ビタミンD(読み)ビタミンディー

デジタル大辞泉 「ビタミンD」の意味・読み・例文・類語

ビタミン‐ディー【ビタミンD】

脂溶性ビタミンの一。肝油・卵黄・バターなどにビタミンAと共存して含まれ、D2・D3の活性が高い。カルシウムりんの吸収を促進する作用をもつ。欠乏すると佝僂病くるびょうや骨・歯の発育不良などを起こす。カルシフェロール

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精選版 日本国語大辞典 「ビタミンD」の意味・読み・例文・類語

ビタミン‐ディー【ビタミンD】

  1. 〘 名詞 〙 脂溶性ビタミンの一つ。D1~D5 が知られる。ビタミンAと共存し、魚肝油・動物内臓・筋肉・卵黄・バターなどに多く含まれる。腸でのカルシウム・燐の吸収を促進し、骨格歯牙のカルシウム沈着を促すため、欠乏すると、佝僂(くる)病になり骨が湾曲、骨折しやすく、歯牙の発達を悪くし、歩行困難となる。D2はカルシフェロールともいう。

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化学辞典 第2版 「ビタミンD」の解説

ビタミンD
ビタミンディー
vitamin D

カルシフェロール(calciferol)ともいう.ビタミン D2,D3,D4 の総称(生理活性を有するのはビタミン D3 の誘導体1,25-Dihydroxyvitamin D3).それぞれ次のような化学構造をもつ.E.V. McCollum(1922年)は肝油中の抗くる病成分がビタミンAと異なった物質であることを確かめ,ビタミンDと命名したが,これとは別にA.F. Hess(1924年)らは紫外線に当たった食品中にも同様のはたらきをもった成分が生じることを発見した.A.Windaus(ウィンダウス)(1931年)は食品中のエルゴステロールが紫外線により活性化されることを明らかにし,その活性化により2種類のDを結晶化して,ビタミン D1 および D2 と命名した.しかし,前者はビタミン D2 とルミステロールとの分子化合物であることが判明し,ビタミン D1 という名称は廃棄され存在しない.【】ビタミン D2:C28H44O(396.65).エルゴカルシフェロール(ergocalciferol)ともいう.無色の針状または柱状結晶.融点115~118 ℃.λmax 265 nm.+103~+106°(エタノール).ビタミン D3 とともに多くの有機溶媒,油脂に可溶,水に不溶.エルゴステロールの紫外線照射(最適波長275~300 nm)によってつくられる.ビタミン D2,D3 はともに空気中で不安定であるが,窒素中-20 ℃ で保存すれば比較的安定である.ビタミン D2 の抗くる病作用は白ネズミ予防試験では40000国際単位/1 mg で,ビタミン D3 と同等である.ビタミンDの活性単位はエルゴカルシフェロール0.025 μg のもつ生物学的活性と規定されている.[CAS 50-14-6]【】ビタミン D3:C27H44O(384.64).コレカルシフェロール(cholecalciferol)ともいう.無色の針状結晶.融点84~88 ℃.λmax 265 nm.+103~+112°(エタノール).有機溶媒,油脂に可溶,水に不溶.プロビタミン D3,すなわち7-デヒドロコレステロールの紫外線照射により生成する.天然に存在するプロビタミンDのエルゴステロールは,酵母,シイタケなど植物界に多く存在し,7-デヒドロコレステロールは無脊椎動物類などの動物界に多く存在している.[CAS 67-97-0]【】ビタミン D4:22,23-dihydroergocalciferol.C28H46O(398.66).小板状結晶.融点96~98 ℃.λmax 265 nm.+85.7°(アセトン).22-ジヒドロエルゴステロールの紫外線照射により生成する.

