パンを乾燥して粉状にしたもので、魚・貝などのフライ、カツレツやコロッケなどの揚げ物、ハンバーグなどのひき肉料理、グラタンなどに用いられる材料。業務用と家庭用に広く利用されている。生パン粉、ソフトパン粉、ドライパン粉がある。生パン粉は焼き上げたパンを大きな破片状に粉砕した水分が約35%のもので、保存性が高い包装材料に入れられている。水分が約20%になるように乾燥したソフトパン粉は比較的大きなパンの破片で、ふわっとしており(比容積が大きい)、料理にして食べたときの口あたりがよい。ドライパン粉は水分が約12%になるように乾燥したもので、粒度が細かい。生パン粉とソフトパン粉の販売量が多い。パン粉製造では、まずパンを焼く。食パンの場合よりも、砂糖、油脂を半分以下にし、脱脂粉乳も加えないで、中種(なかだね)法か直捏(じかごね)法で生地(きじ)をつくり、発酵、分割、丸め、整形、型詰め、焙炉(ほいろ)の工程を経たのち、普通のパンがまか電極式パン焼き機によって焼成する。電極式ではパンの表面が焦げないので、均一な外観のパン粉になる。冷却、粉砕、乾燥、ふるい分けをして製品になる。比容積が大きいと揚げ物での油吸いが少なく、軽く揚がる。パン粉は必要な量だけ皿に広げ、霧を吹いてしっとりさせてから使うのがこつである。冷凍食品用には一般生菌数が少ないことが要求される。
[長尾精一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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