フジ(藤)(読み)フジ(英語表記)Wisteria floribunda; wisteria

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

フジ(藤)
フジ
Wisteria floribunda; wisteria

マメ科のつる性落葉低木で,ノダフジともいう。北海道を除く日本各地の山野に広く分布し,観賞用としても古くから庭園などで栽培されている。幹はつる状に著しく長く伸び,右巻きに他物にからみつく。葉は柄のある奇数羽状複葉で,4~9対の卵形ないし卵状長楕円形の小葉から成り,葉質は薄く両面にわずかに毛がある。春に,枝先に長さ 20~40cmもある総状花序を多数垂下し,紫色の蝶形花を基部から次々に開く。果実の莢は細毛でおおわれている。花色が淡紅色のアカバナフジ,白色のシロバナフジ,重弁花のヤエフジなどがある。多くは棚づくりにして栽培される。つるはじょうぶで,物を縛ったり,籠材に利用され,種子は食用にすることもある。おもに西日本の山地に自生する近縁種ヤマフジ (山藤) は葉の小葉の数が1~2対少く,また花序も 10~20cmと短く,花はほぼ同時に開花して,フジのように順次に咲くことはない。茎が左巻きにからむ点もフジとは逆である。

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百科事典マイペディアの解説

フジ(藤)【フジ】

マメ科のつる性落葉樹,ときに非常に大型になる。日本産のフジ属にはフジ(ノダフジとも)とヤマフジの2種があり,一般には両種をフジと総称。ノダフジは本州〜九州の低山地や平地にはえ,茎は長くのびて他物にからむ。葉は奇数羽状複葉で,小葉は5〜9対,卵形で薄く,両面に毛がある。4〜5月,下垂する長い総状花序を出し,多数の蝶(ちょう)形花を開く。花は径1〜2cm,藤色,紫色または淡紅色。豆果は大型で平たく,10月に熟す。埼玉県春日部市牛島のものは特別天然記念物。観賞用として古くから植えられ,シロバナフジ,ヤエフジ,アケボノフジなどの園芸品種がある。ヤマフジは近畿〜九州の山野にはえる。茎は巻き方が逆で,小葉は4〜6対,やや厚く,裏面には毛が多い。花序はやや短く,紫色の蝶形花は大きい。シロバナヤマフジ,ヤエヤマフジなどの園芸品種がある。ともにつるを編んで縄,かごなどとする。

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世界大百科事典 第2版の解説

フジ【フジ(藤) Japanese wistaria】

日本人の生活や伝統文化に密接な関連をもつ日本固有種で,マメ科の落葉つる性木本(イラスト)。ノダフジ(野田藤)ともいう。岩手,埼玉,山梨,静岡,福岡などの各県には天然記念物に指定されているものがある。茎は初め草質,生長が早く,長く伸び,右巻きに他物に巻きつく。後に木質化して老大し,径数十cmに達する。観賞用に栽培されるものは藤棚として整枝される。葉は大きく,9~19枚の奇数小葉をつける羽状複葉で,長さ20~30cm。

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世界大百科事典内のフジ(藤)の言及

【挿頭】より

…古く男女が自然植物の花や枝葉をめで,これを頭髪にさして飾りとした風習があったが,のち中国から伝わった冠の飾りにつけた髻華(うず)と習合して,ながく年中行事のうちの一部にこの風習が伝えられた。そのおもなものは大嘗会(だいじようえ),賀茂や石清水の臨時祭(使いや舞人,陪従など),政治的な行事では列見や定考(こうじよう)のとき,また踏歌節会(とうかのせちえ)のときなどで,さす花にはフジ,サクラ,ヤマブキ,リンドウ,キク,ササ,カツラなどがあった。これらは,さす人や行事によって種類がちがい,フジの花は大嘗会のとき天皇および祭使が,また列見のとき大臣などが巾子の左にさす。…

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