デジタル大辞泉
「バベルの塔」の意味・読み・例文・類語
バベル‐の‐とう〔‐タフ〕【バベルの塔】
《Babelは聖書の地名シナルの古都》旧約聖書の創世記にある伝説上の塔。ノアの大洪水ののち、人類がバビロンに天に達するほどの高塔を建てようとしたのを神が怒り、それまで一つであった人間の言葉を混乱させて互いに通じないようにした。そのため人々は工事を中止し、各地に散ったという。転じて、傲慢に対する戒めや、実現不可能な計画の意にも用いられる。
[補説]作品名別項。→バベルの塔
バベルのとう【バベルの塔】[絵画]
《原題、〈オランダ〉De toren van Babel》ブリューゲルの絵画。板に油彩。縦114センチ、横155センチ。旧約聖書に登場する神の怒りを買って完成を妨げられたバベルの塔を描いた作品。同じ画題の作品がロッテルダムのボイマンス美術館にある。ウィーン美術史美術館所蔵。
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バベル‐の‐とう‥タフ【バベルの塔】
- [ 1 ]
- [ 一 ] 旧約聖書の創世記第一一章に記されている、ノアの子孫たちがシナルの地(都はバベル(Babel))に建てようとした、頂が天に達する巨大な塔。その僭越に怒ったエホバの神は、それまで一つであった言語を乱したため、人々はことばを互いに通じ合わすことができず離散したという。
- [ 二 ] 古代バビロニアの首都バビロンにあった塔。最初のものはハンムラビの時代にすでに消滅していたが、新バビロニア(カルデア王国)のナボポラッサル、ネブカドネザル父子が再建したとギリシアのヘロドトスが伝えている。一九世紀末から二〇世紀初頭にコルデバイが発掘。縦横高さとも九〇メートルの段々状の八階からなり、最上階にバビロンの守護神マルドックをまつった。
- [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( [ 一 ][ 一 ]から ) 自己の限界を考慮しない不可能な計画。実現の見込みのない物事。〔新しき用語の泉(1921)〕
- [初出の実例]「安土のセミナリオは、ゆめゆめバベルの塔であってはならぬと」(出典:かるさん屋敷(1953)〈井伏鱒二〉竜舌蘭)
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バベルの塔 (バベルのとう)
Tower of Babel
バベルはヘブライ語でのバビロンの呼び名。ヘブライ人はそれを〈神の門Bāb-ili〉としてではなく,〈乱すbālal〉と結びつけて解し,人類の罪の増大に対する神の対応を語る旧約聖書《創世記》11章の物語に利用した。物語によると,人類はその名声を高めようとして,町と,天に達する塔を共同作業により煉瓦で作ったが,神はこれを人間の自己神化の試みとみて,以後作業のできないように言語を〈乱した〉という。バビロニア各地に33基の聖塔(ジッグラト)のあったことが今日知られているが,首都バビロンの聖塔はシュメール人が着工,未完であったものを後の時代の新バビロニアの王たちが工事を再開し,努力を重ねて前7世紀ネブカドネザル2世の時にようやく完成した。この王の碑文から一辺と高さが各約90m,階段ピラミッド状で,第6層目の上に神殿があったと推定され,ヘロドトスの《歴史》にも述べられている(1巻181節)。19世紀末から20世紀初めにこれを発掘したドイツの古代学者コルデワイR.Koldewey以来,さまざまな塔の模型が提出されたが,正確な形姿の決定は困難である。
執筆者:並木 浩一
図像
バベルの塔は,中世美術では方形の望楼のような形に描かれる。《創世記》の一連の物語場面の中では,塔の建設と言語の混乱の場面が続けて表されることが多い(サン・サバン,旧修道院付属教会堂のフレスコ,1100ころ)。ルネサンス期以後,螺旋状に廊のめぐる円錐形の巨大な塔が克明に表現されるようになった(P. ブリューゲル,1563)。塔の崩壊の場面は《ヨハネの黙示録》の記述により,大風や雷によって崩れ落ちる様が描かれる。
執筆者:浅野 和生
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バベルの塔
ばべるのとう
Tower of Babel
『旧約聖書』「創世記」に記されたれんが造りの高い塔。物語によれば、人類はノアの大洪水ののち、シナル(バビロニア)の地にれんがをもって町と塔を建て、その頂を天にまで届かせようとした。神はこれをみて、それまで一つであった人類の言語を乱し、人間が互いに意志疎通できないようにしたという。この物語の背景には文化史的な事実がある。というのは、古代メソポタミアにおいて、各大都市はジッグラトとよばれる壮麗な塔を日干しれんがで建造し、そこで種々の宗教祭儀を行っていたからである。この事実は考古学的発掘によって証明されている。政治的、経済的、文化的に劣る古代イスラエル人は、この塔を見聞したとき、これにあこがれるのでなく、むしろこういった文明の背後に潜む人間の自己過信や高ぶりを見抜こうとしたのであろう。また、このような大建造物をもって威圧する政治権力が、結局は人々を一致させるどころか分裂させていくということを悟った。
