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ドライデン Dryden, Hugh Latimer

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ドライデン
Dryden, Hugh Latimer

[生]1898.7.2. アメリカメリーランド,ポコモークシティ
[没]1965.12.2. アメリカ,ワシントンD.C.
アメリカの物理学者。ジョンズ・ホプキンズ大学卒業後,ワシントン D. C.の連邦政府規格基準局に勤め,気体力学について研究。第2次世界大戦中は「バット」と呼ばれた誘導ミサイルの開発に従事。戦後は航空諮問委員会会長を経て,1958年アメリカ航空宇宙局の次長に就任。米ソの宇宙共同開発計画,気象衛星のデータ交換,通信衛星などの開発に貢献した。

ドライデン
Dryden, John

[生]1631.8.9. ノーサンプトンシャー,アーニクル
[没]1700.5.1. ロンドン
イギリスの詩人,劇作家,批評家。清教徒の家に生れ,ケンブリッジ大学を卒業。共和政府を支持したが,王政に復帰するや王党に転じ,チャールズ2世をたたえる『星姫再臨』 Astraea Redux (1660) を書くなど,政治的節操に欠けるところはあったが,対オランダ戦やロンドン大火のあった 1666年を歌った『驚異の年──1666年』 Annus Mirabilis: the Year of wonders 1666 (67) は傑出した詩である。そのほか政治風刺詩『アブサロムとアキトフェル』 Absalom and Achitophel (81) ,新教支持の『平信徒の宗教』 Religio Laici (82) ,カトリック支持の『雌鹿と豹』 The Hind and the Panther (87) など,これまた節操を疑われるとはいえ,知性派詩人としての本領を発揮した作品になっている。彼はまた劇壇の大立て者でもあり,『当世風結婚』 Marriage-à-la-Mode (72) のような軽い喜劇も成功したが,劇作家として彼を偉大ならしめるものは,ヒロイック・カプレットを用いた「英雄劇」であり,『インディアンの皇帝』 The Indian Emperor (65) ,『グラナダの征服』 The Conquest of Granada (70) などが代表作。しかし無韻詩で書いた『至上の恋』 All for Love (77) もすぐれた悲劇であり,シェークスピアの『アントニーとクレオパトラ』と同じ題材を用いた彼の意気込みが感じられる。ドライデンは S.ジョンソンが「イギリス批評の父」と呼んだほどに批評家としてもすぐれた業績を残したが,代表作は4人の会話体をとって,当時の文壇劇壇で中心課題となっていた古代と近代の比較,英仏演劇の優劣,脚韻使用の是非などを論じた『劇詩論』 Of Dramatick Poesie,An Essay (68) である。桂冠詩人 (68~88) 。

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百科事典マイペディアの解説

ドライデン

英国の詩人,劇作家。桂冠詩人として,清教徒革命以後の時代思潮を新しい詩形で代弁した。詩に,《驚異の年》(1667年),《アブサロムとアキトフェル》(1681年),戯曲に,《オーレンジービー》(1675年),《すべては愛のために》(1677年)など。
→関連項目古典主義

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世界大百科事典 第2版の解説

ドライデン【John Dryden】

1631‐1700
イギリスの詩人,劇作家,批評家。新教徒の家庭に生まれ,ケンブリッジ大学を卒業。若き詩才をたのみに,最初はO.クロムウェルを賛美し,政変(王政復古)後はたちどころにチャールズ2世にへつらうなど,その行動は無節操のそしりをまぬがれなかった。しかしその後の思想と行動は一貫しており,年とともに政治的には保守主義,宗教的にはローマ・カトリックへ傾斜していった。詩,劇,批評という三つの分野にまたがった彼の大きな足跡を思えば,英文学史上17世紀後半を総称して〈ドライデンの時代〉と呼ぶ習慣は,まことにもっともである。

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大辞林 第三版の解説

ドライデン【John Dryden】

1631~1700) イギリスの詩人・劇作家・批評家。王政復古時代の代表的文人として多方面に活躍。風刺詩「アブサロムとアキトフェル」、詩劇「すべてを恋に」、批評「劇詩論」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ドライデン
どらいでん
John Dryden
(1631―1700)

