ツツジ(英語表記)Rhododendron

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ツツジ
Rhododendron

ツツジ科のツツジ属の総称。シャクナゲ類とツツジ類の2つに大別され,一般にツツジという場合は後者をさす。日本や中国に多くの種類があり,大部分は落葉低木であるが,常緑のものもある。幹はよく分枝し,葉は互生する。花は普通前年の枝の先につき,花冠は漏斗状で5裂し,放射相称であるが,多少ゆがんで左右相称になる。おしべは5本または 10本で,葯 (やく) は先端に孔があって花粉を出す。花糸および花柱は細長く,ともに花冠より突き出る。4~8室から成る上位子房はのちに 蒴果を結ぶ。種類数が多く,庭園の花木として広く世界的に栽培され,多数の園芸品種も育成されている。おもな野生種には,ヤマツツジ (山躑躅) モチツツジミツバツツジ (三葉躑躅) レンゲツツジ (蓮華躑躅) などがある。

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百科事典マイペディアの解説

ツツジ

ツツジ科ツツジ属の低木〜小高木。常緑のものと落葉のものがあり,花の大きさ,色はさまざまで,世界に約850種,日本に40〜50種が自生する。花の美しいものが多く,古くから栽培され,また多くの栽培品種がつくられている。分類のむずかしいグループで,円形鱗状毛の有無,花芽の位置,数,花芽の中の花の数,混芽の有無などによって分類されるが,例外も多い。日本の野生種はふつう次の9群に分けられる。1.芽の中で葉が内巻きにたたまれ,枝や葉に円形鱗状毛があるもの。これには常緑で,花芽が1個頂生し2個以上の花が開くヒカゲツツジ群と,落葉で花芽が1〜4個頂生し,それぞれが1花を開くゲンカイツツジ群がある。2.芽の中で葉が外巻きにたたまれ,若枝や葉に円形鱗状毛のないもの。これに7群がある。花芽が1〜数個側生するのがバイカツツジ群。花芽が枝端に頂生するものでは,a.花が頂生の花芽に生ずるものと,b.花が頂生の混芽中に葉とともに生ずるものがある。aには葉が革質で常緑のシャクナゲ群,葉が薄く落葉性で,花冠が筒状,放射相称のオオバツツジ群と,花冠が漏斗(ろうと)状で広く開き,左右相称のレンゲツツジ群がある。bには葉が春に出て冬を越さず,3〜5個やや輪生するミツバツツジ群と,葉が春と秋に出て,秋葉が冬を越し,幅の広い毛のあるヤマツツジ群がある。以上は花序が散形,散房状をなすが,総状花序をなすものにエゾツツジ群がある。しかしこれは他の性質も多少違うので別属とする説もある。 以上は広義のツツジであるが,シャクナゲ群は別に扱われることが多く,また庭などに植えられる狭義のツツジはほとんどがヤマツツジ群で,ヤマツツジ,キリシマツツジ,ミヤマキリシマサツキ,コメツツジ,モチツツジ,キシツツジなどがある。園芸品種もクルメツツジ,オオムラサキ,シロリュウキュウツツジ,ムラサキリュウキュウツツジ,セキデラなど500種以上といわれるが,特にサツキとミヤマキリシマからは多くの品種が作られている。花期が1ヵ月ほど遅いサツキは園芸的に区別して扱われることも多い。またアザレアは外国種として著名。なおツツジ類の材は緻密(ちみつ)で細工物などにもされる。
→関連項目合弁花両神山

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ツツジ
つつじ / 躑躅
[学]Azalea

ツツジ科ツツジ属Rhododendronのうち、シャクナゲ類を除いた半常緑性または落葉性のものの総称。主として北半球に分布し、マレーシア、オーストラリアにもある。日本には山野に多数の種類が野生しており、また、多くの園芸品種とともに広く観賞のために栽培されている。一般には株立ち状の低木が多いが、小高木となり、小枝をよく分けるものもある。花冠は漏斗(ろうと)形で5裂するものが多く、まれに筒状のものもある。花色は白、淡紅、紅、赤、紫色など変化に富む。雄しべは5本または10本であるが、数の不定のものもある。花糸は細長く、花筒から出て、葯(やく)は先端にある小孔から花粉を出す。子房は上位で花柱は細長い。果実は(さくか)
 日本の山野に分布するおもな野生種としては、ヤマツツジ亜属のヤマツツジ、モチツツジ、キシツツジ、ケラマツツジ、サツキ、ミヤマキリシマ、ウンゼンツツジ、コメツツジ、そして、レンゲツツジ、アケボノツツジ、ムラサキヤシオツツジ、ミツバツツジ、オンツツジ、ゴヨウツツジなどがあり、広義にはバイカツツジ亜属のバイカツツジ、ゲンカイツツジ亜属のゲンカイツツジ、エゾムラサキツツジなどもツツジ類として扱われ、半常緑性のものもあって、シャクナゲ類との区別は明らかでなくなる。
 園芸品種には野生種から出たもののほかに、交雑によってつくられた多数の品種がある。そのおもなものはキリシマツツジ(クルメツツジを含む)、サツキ、リュウキュウツツジ、ヒラドツツジ、オオムラサキなど、日本で作出された品種も多い。また、セイヨウツツジ(一般にアザレアの名でよばれる)にも多くの品種がある。[小林義雄]

