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ブドウ

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栄養・生化学辞典の解説

ブドウ

 [Vitis spp.].クロウメモドキ目ブドウ科ブドウ属のつる性落葉常緑樹.果実を生食,ブドウ酒の醸造などに用いる.

出典|朝倉書店
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食の医学館の解説

ぶどう【ブドウ】

《栄養と働き》
 ブドウは5000年以上前にカスピ海の南側で栽培がはじまったといわれる、世界最古のくだものです。日本でも平安末期にはすでに栽培されていました。現在は世界中でもっとも多く栽培されている果実で、総生産量は約6000万t、その8割はワインに加工されています。
〈皮は血栓ができるのを防ぎ、種は悪玉コレステロールを減らす〉
○栄養成分としての働き
 ブドウは糖質が多く、ブドウ糖と果糖がそれぞれ半分を占めています。糖質はブドウ糖にかわって、はじめてエネルギーとして活用されます。果糖もブドウ糖に分解されやすく、しかも甘みがもっとも強い糖です。くだもののなかで、100gあたりのブドウ糖と果糖の含有量がいちばん多いのがブドウです。このことから、ブドウが即効性のある、すぐれたエネルギー源となり、疲労回復に抜群の効果をもたらすわけです。
 ブドウには酒石酸(しゅせきさん)などの有機酸も含まれています。有機酸がコレステロール値を下げることは知られていますが、酒石酸は結腸(けっちょう)にまで達し、腸内を弱酸性にするので、結腸がんを防ぐと考えられています。
 ブドウの皮や種子には抗酸化物質や血栓(けっせん)ができるのを防ぐポリフェノールが含まれ、脳卒中(のうそっちゅう)や心臓病予防に役立ちます。赤ワインが体にいいのは、このためです。また、レスベラトロールという強い発がん抑制作用のある物質が含まれており、とくにデラウェア種に多いとのことです。渋みのもとのタンニンには、ウイルスを殺す作用があると考えられています。
 種から絞った油にはリノール酸オレイン酸が含まれ、血中の悪玉コレステロールを減らして動脈硬化を防ぎます。
○漢方的な働き
 ブドウは気力を補い、血行をよくし、尿の出をよくするくだもので、肝機能、腎機能(じんきのう)を高め、むくみを解消するとされています。また根や蔓(つる)は、筋肉の痛みや吐(は)き気(け)を治すのに用いられています。
《調理のポイント
 日本では生産量の9割が生食用です。選ぶときは皮に張りがあって色が濃く、白い粉をふいているものを。ブドウは枝に近い側がもっとも甘いので、味見をする場合は房の先端を食べて判断します。

出典|小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ブドウ
ぶどう / 葡萄
grape
[学]Vitis

ブドウ科に属する落葉性つる植物巻きひげがあり、種によって連続または断続的に葉と対生する。雌雄異株または両性株で、5~6月に房状の花をつける。花弁は5枚ほどで緑色、上部が融合しキャップ状となり、開花が始まると、帽子が脱げるように脱落する。雌株は、子房上位の雌しべと、機能がない花粉をもつ5本ほどの雄しべからなり、雌しべと雄しべの間には花盤(かばん)がある。雄株は、機能がある花粉をもった雄しべをつけるが、雌しべを欠く。両性株は、雌しべ、雄しべともに機能がある。果実は液果で8~10月に熟す。果皮は濃紫黒、紅赤、黄緑色など変異に富む。果形も球、楕円(だえん)、紡錘形などがあり、大小の差が大きい。[飯塚宗夫]

