ロシア連邦北西部,レニングラード州を流れる川。ラドガ湖に発し,フィンランド湾に注ぐ。〈ネバ〉の呼称は,先住民族であったフィン人のラドガ湖の名称ネボNevoあるいはネブNev(〈海〉の意)に由来する。全長74kmにすぎないが,ラドガ湖,オネガ湖,イリメニ湖および支流を合わせた流域面積は28万1000km2(ネバ川は5000km2)と大きく,年間流量80km3,河口における平均流量は2530m3/sで,ヨーロッパ・ロシア第4の流量を誇る。12月初旬から翌年4,5月にかけて結氷する。春,氷塊が堆積して流れを妨げる状態になることが多いが,洪水の危険はあまりない。洪水に見舞われるのは,秋,強い西風が吹いて流れを妨げるときで,水位が4mも上昇することがある。洪水は56%が10,11月に集中し,70%が夜間か早朝である。278年間に300回の洪水が記録され,なかでも破局的な大洪水は1777年,1824年,1924年の3回を数える。1824年の洪水はプーシキンの名作《青銅の騎士》の主要なエピソードとなっている。
ネバ川はキエフ・ロシア時代すでにバルト海から黒海,ビザンティン帝国へ至る水路の北方起点となっていたが,現在では,白海・バルト海運河,ボルガ・バルト水路の一部をなし,ヨーロッパ・ロシアにおける最も重要な水上交通路となっている。ネバの形容詞がネフスキーnevskii(〈ネバ川の〉の意)であるが,1240年にネバ河畔でスウェーデン軍を撃退したノブゴロド公アレクサンドルは,この勝利によってアレクサンドル・ネフスキーと呼ばれるようになった。1703年,ピョートル1世が河口の広大な三角州の上に新都サンクト・ピーテルブルッフ(のちのレニングラード。現,サンクト・ペテルブルグ)を建設した。サンクト・ペテルブルグの中心となる通りは,川の名にちなんでネフスキー大通りNevskii prospektと名付けられている。
執筆者:川端 香男里
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
ロシア連邦北西部を流れる川。ラドガ湖から西へ流れ、バルト海のフィンランド湾に注ぐ。全長74キロメートル。川幅500~1200メートル、年間流量約78立方キロメートル。河口の三角州上にサンクト・ペテルブルグの市街地がある。とくに同市内で大小二つのネバ川に分流する地点の周辺には、ペトロパブロフスク要塞(ようさい)やプーシキン広場、エルミタージュ美術館など名所が多く、同市を貫流する河川として市民や観光客に親しまれている。12月初めから4月下旬まで結氷する。西風の作用によって水位が著しく上昇することがあり、1924年には大きな水害を引き起こした。ネバ川は全流路が航行可能であるだけでなく、いくつかの運河によってボルガ川や白海(はっかい)ともつながっているので、ロシアの水運上、重要な役割を担っている。
[熊木洋太]
…面積はヨーロッパ最大で,1万8400km2(約500を数える島の総面積600km2を含む)。古くはネボNevo湖と呼び,湖から流れ出るネバNeva川にその名を残している。北西端は第四紀氷期の大陸氷河の底面が沈水した形状のままであり,湖岸線は小フィヨルドあるいは溺れ谷状の出入りが著しい。…
…面積はヨーロッパ最大で,1万8400km2(約500を数える島の総面積600km2を含む)。古くはネボNevo湖と呼び,湖から流れ出るネバNeva川にその名を残している。北西端は第四紀氷期の大陸氷河の底面が沈水した形状のままであり,湖岸線は小フィヨルドあるいは溺れ谷状の出入りが著しい。…
※「ネバ川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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