トランスポゾン(英語表記)transposon

翻訳|transposon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

トランスポゾン
transposon

ある染色体から他の染色体に転移する遺伝子単位。細菌,酵母,トウモロコシショウジョウバエからヒトに至るまで広く分布している。薬剤耐性や重金属耐性をコードする遺伝子を含む転移性遺伝子単位で,転移性酵素を持ち,両端に転移に必要な逆向き,あるいは同じ向きの反復配列をもつ共通点がある。また,逆転写酵素の遺伝子を含み,RNAが逆転写されてできる DNAが染色体に組み込まれるものもある。

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知恵蔵の解説

トランスポゾン

染色体(DNA)上を移動することができる遺伝子。転移因子ともいう。B.マクリントックがトウモロコシの斑入り現象を引き起こす調節遺伝子で初めて発見し、その後、細菌などの染色体やプラスミドでも同様の因子が発見された。薬剤耐性遺伝子などを転移させるものが典型的で、遺伝子をはさんだ両端に繰り返し塩基配列や挿入配列があり、この部分が必要な酵素を指定し、挿入の対象となる部位の塩基配列の重複回数を決めるなど、転移に重要な役割を果たしている。ショウジョウバエの遺伝子解析に用いられるPエレメントもトランスポゾンの一種。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

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百科事典マイペディアの解説

トランスポゾン

染色体の一つの位置から別の位置へ,あるいは別の染色体へと転移していく遺伝要素。一般に,遺伝子の両端に特徴的なDNA塩基配列をもち,その部位で染色体DNAとの組み換えを起こす。バーバラ・マクリントック(1983年ノーベル医学生理学賞)がトウモロコシの交配実験により早くから存在を指摘,細菌,酵母,ショウジョウバエ(P因子)など広範な生物に見出されている。
→関連項目レトロトランスポゾン

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大辞林 第三版の解説

トランスポゾン【transposon】

動く遺伝子。原核生物の染色体上のある位置から別の任意の位置へ自由に移動する DNA 単位。薬剤耐性決定遺伝子をもつものが多く発見されている。転位因子の一種。広義には、転移因子一般をさす。 → 転位因子

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世界大百科事典内のトランスポゾンの言及

【DNA】より

…真核生物細胞には,核外にもミトコンドリア葉緑体中に小さな環状DNAが存在する。また細菌のDNA中には,IS(insertion sequence,挿入断片)や二つのISで挟まれたトランスポゾンtransposonという特殊な塩基配列があって,これらは低頻度でDNAの上を飛び移り,挿入や欠失などの突然変異を起こしている。これに類似のものは真核細胞DNA中にも存在し,進化や遺伝子発現の調節に占める役割が注目されている。…

※「トランスポゾン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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