フェード・アウト(読み)ふぇーどあうと(英語表記)fade out

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェード・アウト」の意味・わかりやすい解説

フェード・アウト
ふぇーどあうと
fade out

もともとは映像や音響がしだいに消えうせていくことをいうが、それから転じて、発展途上国に直接投資をした企業が、保有株式を漸進的、段階的に現地に移し、経営支配権を譲渡することを意味する。先進国企業の途上国への直接投資は、資金提供、技術移転、雇用創出などに役だつメリットもあるが、一方利潤本国送金などをめぐって途上国の経済ナショナリズムと対立しやすい。そこで経済ナショナリズムが急激な国有化に結び付かないよう、あらかじめ進出企業と現地側との利害調整を行い、操業開始後ある一定期間内(普通15~20年)に段階的に出資比率を引き下げて現地側に経営を移譲するが、この期間内では進出企業は完全あるいは過半数所有を認められ、利潤の本国送金もできるというものである。しかし、フェード・アウト規制は多国籍企業の長期的な海外経営戦略とかならずしも両立しないため、この条項をもつ途上国へ直接投資をするのをためらうという事態もおこっている。

[秋山憲治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フェード・アウト」の意味・わかりやすい解説

フェード・アウト
fade-out

外資導入による利益の獲得と資本の現地化という受入国側の要請を同時に満たすものとして 1960年代末に案出された直接投資の一方式。発展途上諸国におけるナショナリズムの高揚とともに,直接投資が受入国で引起すさまざまな摩擦を避けるためとられるもので,その方法は直接投資を行う側の企業と受入国政府があらかじめ取決めを行い,一定期間外国資本による完全ないしは過半数株式保有と経営支配権の保持ならびに本国に対する利益送金を認めたのち,取決めに基づいて持株と経営権を受入国政府または現地民間人に段階的に移譲していくというもの。この方式を意図的に導入しようという試みに,69年 10月のカルタヘナ協定に基づくアンデス共同市場 ANCOM加盟国による共通外資規制がある。

フェード・アウト

溶暗」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディア 「フェード・アウト」の意味・わかりやすい解説

フェード・アウト

映画用語。画面が次第に暗くなり,真暗に消えてしまう手法。逆に,画面が真暗から次第に普通の明るさにあらわれてくることを〈フェード・インfade in〉という。音量の同様な増減にも用いる。
→関連項目オーバーラップ

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