栽培

花木として庭園や公園にもっとも普通に植栽されるほか、鉢植えやいけ花にも利用され、広く観賞されている。酸性土壌の山地に多く野生するが、一般には日当りのよい場所で、排水と保水のよい壌土でよく育つ。細根が多いので、移植は一般に容易で、盛夏と厳寒を除けばよく活着する。最適期は、落葉性のものは開葉前の3月中旬から下旬がよく、半常緑性のものは開花前がよい。肥料は堆肥(たいひ)に油かすを加えて施すか、遅効性の粒状混合肥料を用いる。刈り込み、剪定(せんてい)に耐えるが、一般に花芽の分化期は7月ころであるから、剪定は花期後、6月中には済ませる。それ以後の剪定は次年の花つきを悪くする。
 繁殖は一般には挿木による。挿床は鹿沼土(かぬまつち)または赤土を用い、梅雨期に行うが、4月、9月でも活着する。挿木が困難な種類もあり、この場合は実生(みしょう)による。消毒したミズゴケや良質のピートモスを床土にして播(ま)くとよく発芽する。しかし、実生の場合は立枯病が出やすいので、管理に注意する。ツツジ類は一般にじょうぶで病害虫にも強い。おもな害虫に、新芽とつぼみを食害するベニモンアオリンガ、ルリチュウレンジバチがあり、これには「スミチオン」「デナポン」などを散布する。葉裏について吸汁するツツジグンバイには「スミチオン」「マラソン」などを散布するとよい。病害の花腐菌核(はなぐされきんかく)病は薬剤散布による防除がむずかしく、褐斑(かっぱん)病、黒紋病は4‐4式ボルドー合剤、銅水和剤を散布して予防する。[小林義雄]

名所・天然記念物

名勝地には群馬県館林(たてばやし)市の躑躅ヶ岡(つつじがおか)公園がある。天然記念物としては北海道の落石岬(おちいしみさき)サカイツツジ自生地、群馬県の湯の丸レンゲツツジ群落、山梨県の躑躅原レンゲツツジ群落、美し森オオヤマツツジ、徳島県船窪(ふなくぼ)のオンツツジ群落、大分県の大船山(たいせんざん)ミヤマキリシマ群落、長崎県の池の原ミヤマキリシマ群落などがある。[小林義雄]

文化史

ツツジの名は、『出雲国風土記(いずものくにふどき)』(733)に、大原郡の山野に生える植物として茵が初見し、『万葉集』では、茵花、都追茲花、白管仕、白管自、丹管士、石管士の名で9首詠まれている。2巻に「水伝(みなつた)ふ磯(いそ)の浦廻(うらみ)の石管士(いわつつじ)(も)く咲く道をまた見なむかも」と歌われているが、この磯の浦廻は、天武(てんむ)天皇と持統(じとう)天皇の子、日並知(ひなめし)(草壁(くさかべ))皇子の宮殿の庭園にあり、すでにツツジが栽培下にあったことが知られる。ツツジの品種は江戸時代に爆発的に増え、水野元勝は『花壇綱目』で147品種を取り上げた。それにはサツキの名はないが、三之丞(さんのじょう)(伊藤伊兵衛)は『錦繍枕(きんしゅうまくら)』で、ツツジを173、サツキを162品種解説した。そのサツキのうち、「せい白く」など9品種は『花壇綱目』のなかに名がみえる。『錦繍枕』でサツキの3名花とされたうち、「まつしま」「さつまくれない」をはじめ、「ざい」「みねの雪」「高砂(たかさご)」など現在にも若干の品種は伝えられているが、大半は消失した。明治の末ごろからふたたびサツキを中心とするツツジが流行し、現代に続く。海外では19世紀以降、アザレアの改良が進み、クルメツツジ、レンゲツツジ、タイワンヤマツツジなどが関与した。[湯浅浩史]

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