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ビーダーマイアー Biedermeier

翻訳|Biedermeier

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ビーダーマイアー
Biedermeier

本来戯画的な俗物に与えられた名であるが,小市民的な生活様式に対して用いられ,次いでフランスのアンピール様式の流れをくむ美術工芸の様式の名称となり,続いて 1815~48年の非政治的な時代と当時の文学を表わす言葉となった。同時代の「若きドイツ」派と反対に非政治的態度をとり,質素,素朴,自足的,保守的で,当時の写実主義の一つの傾向とみなされる。北イタリア,スカンジナビア諸国でもみられたが,とりわけ 48年以前の反動的なオーストリアに古典主義やバロックの生残りとして顕著。グリルパルツァーシュティフター,メーリケ,ドロステ=ヒュルスホフらがあげられる。あまり広大な理想を追求せず,内面の自由と節度を尊び,家庭の幸福,友人との親しい交わりなどに人生の意義を見出そうとする傾向がある。シュティフターの『晩夏』などの気分がその典型である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ビーダーマイアー
びーだーまいあー
Biedermeier

1815年から48年までの復古期のドイツとオーストリアでの市民の生活様式と生活感情の名称。初めはL・アイヒロットが発表した『シュワーベン牧師ゴットリープ・ビーダーマイアーの詩集』(1850)に由来する嘲笑(ちょうしょう)的な呼称で「心地よい愚直さ」を身上とした。1930年代に文学史概念としてシュティフター、メーリケ、ドロステ・ヒュルスホフ、グリルパルツァーらに適用され、「若きドイツ」派と対比された。とくに室内装飾や優美で軽快な家具のスタイルとして定着し、絵画の様式のほうでもR・リヒター、M・シュビント、バルトミューラーらに適用され、内向的な笑いを示すシュピッツベークがあげられる。
 文学上のビーダーマイアーについては、1930年代にG・バイト、W・ビータック、クルックホーンらによって提唱され、賛否両論を招いた。だが第二次世界大戦直後からシュティフター、メーリケ、ドロステ・ヒュルスホフらの詩人の再評価と呼応して、「復古期」のドイツ文学の視点が導入され、十余年かけて完結されたフリードリヒ・ゼングレ著『ビーダーマイアー期』三巻によって19世紀ドイツ文学史の書き換えが行われ、いわゆる保守的な作家たちと、ハイネ、グラースブレンナー、ネストロイ、プラーテン、ゴットヘルフらが同じ文学史的磁場で把握され、ビーダーマイアーが時代概念として提起され定着している。[宮下健三]
『今井寛・小名木栄三郎・宮下健三他編著『19世紀ドイツ文学の展開』(1981・郁文堂)』

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