デュワー瓶(読み)デュワービン

デジタル大辞泉 「デュワー瓶」の意味・読み・例文・類語

デュワー‐びん【デュワー瓶】

二重壁の内部真空にした断熱容器。1893年英国の化学者デュワー(J.Dewar)が考案魔法瓶

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「デュワー瓶」の解説

デュワー瓶
デュワービン
Dewar vessel

すぐれた断熱を目的とする容器で,図のように硬質ガラスの二重壁をもつ構造をなし,二重壁の内部は全面銀めっきをほどこし,かつ真空にした容器である.1881年,A.F. Weinhold(1841~1917年)が考案したものをJ. Dewar(デュワー)(1892年)が改良したので,デュワー瓶の名称でよばれる.二重壁間を排気することにより,伝熱および対流を防止し,銀めっきすることにより,放射熱を防ぎすぐれた断熱効果が得られる.液体空気貯蔵など,保温を目的とする物体を入れて使用することが多く,熱量計の断熱容器として反応熱測定に用いることもある.大型のものには,全金属製のものがある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「デュワー瓶」の意味・わかりやすい解説

デュワー瓶
でゅわーびん
Dewar flask
Dewar vessel

1892年イギリスのデュワーが考案した断熱性容器。ジュワー瓶ともいう。元来はガラス製の二重壁容器で、二重壁の内部を真空にして熱伝導を防ぎ、内壁を金属めっきして熱放射を防ぐ。用途に応じてさまざまな形につくられ、理化学実験では室温以下の低温を保つのに用いられる。ポットジャーなどとよばれる民生品は魔法瓶ともよばれ、保温・保冷に用いられ、金属製のものもある。

[岩本振武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のデュワー瓶の言及

【クライオスタット】より

…クライオスタットでは,試料の冷却と,冷却した試料への熱の流入を防ぐために,これら三つの熱伝達を制御しかつ利用している。試料の熱絶縁には市販の魔法瓶と同じ構造をもつデュワー瓶の利用が主体となっている。実験目的に応じて各種の冷媒寒剤を使用し,10K以下の温度をつくるのに液体ヘリウムを利用する場合,外部からの熱の流入が激しいので,二重のデュワー瓶を利用する。…

【魔法瓶】より

…二重のガラス瓶の中間を真空にし,内面を銀めっきして熱の伝導,対流,放射の程度を少なくしている。ドイツの物理学者A.F.ワインホルトの発見した原理にもとづき,1893年イギリスの化学・物理学者J.デュワーが実験の必要から液体ガスを保存するために発明したのでデュワー瓶ともいう。日本に伝えられたのは1910年ころで,円筒形細口のテルモス魔法瓶をドイツから輸入した。…

※「デュワー瓶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android