トウカエデ(読み)とうかえで

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トウカエデ」の意味・わかりやすい解説

トウカエデ
とうかえで / 唐楓
[学] Acer buergerianum Miq.

カエデ科(APG分類:ムクロジ科)の落葉中高木。幹は凹凸が著しく、樹皮が薄片状にはげる。葉は対生する。葉身は長さ3~8センチメートルで上方が3裂し、縁(へり)に粗い鋸歯(きょし)があるが、成葉では葉の切れ込みが浅く、鋸歯が少ないか全縁になる。葉裏は白色を帯びる。冬芽の鱗片(りんぺん)は9~13対。雌雄同株。花は小さく、円錐(えんすい)花序に雄花雌花が雑居する。花弁は5枚、萼片(がくへん)は5枚、雄しべは8本内外。果実は2翼があり、秋に熟す。中国南東部原産。じょうぶで大気汚染にも強く、紅葉するので、都市の街路樹に多用される。

 台湾に変種タイワントウカエデがあり、葉の切れ込みは浅いか無裂で、これを日本ではミヤサマカエデとよび、盆栽などにする。中国名は三角楓(さんかくふう)で、これは葉の裂片が三角形のためである。

緒方 健 2020年9月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トウカエデ」の意味・わかりやすい解説

トウカエデ
Acer buergerianum

カエデ科の落葉高木。中国原産で観賞用として庭園などで栽植され,また都会公園や街路樹としてよく植えられている。対生する葉の上部は浅く3裂し,裂片は全縁で若いときは白毛を有するが,のちに無毛となる。春に,散房状に淡黄色の小花をつける。果実は翼をもち,翼はほとんど平行に開く。秋に美しく紅葉する。和名は中国から伝えられたことによる。

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