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ネフローゼ症候群 ネフローゼしょうこうぐんnephrotic syndrome

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ネフローゼ症候群
ネフローゼしょうこうぐん
nephrotic syndrome

蛋白尿 (1日尿蛋白量 3.5g以上を持続) ,低蛋白血症 (血清の総蛋白量 6.0 g/dl 以下) ,高脂血症 (血清総コレステロール 250 mg/dl 以上) および浮腫を主症状とする症候群。原因としては,膜性糸球体腎炎,全身性紅斑性狼瘡,糸球体腎炎,糖尿病,アミロイド症,多発性骨髄腫などがある。腎機能は通常侵されないが,再発を繰返す難治性の腎臓病である。治療には塩分制限,高蛋白食,副腎皮質ステロイド剤の投与を行う。利尿剤や血漿代用剤は,浮腫が強い場合に補助的に使用する。歴史的にみると,かつてドイツ学派は,腎臓病を腎炎ネフローゼ,腎硬化症に三大別し,ネフローゼを炎症による病変ではなく,尿細管上皮の変性による疾患であると定義した。この場合のネフローゼは,腎機能は正常で,高血圧はなく,血尿もなく,予後良好なもので,真性またはリポイドネフローゼとも呼ばれた。しかし,その後このような条件に合致するネフローゼの存在が疑問視され,最近では,小児にまれに存在するだけで,本来のネフローゼとは腎炎の病期の一つを表わすにすぎない病態と理解されている。アメリカ・イギリス系の学者は,早くから本症を症候学的にとらえる立場をとっており,日本でも,ネフローゼ症候群として概念が統一されることになった。

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知恵蔵の解説

ネフローゼ症候群

尿にたんぱくが大量に出ることで血液中のたんぱくが減り、低アルブミン血症やそれに伴う全身のむくみが現れる病気のこと。血管内の浸透圧が下がって血管外に水分や塩分が出てしまうため、全身にむくみが現れる。胸水腹水脂質異常症血栓症、免疫異常などを合併することもある。原因疾患が明らかでないものを一次性ネフローゼ症候群(小児は「特発性ネフローゼ症候群」)、糖尿病や感染症など原因疾患があるものを二次性ネフローゼ症候群という。
小児から高齢者まであらゆる年代にみられ、年間の新規患者数は、日本小児腎臓病学会によれば小児で約1300人(90%が特発性ネフローゼ症候群)、日本腎臓学会によれば成人で4000人前後(このうち2200~2700人が一次性ネフローゼ症候群)とされる。一次性(特発性)ネフローゼ症候群は、微小変化型、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症膜性増殖性糸球体腎炎などいくつもの病型に分類されているが、小児では微小変化型が多く、40歳以上では膜性腎症が増える傾向がある。なお、小児と成人では、診断基準が異なり、治療法や予後も異なる。
小児特発性ネフローゼ症候群は、小児の慢性腎疾患で最も頻度が高い。幼児期は、男児の発症数が女児の約2倍に上る。80%は薬物療法でいったん寛解に至るが、そのうち80%が再発、更にそのうち半数は再発を繰り返す。再発を繰り返すケースでは、ステロイド療法に対する有害反応として成長障害や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などが現れることがある。
成人の一次性ネフローゼ症候群の治療は、短期的にはむくみをとることを目標とし、長期的には腎臓の機能を保つことが重要とされる。ステロイドや免疫抑制剤などによる薬物療法、むくみを改善するための食事療法が行われる。病型によって薬物の有効性、再発する割合や、末期腎不全で透析導入に至る割合などは異なる。
一次性ネフローゼ症候群は、原因が不明で治療法が確立されていないことから、2015年7月より国の指定難病になった。
映画「聖の青春」(2016年公開、大崎善生原作)のモデルである将棋棋士村山聖は、5歳でネフローゼ症候群にかかり、以後再発を繰り返した。

(石川れい子 ライター/2016年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉の解説

ネフローゼ‐しょうこうぐん〔‐シヤウコウグン〕【ネフローゼ症候群】

腎臓の糸球体の障害により、たんぱく尿として大量のたんぱく質を喪失するため、低たんぱく血症・脂質異常症浮腫を呈する状態。腎炎などのほか、糖尿病などで二次的に起こるものもある。

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家庭医学館の解説

ねふろーぜしょうこうぐん【ネフローゼ症候群 Nephrotic Syndrome】

◎尿に多量のたんぱくが出る
[どんな病気か]
[原因]
[検査と診断]
◎安静、食事、薬物療法が原則
[治療]
[予後]

