テレフタル酸(読み)テレフタルサン(英語表記)terephthalic acid

デジタル大辞泉 「テレフタル酸」の意味・読み・例文・類語

テレフタル‐さん【テレフタル酸】

terephthalic acid芳香族カルボン酸の一。フタル酸異性体で、カルボキシル基がパラ位についたもの。白色結晶ポリエステル繊維の主要原料。TPA化学式C6H4(COOH)2

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精選版 日本国語大辞典 「テレフタル酸」の意味・読み・例文・類語

テレフタル‐さん【テレフタル酸】

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Terephthalsäure の訳語 ) 芳香族カルボン酸の一つ。化学式 C6H4(COOH)2 パラキシレン酸化、フタル酸カリウムの異性化反応安息香酸の不均化反応により製造される。白色結晶で普通の有機溶媒に溶けないが、熱濃硫酸ピリジンジメチルホルアミドに溶ける。ポリエステル合成繊維合成樹脂の製造原料として重要。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「テレフタル酸」の意味・わかりやすい解説

テレフタル酸
てれふたるさん
terephthalic acid

芳香族ジカルボン酸の一つ。1,4-ベンゼンジカルボン酸ともよばれる。フタル酸(1,2-ベンゼンジカルボン酸)およびイソフタル酸(1,3-ベンゼンジカルボン酸)はテレフタル酸の異性体である。実験室的には、p(パラ)-キシレンを過マンガン酸カリウム、三酸化クロムなどにより酸化すると得られる。以前は、フタル酸または安息香酸のカリウム塩を二酸化炭素と加圧・加熱するヘンケル法(ドイツのヘンケル社Henkel & Cieが開発)により工業的に製造されていたが、今日では、コバルトなどの重金属触媒を用いるp-キシレンの空気酸化により製造されている。常圧では300℃付近で昇華する。白色の結晶で、水、エタノールエチルアルコール)にはほとんど溶けず、ベンゼン、エーテルにも溶けないが、アルカリ水溶液には塩を生成して溶解する。テレフタル酸とグリコールのポリエステル(ポリエチレンテレフタレートPET)は、日本では「テトロン」の商品名で知られ、合成繊維として多量に生産されているほかに、飲料容器用の合成樹脂(ペットボトル)として広く用いられている。また、1価の脂肪族アルコールとのエステルはプラスチック可塑剤として用いられている。

[廣田 穰]


テレフタル酸(データノート)
てれふたるさんでーたのーと

テレフタル酸
分子式C8H6O4
分子量166.1
融点425℃(封管中)
沸点
比重1.510
解離定数K1=2.88×10-4
K2=3.47×10-5(25℃)

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化学辞典 第2版 「テレフタル酸」の解説

テレフタル酸
テレフタルサン
terephthalic acid

1,4-benzenedicarboxylic acid.C8H6O4(166.14).p-ジアルキルベンゼンを酢酸溶媒中,酢酸コバルト-酢酸マンガン触媒と促進剤の臭素化合物を用いて液相空気酸化するか,フタル酸のジカリウム塩を高温で異性化させると得られる.白色の結晶.融点425 ℃(封管中).300 ℃ で昇華する.pK1 3.54,pK2 4.46.普通の有機溶媒や水に不溶,熱濃硫酸,ピリジン,ジメチルホルムアミドに可溶.エチレングリコールと縮重合させて,ポリエステル系の合成繊維または樹脂とする.そのほか,高級アルコールエステルは可塑剤に用いられる.LD50 4390 mg/kg(ラット,経口).[CAS 100-21-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「テレフタル酸」の意味・わかりやすい解説

テレフタル酸【テレフタルさん】

ベンゼン核に2個のカルボキシル基(−COOH)をもつ芳香族ジカルボン酸でフタル酸の異性体(p体)。無色の結晶。昇華点300℃。水,エーテルに不溶。アルコールとエステルをつくりやすい。ポリエステル系合成繊維,合成樹脂原料として重要。工業的にはp‐キシレンの酸化によりつくる。(図)
→関連項目ポリエチレンテレフタレート

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テレフタル酸」の意味・わかりやすい解説

テレフタル酸
テレフタルさん
terephthalic acid

1,4-ベンゼンジカルボン酸のこと。無色の結晶。融点 300℃ (昇華) 。 p -キシレンあるいは1,4-ジアルキルベンゼンを酸化してつくられる。工業的にはフタル酸カリウムなどを,高温で接触異性化して合成される (ヘンケル法) 。ポリエステル系合成繊維や樹脂の製造原料である。

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改訂新版 世界大百科事典 「テレフタル酸」の意味・わかりやすい解説

テレフタル酸 (テレフタルさん)

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世界大百科事典(旧版)内のテレフタル酸の言及

【フタル酸】より

ベンゼン環に2個のカルボキシル基をもつ芳香族ジカルボン酸で,o‐,m‐,p‐の3種の異性体がある。通常フタル酸といえばo‐体をさし,m‐体はイソフタル酸isophthalic acid,p‐体はテレフタル酸terephthalic acidと呼ばれる。
[フタル酸]
 融点191℃(封管中)の無色の結晶で,融点付近で脱水されて無水フタル酸を生じる。…

※「テレフタル酸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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