ヒストン

デジタル大辞泉 「ヒストン」の意味・読み・例文・類語

ヒストン(histone)

細胞核中で、DNAデオキシリボ核酸)と結合した複合体ヌクレオヒストンを形成している塩基性たんぱく質。

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精選版 日本国語大辞典 「ヒストン」の意味・読み・例文・類語

ヒストン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] histone ) 単純蛋白質一つアルギニンリジンに富む塩基性蛋白質で、動物細胞核にヌクレオヒストンとして検出される。

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化学辞典 第2版 「ヒストン」の解説

ヒストン
ヒストン
histone

真核細胞の核に存在する一群塩基性タンパク質総称.高等生物の細胞核中でDNAと結合し,ヌクレオヒストンとして存在する.精子核中にはヒストンのかわりに同族タンパク質であるプロタミンが含まれる.アミノ酸組成リシンアルギニン含量が多く,芳香族アミノ酸および含硫黄アミノ酸が少なく,トリプトファンは含まれない.pI10~11,分子量(1~2)×104 の範囲にある数種類の分子種(H1,H2A,H2B,H3,H4)からなる.すなわち,
(1)高リシン,アラニン型,
(2)高アルギニン,グリシン型,
(3)高アラニン,ロイシン型,
(4)高リシン,セリン型,
(5)高アルギニン,アラニン型,
などである.ヒストンのαヘリックス含量は低塩濃度液中では少なく,高塩濃度液中あるいはDNAと結合することによって多くなる.ヒストンはDNAと結合し,構造維持に寄与するとともに,DNAを鋳型としたDNA合成,RNA合成を制御すると考えられている.[別用語参照]クロマチンヌクレオソーム

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ヒストン」の意味・わかりやすい解説

ヒストン
histone

塩基性の単純タンパク質で,DNAと結合した複合体ヌクレオヒストンの形で,ほとんどすべての真核細胞の核中に存在する。一般的に5種類の分子種(H1,H2A,H2B,H3,H4)が知られ,構成アミノ酸としてはリジンやアルギニンが多い。各ヒストンとも多くの生物種においてそのアミノ酸配列が決定されており,分子進化の研究が進んでいる。分子量はウシ胸腺ヒストンの場合,最大のH1が約2万2000であり,最小のH4では約1万1000である。クロマチン(染色質)はヌクレオソームと呼ばれる構造単位から構築されているが,この単位構造はヒストン八量体(H2A,H2B,H3,H4の各2分子ずつ)のまわりにDNAが2巻きし,そのDNAにH1が1分子結合したものと考えられている。

 ヒストンのアミノ酸残基の一部はアセチル化メチル化などの化学修飾を受けており,細胞分化細胞周期におけるDNAの遺伝情報発現の調節と関係が深いと考えられている。
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百科事典マイペディア 「ヒストン」の意味・わかりやすい解説

ヒストン

核タンパク質の一種。リジンやアルギニンなど塩基性アミノ酸に富む。5種の分子があり,分子量約1万〜2万。生体の細胞核中ではDNAと結合してヌクレオヒストンの形で存在。染色質はDNAとヒストンがからみあったヌクレオソームという単位構造からなる。ヒストンのアミノ酸残基はDNAの遺伝情報発現に関係すると考えられている。
→関連項目染色体

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栄養・生化学辞典 「ヒストン」の解説

ヒストン

 真核生物に存在し,核内でDNAと複合体を形成しているタンパク質.DNAとヌクレオソームを構成する.リシン,アルギニンに富み塩基性タンパク質に属する.

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