チョウジソウ(その他表記)Amsonia elliptica Roem.et Schult.

改訂新版 世界大百科事典 「チョウジソウ」の意味・わかりやすい解説

チョウジソウ
Amsonia elliptica Roem.et Schult.

キョウチクトウ科多年草で,本州中部以北,北海道の原野湿潤地に野生する。草丈は60~80cm,帯紫黒色の茎を直立させ,披針形全縁の葉を互生する。5~6月ごろに,茎上に藍紫色丁字形の高盆状花を集散花序をなして多数咲かせ,美しい。チョウジソウの名も,その丁字形に見える花形にもとづいている。花用として栽培されることがあり,この属の北アメリカ原産のホソバチョウジソウA.angustifolia Michx.やヤナギバチョウジソウA.tabernaemontana Walt.なども園芸植物として栽植される。地下茎を出して殖えるので,春または秋に株分けによって殖やす。性質は強く栽培は容易であるが,半陰地で湿り気の多い所でよく育ち,乾燥地にはむかない。北アメリカ産の種は庭園用の宿根草として扱われるが,日本産のチョウジソウはもっぱら切花用として栽培される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョウジソウ」の意味・わかりやすい解説

チョウジソウ
ちょうじそう / 丁子草
丁字草
[学] Amsonia elliptica (Thunb.) Roem. et Schult.

キョウチクトウ科(APG分類:キョウチクトウ科)の多年草。茎は直立し、高さ40~80センチメートル。葉は披針(ひしん)形で普通は互生するが、対生するものもある。初夏茎頂に十数個の青紫色花を集散状につける。花は高坏(たかつき)状で細い筒の先が5裂し、径約1.3センチメートル。果実は円柱状の袋果(たいか)で多くは角(つの)状に2本に分かれ、長さ約5センチメートル。北海道、本州、九州のやや湿った草地に生え、朝鮮半島中国に分布する。名は、花形が香料植物のチョウジに似ることによる。

山崎 敬 2021年6月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チョウジソウ」の意味・わかりやすい解説

チョウジソウ(丁子草)
チョウジソウ
Amsonia elliptica

キョウチクトウ科の多年草。日本全域,朝鮮半島,中国の温帯から暖帯に分布し,川岸などの草原に生える。茎は直立して高さ 30~80cmとなり,長さ6~10cmの長楕円形の葉が多数互生する。春から初夏にかけて,茎頂に集散花序をなして濃紫色の花を多数つける。花は長さ7~8mmの花筒があり,上部は5裂して平開し,径 1cmあまりとなる。果実は袋果で,ふたまたに分れた莢状になる。和名は花の形が香料にするチョウジに似ていることによる。

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百科事典マイペディア 「チョウジソウ」の意味・わかりやすい解説

チョウジソウ

本州,九州,朝鮮,中国の川岸の草原にはえるキョウチクトウ科の多年草。茎は高さ40〜80cmで直立し,多数の披針形の葉を互生または一部対生する。花は枝頂にやや多数つき,花冠は青色で径約13mm。上半は5裂し,下半は細い筒となる。5〜6月,開花。

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