[どんな病気か]
 ネフローゼ症候群は、高度のたんぱく尿と血液中のたんぱく質濃度の低下(低たんぱく血症)がおこる腎臓(じんぞう)の病気で、さまざまな程度のむくみや血液中の脂質の増加(高脂血症(こうしけっしょう))がみられます。
 原因は、微小変化型ネフローゼ症候群、巣状糸球体硬化症(そうじょうしきゅうたいこうかしょう)(「巣状糸球体硬化症」)、膜性腎症(まくせいじんしょう)(「膜性腎症」)、膜性増殖性糸球体腎炎(まくせいぞうしょくせいしきゅうたいじんえん)(「膜性増殖性糸球体腎炎」)など、一次性(原発性(げんぱつせい))の糸球体の病変が代表的なものですが、糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)(「糖尿病性腎症」)や全身性エリテマトーデスにともなうループス腎炎など、二次性(続発性(ぞくはつせい))の糸球体の病変も原因になります。

[原因]
 ネフローゼ症候群は、原発性の糸球体そのものの病変が原因である一次性ネフローゼ症候群と、なにか別の病気があって糸球体の病変がひきおこされる続発性の二次性ネフローゼ症候群に分けられます。
 子どもでも、おとなでも、一次性ネフローゼ症候群が多く、一次性の割合は、子どもで90%以上、おとなでは70~80%といわれています。
 発病した年齢によって、一次性ネフローゼ症候群のタイプが異なり、子どもでは微小変化型ネフローゼが圧倒的多数を占めていますが、年齢があがるとともに膜性腎症の割合が増加し、中高年層では半数以上を占めます。
 二次性ネフローゼ症候群のタイプも年齢によって異なり、子どもでは紫斑病性腎炎(しはんびょうせいじんえん)、おとなでは糖尿病性腎症やループス腎炎が多くなります。

