日本大百科全書(ニッポニカ) 「トールマン」の意味・わかりやすい解説
トールマン
とーるまん
Edward Chase Tolman
(1886―1959)
アメリカの心理学者。マサチューセッツ州に生まれる。マサチューセッツ工科大学卒業。カリフォルニア大学を中心に、ネズミを用いた実験で比較心理学、行動理論に独自の業績を残した。行動を反射などの微視的単位に分解するJ・B・ワトソンの行動主義に対し、巨視的単位の行動の手段‐目標関係を重視した。これを扱ううえに、環境刺激、生理的要求、遺伝、以前の学習などの独立変数と、行動の方向、固執度、熟達度などの従属変数との間に、直接観察しえないが、これらの変数から間接に規定され、各変数を結び付ける仲介変数intervening variablesを構成した。C・L・ハル、スキナーとともに新行動主義者に加えられるが、彼らの反応説に対して認知説を代表する。主著『Purposive behavior in animals and men』(1932年、邦訳『新行動主義心理学』)がある。
[小川 隆]
『富田達彦訳『新行動主義心理学――動物と人間における目的的行動』(1977・清水弘文堂)』