イギリスの詩人、劇作家、批評家。8月9日、ノーサンプトンの牧師の家に生まれる。ケンブリッジ大学卒業後、1654年にクロムウェル共和政府に仕えた。王政復古のときにチャールズ2世を称賛する『正義の女神の帰還』(1661)を献じ、ロンドン大火と疫病流行、対オランダ戦争を題材とした『驚異の年』(1667)では、歴史上の身近な事件を大胆に虚構化した。社会的には、英国王立協会の特別会員として、言語表現の「数学的明晰(めいせき)さ」を理想とする国語改革委員会に属し、68年に桂冠(けいかん)詩人、70年には王室修史官に任命された。晩年の約10年間は不遇で、おもに翻訳に費やされ、ウェルギリウス、チョーサーなどの近代語訳(1699)が生まれた。政治的、思想的な変革の激しいこの時代に、彼は極端を嫌い、思想と創作の両面で多様な実験を試みながら、時代とともに生き、時代を代表し、イギリス古典主義文学とその理論を確立した。その影響はアジソンやサミュエル・ジョンソン、M・アーノルドを経て、T・S・エリオットの再評価に至るまで、「イギリス文学批評の父」(ジョンソン)にふさわしいものであった。1700年5月1日にロンドンで没し、ウェストミンスター寺院に葬られた。
 創作活動の面では、1663年から約20年間は、演劇を中心とする多様な実験が試みられた。王政復古期の流行にあわせた喜劇『当世風の結婚』(1673)、無韻詩(ブランク・バース)の悲劇『すべてを恋に』(1678)、『失楽園』(1667)をオペラ的手法で表現した『無垢(むく)の状態』(1674)などの多彩な作品が発表されたが、人間関係や演劇論の面では論争や確執の多い時期でもあった。『アブサロムとアキトフェル』(1681)から約10年間は、本領とする政治風刺と論争の時期で、傑作『マックフレクノー』(1682)、イングランド教会を弁護する『平信徒の宗教』(1682)、動物寓話(ぐうわ)の形式でカトリックを弁護する『牝鹿(めじか)と豹(ひょう)』(1687)などの詩が書かれた。
 批評の面では、序詞や終わり口上、『劇詩論』(1668)などを中心として豊饒(ほうじょう)な知的関心を示し、スウィフトに至る「古代と近代の優劣論争」の流れのなかで、近代の優位を認めながらも、古典やシェークスピアを模範として、国民的自覚にたつ古典主義文学論を展開した。翻訳論や風刺詩論などにみられる強靭(きょうじん)な批評精神は、現代においても、なお高度の水準と説得力を保っている。[樋渡雅弘]
『加納秀夫訳『世界名詩集大成9 驚異の年』(1959・平凡社) ▽小津次郎訳『世界文学全集96 劇詩論(抄)』(1940・筑摩書房) ▽竹友乕雄著『ドライデン』(1938/新版・1980・研究社出版)』

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世界大百科事典内のドライデンの言及

【アブサロムとアキトフェル】より

…イギリスの詩人J.ドライデンの筆になる政治風刺詩。1681年刊。…

【イギリス文学】より

…王政復古期から18世紀前半にかけて,人間社会の秩序は理性そのものの秩序として意識され,詩は整然たる英雄対韻句によってそれを反映した。ドライデンとポープの時代である。人間はあらためて社会的存在として横のつながりにおいてとらえられ,このつながりの規範からはみ出すものにはきびしい風刺のむちが加えられた。…

【桂冠詩人】より

… しかし,これをはっきり制度化したのは近世イギリスであって,17世紀後半以来〈ポエット・ローリイットpoet laureate〉と呼ばれて王室の一つの役職となっている。最初に任命されたのは王政復古期の大詩人J.ドライデンであったが,政治と信仰と文筆活動とが離れがたく結びついていた時代で,ローマ・カトリックに改宗したドライデンには政敵が多く,1688年の名誉革命に続く政変のため,その地位を追われた。代わって任命されたのが政敵T.シャドウェルであり,さらにこのあとはN.テート,N.ローと続いた。…

【風刺】より

…フランス語の作品では,ラ・ブリュイエールが,ギリシア人テオフラストスの作を模して書いた《人さまざま》(1688)をあげることができる。英文学における風刺の代表者はJ.ドライデンであって,彼の《風刺論》(1693)はsatireの起源,特質などを明確に記した注目すべき論考であるが,彼自身《アブサロムとアキトフェル》(1681)など,優れた風刺詩を書き実践による模範を示した。その後A.ポープの長詩《髪の毛の略奪》(1712),J.スウィフトの散文《ガリバー旅行記》(1726)など,風刺文学の傑作が数多く登場した。…

※「ドライデン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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