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ダヤク

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百科事典マイペディアの解説

ダヤク

ボルネオに居住する大部分の住民の総称。カヤン,クニャー,ガジュ,陸ダヤク,海ダヤク(イバン)などに大別される。ダヤク語はインドネシア語派系。焼畑による陸稲栽培を主とし,漁労,狩猟も行う。
→関連項目クチンボルネオ[島]マレーシア

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ダヤク
だやく
Dayak

ボルネオ島先住民はこの500年程のなかで徐々に、イスラム化するとともにマレー系言語・文化を受容し、マレー人を名のるようになってきたが、ダヤクとはマレー人化していない先住諸民族の総称である。総人口は全島民の4分の1に相当する約300万人と推定される(以下、人口はすべて1992年の推定)。言語的・文化的に多様な民族集団が認められるが、いずれの言語も西オーストロネシア諸語に属し、人種的にも例外なくプロト・マレー(原マレー人)に分類される。
 ダヤクは採集狩猟民(プナンと総称して、これをダヤクに含めない定義もある)と農耕民とに大別される。農耕諸民族の多くに共通する生活様式の特徴は以下の六つのようである。(1)焼畑陸稲耕作。(2)ロングハウス(高床式長屋)からなる村落が内陸部河川沿いに点在すること。(3)ロングハウスは生産・消費の単位である直系家族の居住アパートメントが連なったものであり、村民はテリトリーを共有するが、共働して食を分かち合うわけではないこと。(4)血縁は父方母方どちらにもたどること。(5)今日ではキリスト教徒が多数派であり、他方ではイスラム化した民族もみられるが、霊魂観念を前提とした伝統的諸行為(農耕儀礼、鳥占い、夢占い、シャーマンによる病気治療、葬送儀礼など)が遂行または記憶されていること。(6)20世紀初頭まで豊穣(ほうじょう)や武勇の獲得を意味する首狩りが行われていたこと、などである。
 以下、一貫性のある分類ではないが、人類学者V・キングが居住地域・言語系統・世襲階層意識等の文化的特徴・民族間関係史などを基準に、ダヤクの農耕諸民族について試みた区分を、若干の補足をつけて紹介しておこう。
(A)主としてサバ州各地に住み、フィリピン諸言語と近縁なイダハン語系の民族群。人口約40万人。世襲階層意識は概して弱く、一部には灌漑(かんがい)稲作、水牛利用、巨石文化、甕(かめ)棺葬、首級の保管堂がみられる。民族例としては、かつてドゥスンと総称されていたカダザン、ルングス、ラナウ、タンブナンのほか、イダハン、ムルット諸民族(ティムゴン、タガルなど)、ティドン、ブルスなど。
(B)主として島中央部各地に住む、カヤンおよびカヤン的文化特徴を受容した諸民族。後者にはクニャー系諸民族(ルポタウ、バダン、スボプなど)、カジャン系諸民族(クジャマン、スカパン、ラハナン、ムラナウ、プナンバー、ブラワンなど)、マロー系諸民族(エンバロー、タマン、カリス)、そして、やや北に外れてサバ、サラワク、東カリマンタン3州の境界地域近辺に住むクラビット系諸民族(ルンダイェー、ルンバワンなど)がいる。人口約23万人。サラワク州では以上の人々を採集狩猟民プナンとあわせてオラン・ウル(上流の人々という意のマレー語)と総称することが多い。言語系統からすると強いまとまりはないが、かつて一部地域に住んでいたカヤンが各地に大規模移住し覇権を確立したことにより、カヤン旧来の焼畑陸稲耕作、世襲階層意識、堅牢(けんろう)なロングハウス村落といった文化特徴が、程度差はあれ、これらの民族の間に広まったと推測される。とりわけクニャー系、カジャン系はカヤンと近接して住み、首長階層間の通婚によって連帯を強めつつ、地域政治的にもカヤンを盟主と認めてきており、地域共通語もカヤン語となっている。カジャン系は言語系統のほか、二次葬の存在とサゴヤシ農耕への依存度の高さにおいて、他と区別される。なおムラナウはかつてサラワク州西岸に移住し、サゴを商品作物化した人々であり、今日マレー人化が進行している。マロー系は言語的にスラウェシ島南部と近縁性が強いという点で特異であり、クラビット系は言語系統のまとまりに加え、一部にみられる灌漑稲作と水牛利用、巨石文化において特異である。
(C)主としてサラワク州広域の河川中流域に住むイバン(人口はダヤク諸民族中最大で、50万人強)および西カリマンタン州に住むイバン系諸民族(カントゥ、スブルワン、ブガウ、ムワラン、デサなど、人口10万人)。言語的には古マレー語系のなかに位置づけられる。上述のカヤンその他の民族群とは対照的に、威信の世襲的継承を認めず、男性各人の能力に基づいた武勇や富をめぐる威信競争が盛んであり、かつては武勇や富と象徴的に結び付く首級を求めて首狩り軍団が頻繁に結成された。焼畑地に原生林を好む傾向とも相まって、過去数世紀のうちに急速にその領域を広げた。村落集団の成員を固定化する掟(おきて)がほぼ皆無であり、移動性のきわめて高い人々である。
(D)サラワク州南西部から西カリマンタン州西部にかけて住むビダユー諸民族。人口24万人。言語的に他の民族群から大きな異なりをみせる人々だが、内部的同質性はさほど大きくない。世襲階層意識は概して弱く、各村には首級の保管堂がある。
(E)主として西カリマンタン州に住み、イバンとは文化的に異なるが、言語的には同じく古マレー語系とされる諸民族。世襲階層意識は概して弱い。スラコ、バナナ、クンダヤンその他多数の民族集団がおり、人口は50万人を超える。
(F)主として中カリマンタン州に住むバリト語系の諸民族。人口35万人で、世襲階層意識を比較的強くもつ。このうちンガジュ系諸民族(カハヤン、カティンガンなど)は河川中流域に住んで人口多数を占めており、カハヤン方言は中カリマンタン州全域で共通語になっている。村落はロングハウス形式をとらない。オット・ダヌム系諸民族は河川上流域のロングハウス村落に住む。このほか、中・南・東カリマンタンの州境近辺にはマアニャンやルワンガン諸民族らが住む。バリト語系諸民族の多くに共通する文化特徴としては、二次葬があげられ、その際火葬を行う民族もいる。[津上 誠]

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