[検査と診断]
 たんぱく尿(1日3.5g以上)と血液中のたんぱく質(おもにアルブミン)濃度の減少(血清中(けっせいちゅう)の総たんぱくの量が1dℓあたり6.0g以下、あるいは血清中のアルブミンの量が1dℓあたり3.0g以下という低たんぱく血症)が、ネフローゼ症候群と診断するのに必須の条件です。
 むくみや高脂血症は、それを補強する副所見です。
 また、尿の顕微鏡検査で、多数の卵円形脂肪体(らんえんけいしぼうたい)、縦屈折脂肪体が検出された場合は、ネフローゼ症候群診断の参考になります。
●たんぱく尿
 糸球体は、毛細血管が糸くずのようにからまりあった血液を濾過(ろか)する装置です。糸球体の毛細血管の壁は、内側から、内皮(ないひ)細胞、基底膜(きていまく)、上皮(じょうひ)細胞という3つの層でできています。
 水、ぶどう糖、アミノ酸などは小さな分子で、毛細血管の壁を通って原尿(げんにょう)(腎臓のしくみとはたらきの「腎臓のしくみ」のネフロンのしくみ)の成分になりますが、アルブミンやもっと大きいたんぱく質は、通常は、この毛細血管の壁を通ることはできません。
 なぜかというと、理由の1つは、基底膜がマイナスの電気を帯びた状態にあり、同じくマイナスの電気を帯びたアルブミンを電気的に反発しているからです(これをチャージバリアといいます)。2つめの理由は、基底膜は網目状の構造になっていて、ある大きさ以上の物質は通れないようになっているからです(これをサイズバリアといいます)。
 糸球体に障害がおこると、これらのバリアが破壊され、尿中に種々のたんぱく質がもれ出てしまいます。
 チャージバリアだけの障害なら、アルブミンなどの比較的小さなたんぱく質分子がもれ出ます(これでおこるたんぱく尿を、選択的たんぱく尿といいます)。
 サイズバリアまで破壊されると、小さなたんぱく質だけでなく、アルブミンよりも大きな巨大たんぱく分子も尿中に排泄(はいせつ)されてしまいます(これを非選択的たんぱく尿といいます)。
●低(てい)たんぱく血症(けっしょう)(低アルブミン血症)
 ネフローゼ症候群における低たんぱく血症のおもな原因は、アルブミンを主体とする血液中のたんぱく質が尿にもれ出てしまうことですが、そのほかに、全身の毛細血管のバリアがゆるくなっていること、また、腎臓でのたんぱく質の分解が増えていることなどのメカニズムも関係していると考えられています。
●むくみ(浮腫(ふしゅ))
 ネフローゼ症候群の診断基準では、むくみがなくてもネフローゼと診断できるわけですが、約80%のネフローゼ患者さんに、種々の程度のむくみがみられます。
 血液中のたんぱく質の濃度が低下すると、たんぱく質にとらえられていた血液中の水分がとどめられなくなり(少量のゼラチンでつくったやわらかなゼリーから水分がしみ出してくるのと同じ)、血管の壁を通って間質(かんしつ)(臓器の間をうめているもの)にもれ出て、これがむくみになります。
 この結果、血液の量も減るので、レニン‐アンギオテンシン‐アルドステロン系(腎臓のしくみとはたらきの「腎臓のはたらき」の内分泌(ホルモン産生))がはたらきます。アルドステロンは、尿細管でのナトリウム(塩化ナトリウム、塩は体内ではナトリウムのイオンとしてある)の再吸収を増大させますから、からだにナトリウムと水がさらにたまり、むくみがひどくなると考えられています。
●高脂血症(こうしけっしょう)
 大部分の患者さんに、血液中のコレステロールが増える高コレステロール血症がみられます。血液中の中性脂肪(ちゅうせいしぼう)も増える傾向があります。
 ネフローゼ症候群に高脂血症がおこる理由は、血液中のアルブミンの濃度が下がると、肝臓がそれを補うためにアルブミンの合成を活発に行ない、それにともなって肝臓が、低比重リポたんぱく(LDL)と超低比重リポたんぱく(VLDL)の合成も活発化するからです(リポたんぱくは、血液で脂質を運ぶときの姿で、たんぱく質で「包んで」ある脂肪と考えてよい)。
 また、動脈硬化を抑えるはたらきがある高比重リポたんぱく(HDL)が尿にもれ出るため、血液中のHDLの濃度が減少します。
●血液凝固能の亢進(こうしん)
 ネフローゼ症候群では、血液の凝固をうながす血液中のフィブリノーゲンという物質が増えます。また、血液の凝固を阻止するはたらきのある抗トロンビンⅢが、血液中から尿へもれ出てしまうため、血液は凝固しやすい状態にあり、からだの中に血栓(けっせん)(血管の中で血液がかたまると血管をふさぐことがあり、これを血栓といいます)ができやすい傾向にあります。
●合併症
 急性腎不全(きゅうせいじんふぜん) ネフローゼ症候群では、間質に血液中の水分がもれるため、からだ全体の体液量が増えているのに、からだを循環する血液量(有効循環血液量)は減少します。その結果、腎臓に流入流出する血液量も減って、腎前性腎不全(じんぜんせいじんふぜん)の状態になることがあります。
 これは、大量の発汗の後、水分の補給が不十分なときに腎不全をおこすのと基本的には同じことで、糸球体に流れ込む血液が不足して、濾過ができなくなる状態です。
 このタイプの腎不全は、適切な処置を行なえば正常にもどりますが、なかには尿細管の一部が死んでしまい、腎不全が慢性化することもあります。
 血栓形成 ネフローゼ症候群では、血液凝固能の亢進のところでも述べたように、血栓ができやすくなります。高脂血症や血液の濃縮によるねばりけの増加も血栓をできやすくします。
 血栓ができやすいのは、肺動脈(はいどうみゃく)、下肢(かし)(脚(あし))の深部静脈(しんぶじょうみゃく)、腎静脈(じんじょうみゃく)などです。肺動脈に血栓ができたり、下肢の静脈の血栓が血流にのって最終的に肺動脈につまると、肺梗塞(はいこうそく)をおこし呼吸困難になることもあります。
 また、まれには心筋梗塞(しんきんこうそく)(冠動脈血栓(かんどうみゃくけっせん))や脳梗塞(のうこうそく)(脳動脈血栓(のうどうみゃくけっせん))がおこることもあります。
 易感染性(いかんせんせい) ネフローゼ症候群では、細菌などを殺すはたらきがある、血液中の免疫グロブリンという物質も尿中に出てしまい、とくに子どもでは細菌の感染をおこしやすくなるといわれています。

