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聴者と奏者の気晴しのために作られた軽い性格の多楽章形式の音楽で,18世紀中葉から後半に流行した。〈嬉遊曲〉と訳される。弦楽器のみのもの,弦に管を加えたものなどさまざまなものがあるが,各声部は独奏楽器によって奏される。この時代には新興市民と啓蒙君主の趣味を反映した屋外音楽にセレナード,カサツィオーネ,ノットゥルノ,フェルト・ムジークなどがあったが,これに室内楽的なパルティータ,ターフェルムジークなどを加えて,ディベルティメントと総称した。簡単なソナタ形式で書かれた典雅な第1楽章の後にメヌエット,緩徐楽章,メヌエット,終曲と並び5楽章形式がほぼ標準だが,10楽章を超えるものもあった。ハイドンは主として鍵盤楽器のために,モーツァルトは管,弦および弦・管楽器混合の美しいディベルティメントを多く残した。しかし1780年ころの古典派様式の確立とともに,この過渡期的音楽は急速に古典派の各種室内楽に発展的に解消した。
執筆者:谷村 晃
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西洋音楽において楽曲のタイトルに使われることば。18世紀にオーストリアや南ドイツ、とりわけウィーンの作曲家たちによって器楽曲のタイトルに好んで使われた。従来は、軽い性格をもつとか、娯楽的な作品を意味するといった面が強調され、わが国でも「嬉遊(きゆう)曲」という訳語が適用されていたが、この時期の音楽生産の全貌(ぜんぼう)がしだいに明るみに出てくるにつれ、かならずしもそうではないことがわかってきた。またこの概念は、形式とか楽器編成とか楽章配列などの点でも、なんら一定のものを意味するわけでもないことが近年指摘されている。すなわち楽器編成を例にとっても、ディベルティメントは、弦楽器だけの合奏、管楽器だけの合奏、弦楽器と管楽器の混ざった合奏、そしてそれらの多様な組合せ、クラビア(ピアノ)の入った合奏、クラビア・ソロのためなど、およそ当時のほとんどあらゆる編成で存在しえた。一方、この名称が地方的なものであることは、同一楽曲がパリや北ドイツなどではソナタとかクァルテットなどの名で伝承されていることから明らかである。そして1780年代ごろから、これまで広くディベルティメントとよばれていたのと同じ様式の楽曲が、ウィーンにおいても、その楽器編成によって、クラビア・ソナタ、トリオ、クァルテットなどとよばれるようになった。そうした新しい名称が一般化したのは、古典派の代表的で、いわば重厚なジャンルにおいてであって、その後ディベルティメントという名称は、娯楽的な軽いタイプの音楽にのみ残っていった。
[大崎滋生]
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