系統と品種

ブドウ属には主要な種60余がある。主分布は中央アジア、東アジア、北アメリカで、日本にも野生種がある。栽培種ではヨーロッパ系とアメリカ系が重要となる。一般に栽培種は雌雄両性で、染色体数は体細胞で38からなり、各系統間では相互に交雑可能で、子孫を残す雑種ができる。
(1)ヨーロッパ系 ヨーロッパブドウVitis vinifera L.は中央アジア起源で、野生種は今日でもアフガニスタン北部から黒海、カスピ海の南部まで分布する。紀元前5000~前4000年にこの地方で栽培化されたブドウが東西に伝わり、伝播(でんぱ)の過程で南ヨーロッパ系、中央アジア系、東アジア系などの栽培型に分化し、今日までに総計1万余品種ができた。ヨーロッパ系は、基本的には多雨多湿を嫌うが、東アジア系は多年にわたる研究で日本の屋外圃場(ほじょう)でも栽培可能となった。南ヨーロッパ系、中央アジア系は果皮が薄く果肉と離れにくいので、欧米では皮のまま食べる。炭疽病、べと病、うどんこ病、晩腐(おそぐされ)病などに弱く、雨による裂果も多いので生育期には雨を避けるのがよい。日本ではガラス室栽培が主体で、9月ごろに成熟して黄緑色となるマスカット・オブ・アレキサンドリアがもっとも多く、わずかにグロー・コールマンその他が栽培されている。種なし品種で名高いトムソン・シードレス(別名スルタナ)は、カリフォルニアが最大の産地である。日本での露地栽培は裂果が多く、栽培は不適である。東アジア系の品種では、露地栽培ができ、10月中旬に熟す暗紅色果の多収性品種である甲州(こうしゅう)がもっとも名高い。このほか、果房の長い甲州三尺、黄緑色に熟し、やや大粒のマスカット香をもつネオマスカットなどがある。
(2)アメリカ系 メキシコを除く北アメリカには主要な28種が原生し、食用、台木として貢献した。ラブルスカV. labrusca L.は食用品種育成の基本種で、アメリカ系の中心的な種である。アメリカ系、あるいはこれとヨーロッパ系との雑種は、比較的雨や寒さにも強く、日本でも多く栽培されている。なかでもデラウェアは、ジベレリン処理の種なしブドウとして広く普及した。このほか、アメリカ南部を原生地とするマスカディンブドウmuscadine grapeがアメリカ南部の暖地でわずかに栽培される。この仲間には3種がありMuscadinia属として扱う場合もある。いずれも染色体数は2n=2x=40である。なかでもロートンディフォリアV. rotundifolia Michx.がよく知られ、生育が旺盛(おうせい)で、1樹で150平方メートルとなる。果皮は紫黒、ルビー様赤、黄色などがあり、厚皮で、孤臭(こしゅう)というブドウ臭さが強い。
(3)日本の野生種 北海道東部に分布するマンシュウヤマブドウV. amurensis Rupr.、北海道西部から本州、四国、九州の山野に分布するヤマブドウV. coignetiae Pulliat、本州、四国、九州の山野に多いエビヅルV. tsunbergii Sieb. et Zucc.、サンカクヅル(別名ギョウジャノミズ)V. flexuosa Thunb.、本州中部地方以西から四国、九州の暖地でみられるアマヅルV. saccharifera Makinoなどがある。いずれも種内変異は大きく、種間雑種もみられる。これらの野生種のもつ耐寒・耐病性などが育種上注目されている。とくにマンシュウヤマブドウは北海道北東部でワインに利用されるほか、中国東北地方での利用も多く、注目されている。
(4)倍数性 野生種は二倍性で、栽培種も二倍性品種が多い。二倍性品種群に比べ、大粒果をつける四倍性品種群(2n=4x=76)もある。よく知られる巨峰(きょほう)はその代表的品種で、つぼみや花が脱落する花ぶるいが多いという欠点をもつが、紫黒色に熟し、大粒で種子も少なく、甘味に富む。ピオーネも四倍性品種で、果皮は濃紫黒色、巨峰より大粒で、品質もよい。
(5)種なしブドウ 開花2週間前のつぼみのついた房を、成長調節物質の一種であるジベレリンの100ppm水溶液に浸漬(しんせき)処理すると、種なし性が促進される。それから開花後約10日に、前回同様の処理を行うと、各果粒が肥大成長する。処理液には湿潤浸透性剤(エアロールOPの100ppmなど)を加えるとよい。処理された種なしブドウは熟期が早まり、糖度も増して商品性が高まる。キャンベル・アーリーは紫黒色の中粒の果粒をつけ、8月中旬から下旬に熟す。マスカット・ベリーAは、ベイリーとマスカット・ハンブルクの雑種から選抜された紫黒色果粒の中生(なかて)種である。栽培は容易で、生食、醸造兼用種である。種なし品種にはほかにヒムロッドなどがあるが、品質は悪い。[飯塚宗夫]