[治療]
 入院して、つぎの3つの治療を行ないます。
●安静、臥床(がしょう)
 ネフローゼ症候群は、入院による安静、臥床が治療の基本です。安静にするだけで、たんぱく尿とむくみが軽くなることもあり、また安静は腎臓のはたらきを安定させます。
●食事療法
 第1に塩分の制限が必要です。必要であれば1日3gまでに制限します。その後、状態をみながら、5g、7gと増やしていきます。
 また、体重1kgあたり35kcalほどの高カロリー食をとるようにします。以前は、高たんぱく食をとるように勧められましたが、現在は否定的な意見が多く、たんぱく質については、体重1kgあたり0.8~1.0gくらいが一般的です。
 脂肪については、高脂血症がおこることもしばしばあるので、低脂肪の食事にします。
●薬物療法
 利尿薬(りにょうやく) むくみに対して使われますが、一般的にはループ利尿薬を服用します。腹水がたまって腸のはたらきが弱っている場合は、静脈注射も行なわれます。
 抗凝固薬、抗血小板薬(こうけっしょうばんやく) 抗血小板薬は、糸球体を保護するはたらきがあり、ネフローゼ症候群には幅広く使われています。
 また、ネフローゼ症候群では血液が凝固しやすい状態にあり、血栓症をおこしやすいので、その意味からも凝固を抑えるはたらきのある抗血小板薬を使うことは、有効な手段であると考えられます。
 たんぱく尿が軽い場合は使われませんが、抗血小板薬とともに、凝固を抑える薬であるヘパリンやワルファリンカリウムが使用されます。腎生検で糸球体のかたくなる硬化性の病変がみられるようなら、うってつけの薬です。
 また、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)の使用が必要になることもあるのですが、これは凝固をさらに促進するので、肺に血栓がつまる肺梗塞などがおこりやすくなります。抗血小板薬だけでは、凝固しやすい事態を防ぐことがむずかしいと判断された場合は、抗凝固薬が使用されます。
 副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬) ネフローゼ症候群に対する根本的な治療薬で、第1に選択すべき薬です。おとなでは、ふつう、プレドニゾロンを1日30~40mg服用して、たんぱく尿の消失や血液検査の結果がよくなるのを待って、だんだんに量を減らしていきます。
 プレドニゾロンが効かない場合は、ステロイド薬の超大量療法として、メチルプレドニゾロンのパルス療法(間をおいて大量使用をくり返す)が行なわれることもあります。
 ステロイド薬の副作用として、糖尿病、消化性潰瘍(かいよう)、ステロイド精神病、易感染性、ステロイド緑内障(りょくないしょう)、大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)などがあり、注意する必要があります。
 免疫抑制薬 初めから用いることはまずありませんが、しばしば再発するネフローゼ症候群、ステロイド抵抗性(効かない)ネフローゼ症候群、ループス腎炎に対して使われます。
 種類としては、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミゾリビン、シクロスポリンなどがありますが、大なり小なり骨髄(こつずい)(造血作用)抑制、肝障害、性腺(せいせん)抑制などの副作用があり、慎重に用いなければなりません。

[予後]
 ネフローゼ症候群の予後は、原因となっている糸球体の組織の病変がどのようなものかによって異なります。
 微小変化型のネフローゼは、ステロイド薬がよく効き、約4分の1の患者さんは完全に治りますが、一方、しばしば再発する例も少なくありません。約10%の患者さんにはステロイド薬が効かないといわれています。このタイプでは、腎臓のはたらきが低下することはあまりありません。
 巣状糸球体硬化症はステロイド薬が効かないことが多く、ステロイド薬が効くのは3分の1以下だといわれています。ネフローゼの状態が続くようだと、治療しても状態は悪く、5年以内に腎不全におちいることもまれではありません。
 高齢者の一次性ネフローゼ症候群の多くを膜性腎症が占めていますが、基礎疾患として悪性腫瘍(あくせいしゅよう)(がん)が隠れていることもあり注意が必要です。以前は、ステロイド薬が効きにくいといわれていましたが、最近は有効な例が多いという報告もあります。
 膜性増殖性糸球体腎炎は、ステロイド薬は効きにくく、ネフローゼ状態が続く例では、腎臓のはたらきが悪化していきます。

出典 小学館家庭医学館について 情報

食の医学館の解説

ねふろーぜしょうこうぐん【ネフローゼ症候群】

《どんな病気か?》


 ネフローゼ症候群(しょうこうぐん)は1つの病気ではなく、原因にかかわりなく、尿にたんぱくがでて、その結果、血液中のたんぱくの減少(低(てい)たんぱく血症(けっしょう))が起こる腎臓病(じんぞうびょう)の総称で、症状としては強いむくみが、合併症としては脂質異常症がみられます。
 原因は腎炎(じんえん)など糸球体(しきゅうたい)の病変によるものがほとんどですが、糖尿病(とうにょうびょう)や全身性エリテマトーデスなどといったほかの病気の合併症や症状として、腎臓がおかされて起こる場合もあります。

