改訂新版 世界大百科事典 「トンネル窯」の意味・わかりやすい解説
トンネル窯 (トンネルがま)
tunnel kiln
煉瓦や耐火物で長いトンネル状に築いた窯。トンネル内を台車に積み込まれた被焼成物が移動できるようになっている。セラミック成形品を多量に連続して焼成するための代表的な窯で,予熱帯,焼成帯,冷却帯の三つの部分から成っている。焼成帯は窯の中央部に位置し,最も高温な部分で,側面あるいは天井からバーナーで加熱される。燃料は重油あるいはガスが多く用いられる。焼成帯から発生した排ガスの熱は予熱帯で予熱に利用され,冷却帯での被焼成物の放熱は空気と熱交換され,乾燥や燃焼用二次空気として利用される。トンネル内の温度分布と台車の移動速度で焼成温度プログラムが決められる。熱効率のよい反面,同一製品を多量に焼成しなければ意味のない窯である。通常,陶磁器や耐火煉瓦を焼成する窯では100m程度の長さであるが,最近は全長10m程度で熱源は電気あるいはガスで精密に温度や雰囲気が制御できる小型のトンネル窯が開発され,エレクトロニクスセラミックスやニューセラミックスの焼成に利用されている。
執筆者:清水 紀夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報