古代ギリシアの大学者。アリストテレスの弟子で、共同研究者にして後継者。レスボス島エレソスの生まれ。師の小アジア遍歴時代から行をともにし、アテネに師とともにペリパトス学派(アリストテレス学派)を開いた。植物学の祖とされるなど、観察や調査に基づく実証的研究に本領を発揮した科学者で、ギリシアの学問の成立と発展に果たした功績は絶大である。200に余る著作があったとされるが、現存するものは『植物誌』9巻、『植物発生学』6巻、『自然学的小論』数編、『形而上(けいじじょう)学』などのほか、とくに有名なのは『性格論』(『人さまざま』)で、後世の文学者にしばしば模倣された。さらに、断片として残る『自然学者学説集』が、ソクラテス以前の哲学史の主要資料として貴重であり、『法律』はギリシアの法制資料として重要である。
[田中享英]
古代ギリシアの哲学者。レスボス島エレソス出身。アリストテレスの弟子であり,後継者としてリュケイオン校の第2代学頭となる。多方面にわたって著述したが,今日では《植物誌》9巻,《植物原因論》6巻,《形而上学》の一部,名高い小品《人さまざま》のほかは断片が残るのみ。《自然学者たちの学説》(現存しない)は,古代における初期ギリシア哲学史記述の根本資料となった。
執筆者:藤澤 令夫
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…代表的な黒点は芯の暗部と呼ばれる黒い部分とそれをとり巻く薄黒い半暗部からなっているが,半暗部が一部欠けた黒点や,半暗部のない小黒点も珍しくない。
[古い観測記録]
黒点についての最古の記述は,アテナイのテオフラストスの事跡(前350ころ)および中国の《淮南子(えなんじ)》精神訓(前120ころ)中に見られる。その後中国では前28年より系統的な観測が行われたのに対し,西欧では太陽は完全無欠の神的領域に属するものという信念に災いされて長く認知されず,惑星の日面通過などと解釈されてわずかに記録されるにとどまった。…
…その中の30以上は苦味健胃に用いられる。テオフラストスが記載した生薬は約480種類で,甘草,アニス,レモン,麦角(ばつかく),トラガカント,胡椒(こしよう),没食子(もつしよくし)などである。ローマ時代,ギリシア人のディオスコリデスは77年《薬物誌De materia medica》全5巻を書いた。…
…その後もコロナの観察記録があるが,コロナは地球大気中の現象ではないかと考えた者もいたが,太陽の大気であると実証したのは1869年の日食でハークネスWilliam Harkness(1837‐1908)とヤングCharles Augustus Young(1834‐1908)がコロナのスペクトル中に固有の輝線を発見したことによる。 太陽面に黒いしみのあることは,アリストテレスの高弟であるアテナイのテオフラストスが記録している。中国では《淮南子》(前179ころ)に日中に踆烏(三本足のカラス)ありと記されている。…
…天気の変化は生活に大きな影響を与えるので,天気の変化に関する経験をまとめた天気俚諺は東洋でも西洋でも紀元前から知られている。ギリシアのテオフラストスは前300年ころ,200あまりの天気俚諺を集めた本を出している。その中には,〈夕焼けは晴,朝焼けは雨〉〈月や日がかさをかぶると雨〉〈北東風は天気が悪い〉〈絹雲は雨のきざし〉などという今日知られたものがだいたい入っている。…
…プラトンが遊歩しながら講義した習慣に由来する名で,本来アカデメイア出身のアリストテレスらを指したが,以後はもっぱらアリストテレス創立のリュケイオン校の人々を総称する呼名となった。2代目学頭テオフラストス,3代目ストラトンのもとでとくに自然学研究が継承・推進され,しだいに創立者の教説から遠ざかって即物的傾向を強めていくが,前70年ころの学頭アンドロニコスAndronikos以来アリストテレス研究も復活する。【藤沢 令夫】。…
…したがって,植物の記録は,医薬や食用に供する有用植物の要覧作りであった。ヨーロッパのハーバリズムはテオフラストスに始まり,その《植物誌》は植物学書の始まりとされる。P.ディオスコリデスの《薬物誌De materia medica》には約600種の植物とその用法が記され,1世紀に公にされてから長いあいだ植物薬学の基準となっていた。…
※「テオフラストス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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