日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイダル・アリー」の意味・わかりやすい解説
ハイダル・アリー
はいだるありー
Haidar Ali
(1722―1782)
インド、マイソール王国の支配者。領主の雇われ武士の子として生まれ、マイソール軍の騎兵となり、戦時の功績で頭角を現した。王家の実力者デバラージ・ライに登用され、ついに1761年、旧来のヒンドゥー王国を簒奪(さんだつ)、実質的な支配者となった。王国の領土拡大、近代ヨーロッパ兵法・兵器の導入などに手腕を発揮し、近隣諸国のマラータ、ハイデラバードや、イギリス東インド会社からも恐れられた。当時はイギリスによる植民地侵略の最盛期でもあり、だれもが現実的打算から強力なイギリスとの連合を望むなかで、彼は1人その侵略の戦いに抵抗し続け(第一次、第二次マイソール戦争)、意なかばにして病没し、息子ティープー・スルタンにすべてが託された。
[上條安規子]