こうした文明批判から生まれたのがバベルの塔の物語である。「バベルの塔」は比喩(ひゆ)的に人間の高ぶりの業(ごう)の意味で用いられる。また、西欧近世の絵画にしばしばみられるバベルの塔にも、同様の文明批判が込められていることが多い。バベルはバビロンとバラル(乱す)の語呂(ごろ)合せである。
[月本昭男]
『前田護郎著『ことばと聖書』(1963・岩波書店)』
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バベルの塔
バベルのとう
Tower of Babel
旧約聖書『創世記』中に出てくる塔。大洪水のあと同じ言葉を話していたノアの子孫たちは,東方のシナルの平野に移り住んだとき,民族の分散を免れることを願って,煉瓦と瀝青を用いた町と,天に達するような高い塔とを建設することを企てた。ヤハウェはこれを見て同一言語を有する民の強力な結束と能力を危惧し,彼らの言葉を混乱させ (バーラル) ,その企てをはばんだ。民は町と塔の建設を断念して各地に散った。この町はバーラルという語の発音に似せたバベルと呼ばれるようになった。この物語は,民族と言語の多様性を説明すると同時に,神と等しくなろうとする人間の罪を描いている。こうしてバベルの塔はノアの子孫たちの分散の原因となった (11・1~9) 。ただし『創世記』 10章における諸民族の成立の記事にはこの塔のことは触れられていない。バベル (バビロン) はアッシリアでは「神の門」の意味であるが,『創世記』はヘブライ語の語根バーラルと結びつけている。なおこの塔は,ジッグラトと呼ばれるバビロンのピラミッドをさすという説もある。
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バベルの塔
人間の思い上がりのたとえ。また、実現不可能な計画のたとえ。
[使用例] かくして、お前は心の隅に容易ならぬ矛盾と、不安と、情なさとを感じながら、益々高く虚妄なバベルの塔を登りつめて行こうとするのだ[有島武郎*惜みなく愛は奪う|1920]
[由来] 「[旧約聖書]―創世記・一一」に出て来る話から。ノアの洪水の後、生き残ったノアの子孫たちは、いくつかに分かれて暮らしていましたが、みんな同じ言語を話していました。そんな彼らは、やがてある平原に移り住み、天に達するほど高い塔を建て始めます。しかし、神はそれを気に入らず、人間の言葉を混乱させてお互いに通じないようにし、住む場所もあちこちへと分散させてしまったということです。その結果、塔が完成することはなく、その場所は、ヘブライ語で「混乱している」ことを表す「バベル」と名付けられたのでした。
出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報
バベルの塔【バベルのとう】
旧約聖書の《創世記》第11章に現れる巨塔。人びとは天にも届く塔を建てようとしたので,その高慢に怒った神は,言語を混乱させ,人びとを各地に散らして完成を妨げたという。この話のもとになったのはバビロン(バベル)にあったジッグラト(方形の塔)と推定され,遺跡がコルデワイによって発掘された。ジッグラトの基礎は一辺が90mを越え,7層になっていたと考えられている。後世の絵画ではP.ブリューゲル(父)のそれがもっとも有名。
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バベルの塔
バベルのとう
Tower of Babel
『旧約聖書』の「創世紀」第11章に出てくる塔
ノアの子孫が天に届く塔を築こうとしたため神の怒りにふれ,言語を不統一にして混乱を起こさせ,建築を中止させたといわれる。これは各国語の存在を神話的に説明したもの。バビロンほかメソポタミアの諸都市には,バベルの塔の原型とされるジッグラトが残っている。中世以来,絵画の題材としてしばしばとりあげられている。
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
バベルの塔(バベルのとう)
Babel
旧約聖書の「創世記」第11章に記された伝説で名高い古代メソポタミアのジッグラト(聖塔)。バベルは「神の門」という意味の町の名で,バビロンがモデルであろうといわれる。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
バベルの塔〔絵画〕
ネーデルラントの画家ピーテル・ブリューゲル(父)の絵画(1563)。原題《De toren van Babel》。旧約聖書に登場する神の怒りを受けて破壊されたバベルの塔を描いた作品。ウィーン美術史美術館所蔵。同じ主題の作品をオランダのボイマンス美術館も所蔵する。
バベルの塔〔ゲーム〕
ナムコが1986年7月に発売したゲームソフト。アクションパズルゲーム。ファミリーコンピュータ用。その後、レトロゲームを集めたプレイステーション用ソフト「ナムコアンソロジー1」、ゲームボーイ用ソフト「ナムコギャラリーVOL.3」に収録。
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バベルの塔
ノアの洪水の後、人間はバビロンに都を建て、天まで届く塔を建てようとするが、神は怒って人間の傲慢を打ち砕くために彼らの言語を混乱させてしまい、塔は完成しなかった。そのため、この塔はバベル(ヘブライ語で混乱の意)の塔と呼ばれた。
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