禁止処分をも被っている。
[井村順一]
『鈴木力衛訳『タルチュフ』(岩波文庫)』
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