ハロゲン化物(読み)ハロゲンカブツ

化学辞典 第2版の解説

ハロゲン化物
ハロゲンカブツ
halogenide, halide

ハロゲンと他の元素との化合物で,周期表中のほとんどすべての元素はハロゲン化物をつくり,一般にもっとも重要で普通にみられる化合物である.元素を直接ハロゲン化するか,金属,金属の酸化物,水酸化物,炭酸塩をハロゲン化水素酸に溶かすと得られる.難溶性のハロゲン化物は金属塩水溶液にハロゲン化物水溶液またはハロゲン化水素酸を加えて沈殿させることにより得られる.金属のハロゲン化物は,一般にイオン性の物質であるが,金属イオンの電荷と半径比の値が増大するにつれて共有性が増大する(例:KClはイオン性であるがTiCl4は本質的に共有性である).同じ金属でも低酸化状態のハロゲン化物はイオン性をとる傾向があるのに対し,高酸化状態のものは共有性をとる傾向がある(例:UF4はイオン性であるがUF6は共有性である).イオン性のものは融点,沸点が高く,一般に水または有極性溶媒に溶ける.陰性の元素,すなわち非金属およびきわめて高酸化状態の金属イオンのハロゲン化物は共有性で,融点,沸点が低く,無極性溶媒に溶けやすく,また多くのものは容易に加水分解して,ハロゲン化水素酸とその元素のオキソ酸を生じる.

例:PCl3 + 3H2O → H3PO3 + 3HCl

ハロゲン化物に過剰のハロゲン化物イオンが配位するとハロゲン酸およびその塩を生じ(例:H2PtCl6,K2PtCl6),またハロゲンまたはハロゲン化ハロゲンが付加するとポリハロゲン化物(例:KI3,KIBr2)を生じる.

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精選版 日本国語大辞典の解説

ハロゲンか‐ぶつ ‥クヮ‥【ハロゲン化物】

〘名〙 ハロゲン元素との化合物。弗化物、塩化物、臭化物、沃化物の総称。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ハロゲン化物
ハロゲンかぶつ
halogenide; halide

(1) ハロゲンとこれより電気陰性度の小さい元素との化合物異種のハロゲン同士によって生成するハロゲン間化合物ハロゲン化物にハロゲンが付加した組成をもつポリハロゲン化物もある。 (2) ハロゲンを含む有機化合物で,有機ハロゲン化物という。1分子中に含まれるハロゲン原子の数により,モノ,トリ,…,ポリハロゲン化物などと呼ばれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ハロゲン化物
はろげんかぶつ
halogenide

ハロゲンと、それより電気陰性度の小さい元素との二元化合物AXの総称。Aが基(とくに有離基)の場合もある。塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物などがある。

[編集部]

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世界大百科事典 第2版の解説

ハロゲンかぶつ【ハロゲン化物 halogenide】

フッ()化物,塩化物,臭化物,ヨウ()化物およびアスタチン化物の総称で,ハロゲン元素とそれよりも電気陰性度の小さい元素との化合物をさす。ハロゲン元素どうしの化合物はとくにハロゲン間化合物と呼ばれ,またハロゲン化物(ハロゲン間化合物を含む)とハロゲンとの付加物をポリハロゲン化物と呼ぶ。これらをすべて含めてハロゲン化物と呼ぶこともある。元素をハロゲンと直接反応させたり(たとえばH2とCl2),金属およびその酸化物,水酸化物,炭酸塩などをハロゲン化水素酸水溶液に溶解させたり(たとえば亜鉛を塩酸に溶解させたり,酸化銅(II)を臭化水素酸と反応させる),また金属塩の水溶液にハロゲン化水素酸またはアルカリハロゲン化物水溶液を加えて複分解により難溶性のハロゲン化物を沈殿させたり(たとえば硝酸銀水溶液にヨウ化水素酸やヨウ化ナトリウム水溶液を加えてヨウ化銀を沈殿させる)して得ることができる。

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