改訂新版 世界大百科事典 「ハンガイ山脈」の意味・わかりやすい解説
ハンガイ[山脈]
Khangghai
モンゴル高原北部をアルタイ山脈に平行して走る山脈。長さ700km,標高2000~3000m。最高峰はオトゴン・テングリ(エンフ・タイワン)山で3905m。中部に玄武岩が広く分布する。氷河は今は小さい。セレンゲ,オルホン,ザバハンなどの川が発し,森林ステップが広がる。ただ2600~2700m以上は高山帯であり,主脈の南側の中腹以下は純ステップ地帯に属する。水草に恵まれ遊牧に最適で,狩猟の獲物も多い。なかでも東部のオルホン川上流域一帯はとくにすぐれ,しかも交通の要地でもあったので,突厥(とつくつ),ウイグル,モンゴルなどの遊牧国家の根拠地が置かれた。突厥,ウイグルはこの一帯の山をユチュケンと称し尊崇した。ハンガイ山の称は12世紀ころにはモンゴル人によって用いられていたらしい。ハンガイは別に普通名詞として〈水,草,森林に恵まれた涼しい山地〉の意味をもつ。このハンガイにはハンガイ山脈だけでなく,アルタイ山脈やヘンテイ山脈なども含まれる。
執筆者:吉田 順一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報