翻訳|panel study
社会調査の一技法。事象の時間的変化についての把握をするための調査デザインは、大別すれば、横断的調査cross-sectional surveyと縦断的調査longitudinal surveyとに分けられる。横断的調査は、調査時現在という一時点で時間の流れを切断して対象を測定し、たとえば、年齢の異なる対象間を比較することによって、年齢増加に伴う諸変数の変化をみいだすなどして、分析を行う。一方、縦断的調査は、同一の対象を二時点以上で測定し、諸変数の変化をとらえようとする方法である。この同一対象の反復調査という考え方は、ルーズにとらえれば、同一の集団や社会のなかから調査ごとにサンプリングを行い、調査対象者を選び直す方法もあり、またそのほうが調査も容易である。しかし、調査対象者を厳格に固定して繰り返し同一質問を行う方法を、それとは区別してパネル調査という。
この方法を用いれば、対象となっている集団や社会では相殺されて変化がみいだされないようなものも、変化を明らかにすることができる。たとえば、ある政党の支持層が変わったとしても、全体的な支持率には変化がないというような場合である。しかし、同一対象者に同じ質問をする場合には、とくに意識に関するものなどは前回調査の影響を受けやすく、また、反復ごとにサンプル数が減少してしまうといった問題もある。調査対象者が固定されているので、人員構成の変化が激しい集団の場合、時間の経過とともにサンプルの代表性が失われていくことにも注意が必要である。
パネル調査は初め、市場調査において用いられていたが、世論や職業移動の研究にも使われている。
[原 純輔]
『水野欽司著『パネルデータの分析』(1983・朝倉書店)』▽『原純輔・浅川達人著『社会調査』改訂版(2009・放送大学教育振興会)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 (株)ジェリコ・コンサルティング流通用語辞典について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加