バルビュス(読み)ばるびゅす(英語表記)Henri Barbus

デジタル大辞泉 「バルビュス」の意味・読み・例文・類語

バルビュス(Henri Barbusse)

[1873~1935]フランス小説家人間情念を赤裸々に描いた「地獄」、次いで反戦小説「砲火」で注目を浴びる。のち「クラルテ」を発表し、平和運動にも尽力。→クラルテ

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精選版 日本国語大辞典 「バルビュス」の意味・読み・例文・類語

バルビュス

  1. ( Henri Barbusse アンリ━ ) フランスの小説家、詩人人道主義立場から悲惨な民衆生活戦争悲劇を描いた。また、平和と人間解放をめざすクラルテ運動(国際平和運動)を指導した。代表作「砲火」「クラルテ」。(一八七三‐一九三五

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルビュス」の意味・わかりやすい解説

バルビュス
ばるびゅす
Henri Barbus
(1873―1935)

フランスの小説家。パリ近郊アスニエルに生まれる。早くからジャーナリズムに身を投じ、詩人として出発。1908年、人間情念の赤裸々な姿を描いた『地獄』で文壇の注目を浴びた。第一次世界大戦開始とともに志願して従軍し、その体験をもとに『砲火』(1916)、その続編『クラルテ』(1919)を書き、戦争の悲惨、愚劣さを訴えた。そして戦争の愚を避けるには、為政者手先として使われる敵味方の兵士の反戦的結束以外にないと説いた。その反戦論は戦後いよいよ強まり、32年ドイツでヒトラーが台頭するや、ロマン・ロランと協力してアムステルダムに国際反戦会議を招集し、以後平和運動に尽力した。バルビュスは革命後のロシアを理想の地と考えていたが、4回目のソビエト訪問で急性肺炎をおこし、モスクワで没した。

稲田三吉

『田辺貞之助訳『砲火』(岩波文庫)』

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改訂新版 世界大百科事典 「バルビュス」の意味・わかりやすい解説

バルビュス
Henri Barbusse
生没年:1873-1935

フランスの作家。ゾラ風の自然主義小説《地獄》(1908)で作家としての地位を確立。第1次世界大戦開始と同時に41歳で志願し,兵士の塹壕での生活と戦闘を描き,戦争の悲惨と不条理を訴えた《砲火Le feu》(1916)でゴンクール賞受賞。1919年にはその続編《クラルテ》を刊行するとともに,知識人の国際的な平和運動の母体として雑誌《クラルテ》を発刊。23年共産党に入党。1920~30年代の反戦・反ファシズム運動に貢献した。日本のプロレタリア文学運動のさきがけとなった小牧近江の《種蒔く人》はバルビュスの直接的影響のもとで創刊された。35年モスクワで客死。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルビュス」の意味・わかりやすい解説

バルビュス
Barbusse, Henri

[生]1873.5.17. セーヌ,アニエール
[没]1935.8.30. モスクワ
フランスの小説家。パリ大学在学中の 1892年『エコ・ド・パリ』紙主催の作詩コンクールで入賞,詩集『嘆きの女たち』 Les Pleureuses (1895) によって憂愁の詩人として出発したが,小説に転じ,ホテルの壁穴から目撃されるさまざまな事件を自然主義的手法によって赤裸々に描き出した『地獄』L'Enfer (1908) によって注目を浴びた。第1次世界大戦に参加,戦争文学の傑作『砲火』 Le Feu (16,ゴンクール賞) を著わし,社会主義的平和主義に向った。さらに,無産階級の立場を擁護した小説『クラルテ』 Clarté (19) を出版,同名の雑誌を創刊し,コミュニスト作家としての地位を確立,反ファシズムの国際作家会議の開催 (35) などに尽力した。ほかに『連鎖』 Les Enchaînements (25) ,『イエス』 Jésus (27) ,『上昇』 Élévation (30) ,『スターリン』 Staline (35) など。

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百科事典マイペディア 「バルビュス」の意味・わかりやすい解説

バルビュス

フランスの小説家。初め新聞記者をしながら詩を書く。人間の醜悪さを描いた自然主義小説《地獄》(1908年)で有名になり,反戦小説《砲火》(1916年),《クラルテ》(1919年)を発表。平和主義の国際的文化運動〈クラルテ運動〉を起こした。1923年共産党に入党。反ファシズム運動に献身しモスクワで客死した。この運動の影響は日本では雑誌《種蒔く人》にみられる。

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旺文社世界史事典 三訂版 「バルビュス」の解説

バルビュス
Henri Barbusse

1873〜1935
フランスの詩人・小説家
クラルテ(光明)運動という国際的平和運動を始め,のち共産党にはいり,ロマン=ロランらとともに反戦運動・国際文化運動に協力した。ソ連を訪問中,モスクワで客死。代表作は『地獄』『砲火』『クラルテ』など。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「バルビュス」の解説

バルビュス
Henri Barbusse

1873~1935

フランスの作家。象徴派の詩人として出発したが,第一次世界大戦に従軍し,その戦争への批判を通じて社会主義作家となる。クラルテ運動など国際平和運動を活発に行った。

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