トランスポゾン

デジタル大辞泉 「トランスポゾン」の意味・読み・例文・類語

トランスポゾン(transposon)

一定構造をもったまま染色体上を自由に転移するDNAデオキシリボ核酸単位両端塩基対反復配列もちみずからの転移に必要な遺伝子ほかに、薬剤耐性遺伝子などをもつ。

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精選版 日本国語大辞典 「トランスポゾン」の意味・読み・例文・類語

トランスポゾン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] transposon ) 原核生物の染色体やプラスミドで見出された転移性遺伝子の一つ

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百科事典マイペディア 「トランスポゾン」の意味・わかりやすい解説

トランスポゾン

染色体の一つの位置から別の位置へ,あるいは別の染色体へと転移していく遺伝要素。一般に,遺伝子の両端に特徴的なDNA塩基配列をもち,その部位で染色体DNAとの組み換えを起こす。バーバラマクリントック(1983年ノーベル医学生理学賞)がトウモロコシの交配実験により早くから存在指摘細菌酵母ショウジョウバエ(P因子)など広範な生物に見出されている。
→関連項目レトロトランスポゾン

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知恵蔵 「トランスポゾン」の解説

トランスポゾン

染色体(DNA)上を移動することができる遺伝子。転移因子ともいう。B.マクリントックがトウモロコシの斑入り現象を引き起こす調節遺伝子で初めて発見し、その後、細菌などの染色体やプラスミドでも同様の因子が発見された。薬剤耐性遺伝子などを転移させるものが典型的で、遺伝子をはさんだ両端に繰り返し塩基配列や挿入配列があり、この部分が必要な酵素を指定し、挿入の対象となる部位の塩基配列の重複回数を決めるなど、転移に重要な役割を果たしている。ショウジョウバエの遺伝子解析に用いられるPエレメントもトランスポゾンの一種。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トランスポゾン」の意味・わかりやすい解説

トランスポゾン
transposon

ある染色体から他の染色体に転移する遺伝子単位。細菌,酵母,トウモロコシ,ショウジョウバエからヒトに至るまで広く分布している。薬剤耐性や重金属耐性をコードする遺伝子を含む転移性遺伝子単位で,転移性酵素を持ち,両端に転移に必要な逆向き,あるいは同じ向きの反復配列をもつ共通点がある。また,逆転写酵素の遺伝子を含み,RNAが逆転写されてできる DNAが染色体に組み込まれるものもある。

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世界大百科事典(旧版)内のトランスポゾンの言及

【DNA】より

…真核生物細胞には,核外にもミトコンドリア葉緑体中に小さな環状DNAが存在する。また細菌のDNA中には,IS(insertion sequence,挿入断片)や二つのISで挟まれたトランスポゾンtransposonという特殊な塩基配列があって,これらは低頻度でDNAの上を飛び移り,挿入や欠失などの突然変異を起こしている。これに類似のものは真核細胞DNA中にも存在し,進化や遺伝子発現の調節に占める役割が注目されている。…

※「トランスポゾン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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