ハドロン(読み)はどろん(英語表記)hadron

翻訳|hadron

デジタル大辞泉 「ハドロン」の意味・読み・例文・類語

ハドロン(hadron)

素粒子うち強い相互作用をもつものの総称バリオン中間子があり、基本粒子クオークからなる。強粒子

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハドロン」の意味・わかりやすい解説

ハドロン
はどろん
hadron

素粒子のうち、強い相互作用をする粒子の総称。ハドロンはギリシア語で強い粒子の意味である。ハドロンのうち、スピン半整数(1/2、3/2、……)でフェルミ統計に従うものを重粒子(バリオン)、整数スピンでボース‐アインシュタイン統計に従うものを中間子(メソン)という。前者には、陽子中性子、Λ(ラムダ)粒子、Σ(シグマ)粒子などが属し、後者にはπ(パイ)中間子、K中間子などが属する。今日の素粒子の物理学の知見によれば、ハドロンはクォークからつくられた粒子と定義できる。

益川敏英

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改訂新版 世界大百科事典 「ハドロン」の意味・わかりやすい解説

ハドロン
hadron

強粒子ともいう。電磁相互作用,弱い相互作用のほかに,主として強い相互作用をする素粒子の一群。ハドロンのうちバリオン数(素粒子の種類によって決まる量の一つ)0のものを中間子,バリオン数1のものをバリオンと呼ぶ。これらのハドロンは整数または半整数のスピンをもち,質量もπ0中間子の135MeVから10GeV強のものに至るまで数百個も見つかっている。このようにハドロンの数が多いということは,ハドロンがもっと基本的な粒子であるクォークの複合系からできていると考えればうまく理解できる。つまり整数スピンをもつハドロン(中間子)はクォークと反クォークの結合系と考えられ,半整数スピンをもつバリオンはクォーク3個の結合系と考えればハドロンの諸性質がうまく説明できる。
素粒子
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百科事典マイペディア 「ハドロン」の意味・わかりやすい解説

ハドロン

強粒子とも。電磁相互作用,弱い相互作用のほかに,主として強い相互作用をする素粒子の一群。ハドロンのうちバリオン数(バリオン)が0のものを中間子,バリオン数が1のものをバリオンと呼ぶ。整数または半整数のスピンをもち,質量は135メガ電子ボルト〜10ギガ電子ボルトと広範囲にわたり数百個も見つかっている。このようにハドロンの数が多いことは,ハドロンがさらに基本的な粒子であるクォーク複合体からできていると考えればうまく理解できる。→素粒子論
→関連項目ストレンジネス

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化学辞典 第2版 「ハドロン」の解説

ハドロン
ハドロン
hadron

強い相互作用をする重粒子バリオン中間子とをあわせてハドロンいう.ハドロンの語源はギリシア語の“強い”を意味する言葉δρζに由来する.中間子がクォーク,反クォークの組合せの粒子であるの対して,バリオンは通常3個のクォークからなる粒子で,陽子,中性子も含まれる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハドロン」の意味・わかりやすい解説

ハドロン
hadron

強い相互作用をする素粒子で中間子バリオンの総称。強粒子ともいう。ハドロンのうち,スピンが整数のボソンを中間子,スピンが半奇数のフェルミオンをバリオンという。原子核は,最も軽いバリオンの陽子と中性子が,最も軽い中間子の π 中間子を媒介として結合したハドロン系である。ハドロンはアイソスピンの多重項を形成し,多重項ごとに素粒子名がつけられている。

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