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骨軟化症 こつなんかしょうosteomalacia

翻訳|osteomalacia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

骨軟化症
こつなんかしょう
osteomalacia

骨軟化をおもな変化とする症候群で,これが成人に生じた場合をいう。骨組織へのカルシウム沈着障害のため,の中に類骨組織が過剰に形成される状態で,特に女性に多い。この状態が小児に生じた場合が佝僂病 (くるびょう) である。骨軟化症はビタミンD欠乏症,腎疾患内分泌疾患,消化器疾患などが原因となる。下半身のリウマチ様疼痛から始って全身骨格に痛みを覚え,外力によって骨が変形する。病的骨折や筋力低下もある。まず原因疾患を明らかにしてその治療を行い,高単位のビタミンDを投与する。

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デジタル大辞泉の解説

こつなんか‐しょう〔コツナンクワシヤウ〕【骨軟化症】

骨の組織からカルシウムが減少して、骨がもろく軟らかくなり、骨格が変形する成人の病気。ビタミンD欠乏による代謝異常が原因となるもので、妊婦などに起こりやすい。→佝僂病(くるびょう)

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百科事典マイペディアの解説

骨軟化症【こつなんかしょう】

骨組織からカルシウム塩類が脱出して,骨が本来のかたさを失う病気。はなはだしい場合は骨格の著しい変形をきたす。原因についてはカルシウム沈着の代謝をうながすビタミンDの不足,あるいは不活性化で,肝障害,腎障害,胃切除後の慢性下痢などの他の病気によることが多い。
→関連項目胃切除後症候群テタニー

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栄養・生化学辞典の解説

骨軟化症

 骨の石灰化が異常で骨の強度が低下する疾患の総称.ビタミンD欠乏によるものが典型的.

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家庭医学館の解説

こつなんかしょう【骨軟化症 Osteomalacia】

◎治療の原則はビタミンDの内服
[どんな病気か]
 骨は、コラーゲンと呼ばれるたんぱく質の網目(類骨(るいこつ)といいます)に、カルシウムやリンなどのミネラルが沈着(石灰化)して、かたい組織となっています。
 なんらかの原因によって骨の石灰化が障害され、やわらかい骨である類骨が増加した状態を、子どもではくる病(「くる病(子どもの骨軟化症)」)、おとなでは骨軟化症といいます。つまり、くる病と骨軟化症は、まったく同じ病気なのです。
 骨がもろくなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)(「骨粗鬆症」)では、骨量が減少するのに対して、骨軟化症は、石灰化していない部分、つまり類骨が増えてしまいます。
 類骨は石灰化が不十分なので、X線には映らず、まるで骨量が減ったように見えます。
[原因]
 類骨が石灰化して正常なかたい骨になるためには、カルシウムやリンのほかに、ビタミンDが必要です。
 骨軟化症の原因として、栄養分の欠乏性のもの(胃切除後が多い)、腫瘍(しゅよう)にともなうもの、先天性のもの、腎臓(じんぞう)や肝臓(かんぞう)の障害にともなうもの、抗けいれん薬や鉄剤の使用によるものなどがあります。
 欠乏性のものでは、カルシウムやリンの欠乏よりも、ビタミンDの欠乏によることが多くなっています。
 とくに胃を切除した後、ビタミンDの吸収が障害されておこる骨軟化症が増加しており、以前に比べて、純粋に栄養不良が原因となる骨軟化症は減っています。
 ビタミンDのはたらきが体内で活性化されるためには、腎臓や肝臓が十分機能することと、日光にあたることが重要です。ですから、腎臓や肝臓の病気があったり、長期間、日光にあたらない生活を続けていると、骨軟化症がおこることがあります。
[症状]
 子どもの場合は、低身長やO脚(オーきゃく)などが現われることが多く、成人してもそのままの症状が残ります。
 おとなが発病した場合は、初めは無症状のことが多いのですが、病気が進行すると、簡単に骨折したり、関節リウマチのような関節痛、腰背痛(ようはいつう)(腰や背中の痛み)などがおこってくることが多いようです。
 特徴的な症状としては、骨痛(こつつう)と呼ばれる大腿部(だいたいぶ)(太もも)などの疼痛(とうつう)のほか、筋力低下や脱力感があります。
[検査と診断]
 骨軟化症のX線検査では、骨改変層と呼ばれる、骨折と似た状態がみられるのが特徴です。ふつうの骨軟化症では骨の萎縮(いしゅく)がみられますが、生まれつき血中のリンが少ない低(てい)リン血症性骨(けっしょうせいこつ)くる症(しょう)で発症したおとなの症例(低リン血症性骨軟化症)では、むしろ骨の硬化がみられます。
 確実な診断をつけるには、骨の組織を顕微鏡で調べ、類骨が増えていることを証明する必要がありますが、通常は血液を調べて、カルシウムやリンの値の低下、アルカリホスファターゼ値の上昇およびX線検査の結果から診断します。
 骨軟化症の原因にはさまざまなものがあるので、腎臓や肝臓の検査のほか、生活習慣、服用している薬などを調べることがたいせつになります。
[治療]
 治療の原則は、ビタミンDの内服ですが、最近では、効き目の強い活性型のビタミンD製剤が使われています。
 どのような原因で骨軟化がおこっているかによって、ビタミンD製剤の投与量が異なります。
 欠乏性のものである場合は、アルファカルシドールを1日1.0μg(マイクログラム)(100万分の1g)使用します。低リン血症性骨軟化症では、もっとも大量に必要とし、アルファカルシドールを1日に3.0μg前後使用します。
 どのような場合であっても、血液中のカルシウム値やアルカリホスファターゼ値をみながら、高カルシウム血症などにならないように注意して、使用量が決定されます。

