ドーナツ現象(読み)どーなつげんしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドーナツ現象」の意味・わかりやすい解説

ドーナツ現象
どーなつげんしょう

都市への人口や機能の集中が高度に進行するにつれ、都心地域定住人口夜間人口)や雇用人口が減少し、都市周辺の定住人口や雇用人口が増大して、あたかもドーナツのような形で都市が拡大する現象をいう。この現象は、人口や機能が集中している都市では、程度の差はあれ、どこでも認められるが、大都市ほど著しい。とりわけ東京や大阪などの大都市では、都心地域の人口の社会減が目だつようになっている。さらに、人口の減少は、都心地域の機能(とりわけ工場など)の分散による雇用人口の減少とも深くかかわるようになってきている。このような都心地域の人口や機能の分散は、いわゆる「大都市の衰退」や「インナーシティ」の問題の背景をなしているものである。都心の人口減少、都心空間の再編成などによって引き起こされるインナーシティの問題は、現代の新しい重要な都市問題として注目をひくようになった。

[高橋勇悦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドーナツ現象」の意味・わかりやすい解説

ドーナツ現象[地震]
ドーナツげんしょう[じしん]

大地震が起こりうる場所中心とした周辺地域で,大地震に先行して地震活動が活発になる現象。地震空白域において地震活動の静穏化がみられるのとは逆に地震活動が増大することがあり,その地域が震央のまわりを輪で囲むように現れることからこの名がある。地震の前兆現象と考えられ,地震予知の面から注目される。日本では 1944年東南海地震,1946年南海地震の前に出現したことが知られる。

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