フウセンカズラ(英語表記)balloon vine
Cardiospermum halicacabum L.

改訂新版 世界大百科事典 「フウセンカズラ」の意味・わかりやすい解説

フウセンカズラ
balloon vine
Cardiospermum halicacabum L.

世界中の熱帯亜熱帯に分布しているムクロジ科のつる性多年草。花のあとに風船のようにふくらんだ果実がたくさんなり下がるので,興味をもたれる。つるは3mにものび,多数の枝を打つ。花は腋生(えきせい)の細長い分枝した花柄につき,下部の小花柄が1対の巻きひげとなって他物にからみつく。花は白色で小さいが,花が終わるとたちまち果実が大きくなる。開花は7月,果実は8月に熟し始める。果実は3稜のある球形蒴果(さくか)で中空,指で押せば音をたてて破裂する。種子は1果に3個あり,黒熟する。種子の背面は黒色,腹面はハート形の白色部で占められる。英名のheart peaやheart seedはその意味。

 種まきは4月。露地では直まきがよく,支柱を与えるかフェンスなどにからませる。鉢植えでは行灯仕立てとするが,用土は赤玉土。みじんをふるい捨てて,腐葉土を3割混入しておく。肥料は固形の化学肥料を表土に混入しておけばよい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フウセンカズラ」の意味・わかりやすい解説

フウセンカズラ
ふうせんかずら
balloon vine
[学] Cardiospermum halicacabum L.

ムクロジ科(APG分類:ムクロジ科)のつる性一年草。北アメリカ南部原産。茎は細く、枝分れし、巻きひげではい登り、高さ3メートルになる。葉は長さ5~10センチメートルの2回3出複葉で、小葉は3深裂した3出複葉。花は7月ころ、葉腋(ようえき)から出た細長い花柄に枝分れしてつき、下部の小花柄が1対の巻きひげとなる。花は白色の径5ミリメートル前後で目だたないが、果実は急に大きくなり、径3センチメートルで3稜(りょう)のある緑色の風船形となってぶら下がる。名は、この果実の形に由来し、英名のバルーン・バインは風船形の果実をつけるつる植物の意味で、和名も同様である。垣根鉢植えに利用される。種子播(ま)きは4月下旬から5月上旬にする。

[植村猶行 2020年9月17日]


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百科事典マイペディア 「フウセンカズラ」の意味・わかりやすい解説

フウセンカズラ

熱帯に広く分布するムクロジ科のつる性多年草。紙風船のようにふくらんだ果実がおもしろいので,鉢植・垣根・切花用に,春まきの一年草として栽培される。葉は2回羽状または3出複葉で,花は白色で小さく,目立たない。8〜11月につく【さく】果(さくか)は径2.5cmほどの3稜のある球形で,丸く黒い種子には白いハート形の模様がある。

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