《関連する食品》


○注意すべきこと
 以前は、低たんぱく血症を補うために高たんぱく食が基本とされていましたが、腎臓に負担がかかるため現在では、たんぱく質は標準所要量にとどめられています。
 塩分はきびしく制限され、とくにむくみや腹水(ふくすい)(腹部に水がたまって腫(は)れる)があるときは、塩分は5g/日までにします。脂質異常症を誘発するので、動物性脂肪も避けましょう。
 肥満状態にあればエネルギー制限をしますが、肥満がなくても標準体重1kgあたり1gの程度の制限にします。
〈スイカやトマトからカリウムを摂取する〉
○栄養成分としての働きから
 腎疾患に共通して有効な成分をとることを心がけます。むくみが強く、尿量が少ないときは水分も制限しますが、利尿剤(りにょうざい)が処方されているときは、十分に水分をとります。
 血清のカリウム量に問題なければ、カリウムの制限はありません。

出典 小学館食の医学館について 情報

大辞林 第三版の解説

ネフローゼしょうこうぐん【ネフローゼ症候群】

腎臓の糸球体の病変により、血液中のタンパクが尿中に多量に排出されて減少し、著しいむくみがみられる症状。腎炎など腎臓の病気のほか、糖尿病などの代謝異常、全身性エリテマトーデスなどによって起こる。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ネフローゼ症候群
ねふろーぜしょうこうぐん

腎臓(じんぞう)の糸球体濾過(ろか)膜の異常によって透過性が高まり、大量のタンパク(アルブミンやグロブリンなど)が尿中に喪失し、全身の浮腫(ふしゅ)(むくみ)、高度のタンパク尿、乏尿をきたす腎疾患をいう。真性(リポイド)ネフローゼとネフローゼ型慢性腎炎、およびその他の原因による二次性ネフローゼに分けられる。[加藤暎一]

真性ネフローゼ

原因は不明で、おもに小児にみられる。症状は、全身の倦怠(けんたい)感、顔面の浮腫、尿量の減少、タンパク尿、血液中のタンパク質量減少(とくにアルブミンの減少)、コレステロールの増加などがあげられる。血圧は正常で、腎機能も低下せず、尿の比重も高い場合が多い。予後は幼児や若年者では悪くないが、成人では長い経過を経て腎機能が侵されることが多い。治療としては、ナトリウムの制限、高タンパク食、利尿剤の投与、副腎皮質ホルモンの投与などが有効である。[加藤暎一]

ネフローゼ型慢性腎炎

慢性腎炎のうち、浮腫および高度のタンパク尿をきたすもので、原因は腎炎と同じである。症状は浮腫、乏尿、タンパク尿があり、この疾患では血圧が高くなり腎機能も障害される場合がある。予後は真性ネフローゼより悪いことが多い。治療は慢性腎炎に準じ、食事療法が主で、薬剤による治療効果はあまり期待できない。[加藤暎一]

その他の原因による二次性ネフローゼ

糖尿病、循環障害、感染症、腫瘍(しゅよう)、膠原(こうげん)病、妊娠、薬剤、中毒などによる二次性ネフローゼで、予後は原因疾患により異なり、治療も原因疾患に応じて行われる。原因疾患の判明しているものではその治療により、また薬剤などによるものではその投与を中止することにより、それぞれ症状の改善をみることが多い。[加藤暎一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のネフローゼ症候群の言及

【ネフローゼ】より

…かつては尿細管の病変によってタンパク尿と浮腫を伴う腎臓の疾患を指したが,近年では,糸球体の病変によって生じ,高度のタンパク尿と低タンパク血症を伴う症候群を指し,医学的にはネフローゼ症候群nephrotic syndromeと呼ばれる。1905年,F.vonミュラーが腎臓疾患を炎症性疾患と尿細管の変性疾患に大別し,後者をネフローゼと呼んだ。…

【腹水】より

…漏出性腹水は,タンパク質濃度は1g/dl前後で,比重は低く細胞成分も少ない。漏出性腹水は,肝硬変,腎臓疾患ことにネフローゼ症候群,心不全などでみられる。肝硬変症では,肝細胞障害により肝臓のアルブミン合成能が低下するために,血中のアルブミン濃度が減少してコロイド浸透圧の低下を起こし,血液の漏出が起こりやすくなる。…

※「ネフローゼ症候群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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