出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
カナダの医学者。オンタリオ州アリストンで生まれ,トロント大学で宗教学を修めていたが1年で医学に転じ,解剖学と外科学に興味をもった。1916年卒業と同時にカナダ陸軍の軍医となり第1次大戦に従軍,18年フランスで負傷し十字勲章を授与された。オンタリオ州ロンドンで開業,地元のウェスタン大学で解剖学と生理学を講じた。糖尿病に注目し,21年トロント大学生理学教授マクラウドJohn Macleod(1876-1935)の協力で実験室と共同研究者ベストCharles H.Best(1899-1978)を得て,膵臓のランゲルハンス島から分泌されるインシュリンを発見,これを糖尿病治療に用いて卓効を示した。23年マクラウドとともにカナダで初めてノーベル生理・医学賞を受賞した。協力者ベストもノーベル賞を受けるべきだと主張したが,説得されて受賞し賞金の半分をベストに贈った。トロント大学にバンティング=ベスト講座が設けられ,34年サーの称号を与えられた。第2次大戦で再び軍医となり航空医学研究に従事,ニューファンドランド上空で飛行機事故のため死去した。
執筆者:本田 一二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
カナダの生理学者.トロント大学ではじめ神学を志したが,まもなく医学に転じ,1916年に卒業.軍医として第一次世界大戦に従軍し,負傷して退役ののち,トロント小児病院に勤務.1921年トロント大学教授J.J.R. Macleod(マクラウド)の研究室で,助手のC.H. Bestとともに,イヌを使って膵臓から分泌される血糖降下因子の抽出を試み,インスリンを発見し,糖尿病の治療に用いて成功した(1922年).この功績により,1923年Macleodとともにノーベル生理学医学賞を受賞.ただし,かれはMacleodの功績を認めず,賞金をBestと分けあった.同年トロント大学医学研究所所長に就任し,以後,がんや血栓の研究に従事した.1941年飛行機事故で死亡.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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…肝臓,筋肉,脂肪組織などに作用し,主として補給栄養系の体内蓄積同化を促進し,グルカゴン,成長ホルモン,コルチゾール,エピネフリンなどの異化作用と拮抗して代謝の調節をつかさどり,結果として血糖を低下させる。 インシュリンは1921年,バンティングF.G.BantingとベストC.H.Bestによって,膵臓の抽出物中から,血糖降下物質として見いだされた。次いで26年,エーベルJ.J.Abelが結晶化に成功,55年にサンガーF.Sangerがそのアミノ酸配列を明らかにした。…
※「バンティング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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