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世界大百科事典 第2版の解説

こつなんかしょう【骨軟化症 osteomalacia】

この病気は骨組織へのカルシウムの沈着障害で,類骨(まだ石灰化していない骨基質)の割合が増して骨が弱くなる。発育期のものをくる病,成人のものを骨軟化症と呼び,両者は同一疾患である。しかし原因はいろいろあって,単一疾患でなく症候群である。ビタミンDの欠乏(食事中のビタミンD不足,日光不足,腸の吸収不全,ビタミンD代謝障害など),腎細尿管障害(リンの再吸収障害),ホスファターゼ(酵素)の欠損など,種々の原因による。

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大辞林 第三版の解説

こつなんかしょう【骨軟化症】

骨の石灰化の障害のため、骨が軟らかくなり骨格が変形する成人の疾患。ビタミン D の欠乏などによる、カルシウムとリンの代謝の異常が原因。小児のくる病と同質。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

骨軟化症
こつなんかしょう
osteomalacia

骨形成に必要なカルシウム塩の沈着が妨げられて骨の中に類骨組織が過剰に存在する状態で、発育期にみられるものは、くる病とよばれる。くる病では、成長軟骨層の骨化不全が主であり、骨の長径成長が抑制されるほか、骨格全体が軟化して、内反股(こ)、O脚、X脚、脊椎(せきつい)変形などの骨格の彎曲(わんきょく)変形がおこる。成人の骨軟化症では骨質全体のミネラル沈着不足が主で、全身骨格のX線写真における陰影が薄くなるほか、骨改造層が現れる。
 古くからビタミンDの欠乏症として知られ、原因は食事によるビタミンDの摂取不足と、日光照射による体内でのビタミンD形成の不足であり、治療としてビタミンD剤の投与を行う。しかし、なかには普通量のビタミンD剤治療では反応しないビタミンD抵抗性のものもみられ、生理量の100倍以上を要する。なお、最近では先天性代謝異常や腎(じん)性のビタミンD代謝異常などによるものもみられ、胃切除後骨軟化症の報告もある。[永井 隆]

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世界大百科事典内の骨軟化症の言及

【イタイイタイ病】より

…富山県神通川流域の農村地区で,第2次世界大戦後の数年間を中心に,主として更年期以降の経産婦がかかったといわれる骨軟化症様の病気。全身の激痛を訴えることから,この病名が通称として用いられるようになった。…

【骨粗鬆症】より

…骨が粗になることをいうが,骨の化学的組成には異常がなく,単位容積当りの骨質量が減少した状態で,骨全体から骨髄腔などの孔を除いた骨の絶対量の減少といってもよい。骨軟化症は骨組織へのカルシウムの沈着障害であり,骨の絶対量は同じでも類骨(まだ石灰化していない骨基質)の割合が骨に比べて多いもので,骨粗鬆症とは基本的に違う。海綿骨では骨梁の数と幅の減少が生じ,皮質骨(緻密骨)ではその幅が狭くなるとともに海綿化が起こり,骨は粗になる。…

【ビタミン】より

…慢性腎不全患者にみられるビタミンDの欠乏状態は,腎臓における1α水酸化反応が低下し,活性型である1α,25‐(OH)2‐D3が合成されないためにみられるビタミンDの欠乏状態であるといわれている。ビタミンDの欠乏状態として,乳幼児ではくる病,成人では骨軟化症がみられ,軟骨の化骨障害または不全が特徴とされている。そのほかにも,発汗,顔面蒼白,運動障害,筋無力症状,肝脾腫などがみられる。…

※「骨軟化症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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