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タルド Tarde, (Jean-) Gabriel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

タルド
Tarde, (Jean-) Gabriel

[生]1843.3.12. ドルドーニュ,サルラ
[没]1904.5.13. パリ
フランスの社会学者。法律を学び,郷里で裁判官となり,1894年司法省司法統計局長を経て,1900年コレージュ・ド・フランスの近代哲学の教授に就任。生物学的社会学に対し,心理学的社会学を主張した。社会的な現象を心と心との間の関係としてとらえ,その本質を模倣にあるとみた。この心理学的立場は,のちの心理学的社会学の隆盛をもたらす契機となった。また,現代社会は公衆 publicの時代とみなし,新聞のもつ力の大きさを示唆したことでも先駆的学者といえる。主著『模倣の法則』 Les lois de l'imitation (1890) ,『社会的論理』 La logique sociale (93) ,『普遍的対立』L'opposition universelle (97) ,『世論と群衆』L'opinion et la foule (1901) など。

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デジタル大辞泉の解説

タルド(Jean Gabriel de Tarde)

[1843~1904]フランスの社会学者・犯罪学者。社会の成立を、心理的な個人間の模倣によるとし、デュルケームの社会実在論と対立。また、群集に対する公衆の概念を明確にした。著「模倣の法則」「世論と群集」など。

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百科事典マイペディアの解説

タルド

フランスの社会学者,社会心理学者。1890年《模倣の法則》を発表し,個人を超越した社会的実在を認めるデュルケームに対して,一切の社会は個人間の暗示・模倣関係の網の目から成り立つことを説き,心理学的社会学の樹立に貢献,米国の社会学に大きな影響を与えた。
→関連項目公衆

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世界大百科事典 第2版の解説

タルド【Jean‐Gabriel de Tarde】

1843‐1904
フランスの社会学者,社会心理学者。名門地方貴族の子としてドルドーニュ県サルラで生まれた。大学で法律を学んだのち,早世した父と同じく裁判官の道を選び,1867年サルラ裁判所に奉職した。80年ころから,イタリアのC.ロンブローゾの犯罪学に関心をもつ。しかしその理論に飽きたらず,犯罪の発生原因を環境にみる独自の犯罪学の著作を刊行した。90年には〈社会学的研究〉という副題をもつ大著《模倣の法則》を発表し,当時の新興科学だった社会学の領域で注目された。

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大辞林 第三版の解説

タルド【Jean-Gabriel de Tarde】

1843~1904) フランスの社会学者。社会の成立を成員間の相互の模倣に求め、デュルケームの社会実在論に反対。また、ル=ボンを批判し、群集に対する「公衆」の概念を提唱。著「模倣の法則」「世論と群集」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

タルド
たるど
Jean Gabriel Tarde
(1843―1904)

フランスの犯罪学者、社会学者。トゥールーズ法科大学卒業後、長年司法官の職にあり、1894年司法省犯罪統計局長となる。その間に、『比較刑事学』(1886)、『刑事哲学』(1890)、『犯罪研究と社会』(1892)などの著作を著した。1900年からはコレージュ・ド・フランスの現代哲学の教授。イタリアの犯罪学、とくにロンブローゾの犯罪学を批判し、犯罪の原因を社会的なものとする説を支持した。しかし、同時に、犯罪の性質にかかわりなく、犯罪の責任は犯罪者のパーソナリティーに帰せられることも主張した。こうした見解が、後の社会学的研究に連なった。
 ヘーゲルの影響も受けていたが、とくにクールノーの影響を受けつつ、デュルケームの社会学に対立し、スペンサーの進化論を拒否し、心理学的社会学の研究に関心を注いでいった。『模倣の法則』(1890)は、彼の立場を明らかにした、もっとも有名な著作である。クールノーの影響のもと、発明を偶然性の発現とし、また、進歩、発展の基点として重視した。しかし、にもかかわらず、社会の成立はなによりも類似に、模倣に求められなければならない、発明も模倣によってのみ社会化されるとした。タルドの「社会」は模倣によって成立するのである。こうして彼の社会学は模倣という心理的なものに帰着する。だが、それは心理学の延長にあるものではなかった。社会的なものは心理的なものに基づいているが、両者は次元を異にし、社会現象は意識体と意識体との間に生起するというのである。『世論と群集』(1901)では、群集と区別される「公衆」の概念を明らかにした。彼には人類の未来に託したいものがあった。死後刊行された『未来史の断片』(1905)には強制から解放された一つのユートピア物語が描かれている。ほかに『社会法則』(1898)などがある。[佐藤 毅]
『風早八十二訳『模倣の法則』(1924・而立社/2008・日本図書センター) ▽小林珍雄訳『社会法則』(1943・創元社) ▽稲葉三千男訳『世論と群集』(1958/新装版・1989・未来社) ▽村澤真保呂・信友建志訳『社会法則/モナド論と社会学』(2008・河出書房新社)』

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世界大百科事典内のタルドの言及

【群集】より

…ただし,群集についての理論を最初に展開したとされる19世紀フランスの心理学者ル・ボンGustave Le Bonは,しばしば指摘されるように貴族主義の立場から群集,とりわけ革命群集を断罪した。ル・ボンに異を唱えた同時代のフランスの社会心理学者タルドGabriel Tardeの群集観も,この点では同じで,情緒的,非合理的,残虐,付和雷同的など,群集の劣性を両者とも強調している。たしかに群集は非日常状況のもとにいるから,日常の規範,行動パターンから逸脱しやすい。…

【公衆】より

…メディアを用いたコミュニケーションで結ばれている人間集団。ル・ボンが〈現代は群集の時代だ〉と否定的に規定したのに対し,タルドが〈現代は公衆の時代だ〉と反論し,公衆を社会学,社会心理学の用語にした。タルドにおける公衆のイメージは〈拡散した群集〉であり,したがってタルドは公衆にも,群集についてと同様,情緒的・非合理的・付和雷同的などのレッテルをはっている。…

※「タルド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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