フラン(英語表記)furan

  • franc

翻訳|furan

世界大百科事典 第2版の解説

フランス,およびスイスベルギールクセンブルクなどの通貨単位。1フランは100サンチームcentime。フランといえば,通常フランスの法定貨幣(フランス・フランfranc française)を考えやすいが,スイス(スイス・フラン),ベルギー(ベルギー・フラン)などでもその定貨幣はフランと名づけられている。これらの国々の法定貨幣の呼称がフランで共通しているのは,1865年のパリ協約でフランス,ベルギー,スイス,イタリアの4ヵ国(後にスペインなどが加盟)によるラテン貨幣同盟Union monétaire latineが締結され,フラン金貨,フラン銀貨を無制限法貨にしたことによる。
1880年マツ科の木の乾留物からはじめて得られた無色,クロロホルム様の臭気をもつ液体。沸点32℃。木材の乾留物(木精)にも含まれているが,これらは乾留の際に糖類等の分解によって生じたもので,もともと木材中に含まれているものではない。工業的にはフルフラール化して得られるピロ粘液酸(2‐フランカルボン酸)の脱炭酸またはフルフラールのアルカリ処理でつくる。チオフェンなどとともに代表的な芳香族複素環式化合物であるが,芳香族性は小さく(共鳴エネルギー23kcal/mol),ジエンとしての性質が強く,ディールス=アルダー反応(ジエン合成)を行う。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

マツの木から得られる油中に存在し,フランカルボン酸の脱炭酸により工業的に製造される。無色の液体,沸点 31.3℃で,エーテル臭が強い。水には溶けにくいが,アルコール,エーテル,アセトンには完全に溶ける。アルカリに安定で,酸に対しては分解して樹脂状の物質に変化する。実験室的にはフランカルボン酸の熱分解によって得られるほか,フルフラールと水蒸気を適当な触媒上を通すことによって大量に生産される。多重結合化合物とディールス=アルダー反応を行う。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (furan) 無色の液体。化学式は C4H4O 松材の乾留物から得られる。フルフラン。

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化学辞典 第2版の解説

C4H4O(68.07).マツの木から得られるタール中に存在する.フルフラールを酸化すると得られる2-フランカルボン酸を,加熱脱炭酸すると得られる.クロロホルム臭をもつ無色の液体.沸点32 ℃(10 kPa).0.9371.1.4216.エタノール,エーテル,石油エーテルに易溶,水に微溶.アルカリには安定であるが,無機酸では樹脂化する.マツ材-塩酸反応で緑色を呈する.フラン誘導体は植物の精油成分として存在するものが多い.フランは芳香族性が比較的小さく,ジエン性が高いため,ディールス-アルダー反応を起こしやすい.ナトリウムアマルガムでは還元されないが,ニッケル触媒による水素添加により,テトラヒドロフランを生成する.カチオノイド試薬による置換反応はα位で起こりやすい.脱水剤の存在下にアンモニアあるいは硫化水素と加熱すると,それぞれピロール,チオフェンを生成する.蒸気は麻酔作用があるので注意を要する.ラットの致死濃度は30400 ppm.また,エーテルと同様に過酸化物を形成するので,蒸留には注意が必要である.[CAS 110-00-9]

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