ビタミンDの生理作用としては,小腸でCaの吸収を促進し,さらに二次的にリンの吸収を促進し,また骨からのCaの動員を促進する.ネズミの実験的くる病はビタミンD欠乏と同時にCa/P比の大きい場合に起こるが,この比が正常または小さいときには起こらない.ビタミンDの生理活性型は1,25-ジヒドロキシビタミン D3.ビタミンDの欠乏症はくる病,骨軟化症であるが,ビタミンDの過剰投与により高Ca血症,Caの異所沈着などの過剰症が起こる.[CAS 511-28-4]

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食の医学館 「ビタミンD」の解説

びたみんでぃー【ビタミンD】

ビタミンDはカルシウムの吸収や、体内での利用に深くかかわる栄養素です。ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収がうまくいかなくなり、まず、精神的にイライラしやすくなります。その後、骨軟化症(こつなんかしょう)やくる病などの欠乏症が現れます。とくに乳幼児育ち盛りの子どもは、骨の発育不良や欠乏症をまねかないよう、成人の目安量に近い1日2.0~5.0μgが必要。さらに妊娠中の女性は7.0μg、授乳期の女性は8.0μgが必要とされています。
 ただ、サプリメントなどで極端な量を摂取すると過剰症を起こし、食欲不振や不機嫌、吐(は)き気(け)といった症状がでるので適量の摂取が大事です。
 可食部100g中に含まれるビタミンDの多い食品として、以下のものがあります。アラキクラゲ(乾)128.5μg、キクラゲ(乾)85.4μg、、しらす干し(半乾燥品)61μg、身欠きニシン50μg、すじこ47μg、シロサケ32μg。成人1日あたりの目安量は男女とも5.5μgです。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビタミンD」の意味・わかりやすい解説

ビタミンD
ビタミンディー
vitamin D

天然に存在する一群のステロールで,主として動物界に存在する。シイタケなどに含まれるエルゴステリンは紫外線によってDに変るので,プロビタミンDとも呼ばれる。ビタミンDが欠乏すると,幼児期には佝僂 (くる) 病に,成人では骨軟化症になる。日光や紫外線の照射は皮膚でのビタミンDの合成を促進するので,日光浴をし,肝油やビタミンD剤の服用をすれば回復する。ビタミンD過剰症のおもな症状は,食欲不振,吐乳,便秘,皮膚乾燥,筋緊張低下,口渇,多尿などである。このような症状がみられたら,肝油やビタミン剤の投与を中止する。

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栄養・生化学辞典 「ビタミンD」の解説

ビタミンD

 抗くる病ビタミンともいう.脂溶性ビタミンの一つ.活性物質はビタミンD2(→エルゴカルシフェロール)とD3(→コレカルシフェロール)がある.いずれも,肝臓で25位が水酸化され,さらに腎臓で1位が水酸化されて作用形態となり,核内レセプターと結合して性ホルモンなどと類似の様式で遺伝子の転写調節因子として働く.欠乏すると,くる病といって骨の変形などの症状が出る.ヒト血漿の25-ヒドロキシビタミンD3の正常値は10ng/ml以上とされる.

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「ビタミンD」の解説

ビタミンディー【ビタミンD】

脂溶性ビタミンのひとつ。カルシウムリンの吸収・代謝の調節をし、骨の形成・維持を促すビタミン。魚類(特に青背の魚)、乳製品、赤身肉、卵類、きのこ類などに多く含まれる。腸管でカルシウムやリンの吸収率を高め、血液中のカルシウムイオン濃度を一定に保つ役割をもつほか、神経・筋肉・心臓の機能を正常に維持、エネルギー産生、骨軟化症や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予防などに効果があるとされる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビタミンD」の意味・わかりやすい解説

ビタミンD
びたみんでぃー

ビタミン

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世界大百科事典(旧版)内のビタミンDの言及

【くる病(佝僂病)】より

…小児にみられるビタミンD欠乏症(大人ではビタミンD欠乏は骨軟化症として現れる)。佝僂はせむしの意で,この病気は古くから知られていたが,その病態は長いこと明らかではなかった。…

【ビタミン】より

…長期にわたって過剰に摂取した場合には,倦怠感,神経過敏,睡眠障害,食思不振,吐き気,嘔吐などを示す慢性中毒症になる。
[ビタミンD]
 脂溶性ビタミンで,くる病の予防因子として発見された。(1)生理作用 腸管からのカルシウム吸収ならびに骨からのカルシウム溶出を促進することによって,血中のカルシウムレベルの恒常性を維持していると考えられている。…

※「ビタミンD」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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