ふう(読み)フウ

デジタル大辞泉 「ふう」の意味・読み・例文・類語

ふう

[感]相手の話に感心したり、あきれたりしたときに発する語。
「―、お客とか」〈滑・浮世風呂・二〉

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精選版 日本国語大辞典 「ふう」の意味・読み・例文・類語

ふう

  1. 〘 副詞 〙 ( 多く「と」を伴って用いる )
  2. ふうっと
    1. [初出の実例]「風のふうとふく、如何」(出典:名語記(1275)五)
  3. ふうっと
    1. [初出の実例]「女の影がふうと現はれた」(出典:草枕(1906)〈夏目漱石〉三)

ふう

  1. 〘 感動詞 〙 他人の話に軽く応じる時、また、感心したり、あきれたりした時にいうことば。ふん。
    1. [初出の実例]「フウ。わごりょの形(なり)を最前からつくづくと見るに」(出典:虎寛本狂言・宗論(室町末‐近世初))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ふう」の意味・わかりやすい解説

フウ
ふう / 楓
[学] Liquidambar formosana Hance

マンサク科(APG分類:フウ科)の落葉高木。高さ20~40メートル。樹皮は若木では灰褐色で平滑、老木では細かく割れ、樹脂芳香がある。葉は互生し、3中裂して先はとがり、長さ7~12センチメートル、縁(へり)に浅く切れ込む鋸歯(きょし)がある。秋、黄葉または紅葉する。雌雄同株。4月に開花する。雄花序は頭状でさらに総状に集まり、雌花序は頭状に単生する。花には萼片(がくへん)、花弁ともにない。蒴果(さくか)は多数集まって集合果となり、球形で径約2.5センチメートル、細長い花柱が刺(とげ)状に残り、10月に裂開する。中国大陸中南部、台湾原産で、日本には1727年(享保12)ころ渡来し、当時のものが皇居内に残っている。近縁モミジバフウL. styraciflua L.は北アメリカ、メキシコ、グアテマラ原産の落葉高木で、樹皮は溝が深く、葉は掌状に5~7裂する。ともに公園樹、街路樹とする。繁殖は実生(みしょう)による。

小林義雄 2020年5月19日]

文化史

『古事記』に湯津楓(ゆつかつら)、『万葉集』に若楓(わかかつら)の表現がみられ、また『和名抄(わみょうしょう)』で楓に乎加豆良(おかつら)(雄カツラ)をあてているように、平安時代までは、楓の字はカツラ科(APG分類:カツラ科)のカツラの1種と思われていた。それ以降、楓はカエデ科(APG分類:ムクロジ科)のカエデとされ、この当て字は現代まで続いている。フウが中国からもたらされたのは、平賀源内の『物類品隲(ぶつるいひんしつ)』(1763)によれば、享保(きょうほう)年間(1716~1736)で、正確な図も添えられているが、「絶えてしまった」との記述がある。なお、江戸時代に中国から導入された唐楓(とうふう)は今日のトウカエデ(ムクロジ科カエデ属)である。

 中国では古くは宮庭に好んで栽培された木で、『説文解字(せつもんかいじ)』(100ころ)には漢の宮殿中に多く植えられたと書かれており、陸佃(りくでん)(1042―1102)の『埤雅(いが)』は、昔、王の住む所はフウとエンジュで覆われていたと述べている。王瓘(おうかん)の『軒轅本紀(けんえんほんぎ)』は、黄帝(こうてい)(中国古代の伝説上の皇帝)が豪族の蚩尤(しゆう)を殺し、投げ捨てた武器からフウが生じたとする伝説を載せている。

[湯浅浩史 2020年5月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「ふう」の意味・わかりやすい解説

フウ
Chinese sweet gum
Liquidambar formosana Hance

葉が掌状に3裂する中国原産のマンサク科の落葉高木で,日本では街路樹や公園樹として植えられる。漢名は楓香樹。幹は直立し,高さ40mにもなる。当年枝に軟毛がある。葉は10cmほどの柄で互生し,直径7~15cm,基部は心臓形,3中裂し裂片は卵状三角形で長くとがる。秋に紅紫色に色づく。春,雌雄の花が別々に球形の頭状花序をなして同じ株に咲く。雄花序はさらに総状花序となるが,雌花序は長い柄で単生する。花には花弁がなく,雌花のめしべは長さ1cmほどの花柱が果時まで残る。秋に径2.5~4.5cmの球形の集合果が垂れ,25~30個の蒴果(さくか)からなる。各蒴果は長い翼のある種子1~2個を入れる。中国の黄河以南広東・四川省までと台湾に分布し,平原や丘陵にはえる。幹の樹脂(楓香脂(ふうこうし))は漢方で解毒,止痛,止血あるいは結核などの薬として用いられる。江戸時代(1727)に長崎に初めて渡来したといわれる。日本で〈楓〉をカエデと読むのはそれ以前の混同によるものらしい。

 フウ属Liquidambarは北アメリカにもあり,その一つモミジバフウL.styraciflua L.(英名sweet gum)はやはり街路樹として植えられ,東京上野公園には大木がある。葉が掌状に5~7裂し,秋の紅葉が美しい。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ふう」の意味・わかりやすい解説

フウ(楓)
フウ
Liquidambar formosana

マンサク科の落葉高木。台湾および海南島に自生し,中国を経て江戸時代に日本へ伝えられ,観賞用として庭園に植えられている。幹は高さ 20mに達し,葉は長い柄があって互生し,掌状に3裂して,裂片の先は鋭くとがる。両面とも無毛で,秋にはやや紅葉する。春に,新葉とともに淡黄褐色で無花被の花をつける。雌雄異花で,雄花は総状に,雌花は単生する。楓香脂と呼ばれる芳香のある樹脂は香料として蘇合香の代りに用いられる。一見カエデ類に似ているが葉が対生しないこと,果実が球状になる点でまったく異なる。同属の植物は北アメリカにもあり,その1種アメリカフウ (モミジバフウ L. styraciflua) は,近頃日本でも街路樹によく植えられる。

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百科事典マイペディア 「ふう」の意味・わかりやすい解説

フウ

マンサク科の落葉高木。中国,台湾原産で,日本へは享保年間に渡来,庭や公園などに植えられる。葉は掌状に3裂し裂片は先がとがり,縁には鋸歯(きょし)がある。雌雄同株。3〜4月,雄花序,雌花序ともに球形で,淡黄緑色。花被はない。果実は球形の集合果となり,10〜11月成熟。近縁の北米原産のモミジバフウが街路樹として植えられる。

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世界大百科事典(旧版)内のふうの言及

【カエデ(楓)】より

…モミジともいうが,これは紅葉するという意味の〈もみず〉からきており,秋に紅葉する植物の代表であるカエデ類を指すようになった。カエデは漢字でよく楓の字があてられるが,中国で楓とはマンサク科のフウのことで,カエデ類はふつう槭という。フウは日本には自生しないが,葉形がややカエデ類に似ているので,両者を混同したのであろう。…

【カメムシ(亀虫∥椿象)】より

…以上のうちクチブトカメムシ亜科だけが食虫性で,口吻が太く,他の昆虫の成・幼虫を攻撃し吸食する。 日本での古名はホウまたはフウで,ホウズキという植物は〈ホウ〉がよくつくのでこの名がついたといわれる。若虫も成虫も臭腺開孔部から臭気の強い油状の液を分泌するので,俗にクサガメ,ヘクサムシ,ヘッピリムシなどと呼ばれる。…

※「ふう」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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