起源と伝播

ヨーロッパ系は、ヨーロッパブドウの原産地である近東や中央アジアで、新石器時代に野生種の利用から始まった。前2000~前1500年ごろにメソポタミア地方で栄えたセム人や、中央アジアのアーリア人によって栽培が進み、ワインの醸造も始められた。アラビア半島北部からエジプトには前3000年、ギリシアには前1000年、インドには前620年ごろに伝わった。中国へは、一説に、漢の武帝のころ、西域(せいいき)に派遣された張騫(ちょうけん)あるいはその関係者が持ち帰ったといわれている。このような伝播と栽培利用の進歩につれ、諸系統が分化した。北アメリカへは主として16世紀に伝わり、17世紀に栽培が盛んになって、在来のアメリカブドウとの雑種も多くつくられた。今日ではヨーロッパ系の品種がカリフォルニアで大産地を形成している。
 またアメリカ系ブドウは新大陸「発見」後に他地域に伝わった。ヨーロッパへは、根や葉に虫こぶをつくり大害をもたらす害虫フィロキセラとともに導入され、在来のヨーロッパ系ブドウにも大害を及ぼした。のちにフィロキセラ抵抗性台木が育成され、これに接木(つぎき)した苗を用いることによって、問題は解決された。
 日本へのヨーロッパ系ブドウの伝来は中国を経て行われた。1186年(文治2)甲斐国(かいのくに)勝沼(かつぬま)地方(山梨県甲州市)の雨宮勘解由(あめのみやかげゆ)によってその系統である甲州ブドウがみいだされ、それは鎌倉初期から栽培されたという。ブドウの呼び名には古くはオオエビカツラ(『本草和名(ほんぞうわみょう)』)、エビカツラ(『和名抄(わみょうしょう)』)などがあったが、栽培ブドウとの関係は明らかではない。元和(げんな)年間(1615~1624)の初めに棚造り栽培法が案出され、以降、今日の伝統的な栽培法となっている。
 明治になって多数のヨーロッパ系ブドウが導入されたが、多雨の日本の気候に適さず、温室栽培される程度であった。今日のブドウ栽培の主流となったのはアメリカ系ブドウで、明治初期に導入されて以降、多数の改良品種がつくられている。[飯塚宗夫]

栽培

繁殖は自根の挿木苗も可能であるが、フィロキセラの汚染地では抵抗性台木を用いた接木がよい。気温は冬で零下20℃以上、雨量は生育期間中に1100ミリメートル以下、排水のよい土壌なら日本全土で栽培できる。欧米では垣根や棒仕立てが多いが、日本では棚仕立てが普通である。剪定(せんてい)、整枝(せいし)を行い、樹姿を整えながら結果調整をする。品種や個体によって程度は異なるが、冬季に6~7芽を残して枝を切る長梢(ちょうしょう)剪定と、2~3芽を残す短梢剪定を組み合わせて行い、生育期には芽かき、つぼみ切り、摘心、誘引などを行う。開花期には花房数を調節し、大きな果房の品種では花穂を切り詰め、果粒の密な品種では果粒や小花房を間引きし、必要があれば袋かけや笠(かさ)かけを行って品質の向上を図る。施肥は主として冬期に行い、窒素、リン酸、カリ、石灰、マグネシウムなどを施す。有機質肥料の効果は高い。病気には黒痘(こくとう)病、晩腐(おそぐされ)病、うどんこ病、べと病、灰色かび病、さび病などがあり、害虫にはダニ類、スリップス、ブドウスカシバ、コガネムシ類、ブドウトラカミキリ、ヤガ類などがある。防除は冬期に展着剤加用の石灰硫黄(いおう)合剤の20倍液と「クロン」500倍液を、開花前に「サリチオン乳剤」1000倍液、「ビスダイセン」1000倍液を、落花10日後から10日おきに4―2式あるいは4―4式のボルドー液を数回散布する。害虫類には低毒性の有機リン剤1500倍液を散布し、ブドウトラカミキリの防除には「トラサイドA乳剤」を11月ごろ散布する。
 1999年(平成11)の日本の栽培面積は2万1800ヘクタール、収穫量は24万2200トンで、果樹中栽培面積では5位を占める。山梨、山形、長野、岡山、福岡の各県や北海道で多く栽培される。世界の生産高は、5739万7000トン(1998)で、ほとんど全世界で栽培されるが、なかでもイタリア、フランス、アメリカなどが多い。[飯塚宗夫]

利用

果実にはブドウ糖のほか、酒石酸(しゅせきさん)、イノシット、ペントザン、タンニン質、ロイシンなどが含まれ、ビタミンB1やCも少量含まれる。生食のほか、干しぶどうとして利用し、ワイン、ジュース、ジャムなどに加工される。干しぶどうは、種なし品種のトムソン・シードレスがもっとも多く利用され、カリフォルニアで多く生産される。そのまま食べることもあるが、多くは菓子やワインの原料に用いられる。ワインは、ブドウの果汁をアルコール発酵させたもので、果皮が桃色か黄緑色に熟したブドウを原料としたものが白ワイン、紫黒色種を果皮をつけたまま原料としたものが赤ワインである。前者にはセミヨン、リースリングが、後者にはカベルネ・ソービニヨン、ピノ・ノワールなどが良質の材料として知られる。ジュースは、よく水洗いした果房から果粒をもぎ取り、それを絞ってつくる。ジュース1リットルに砂糖200グラムを入れ、82℃で110分加熱殺菌し冷蔵するとなおよい。ジャムは、果実1.5キログラムを10分煮たものを、5ミリメートルの粗い布で裏漉(うらご)しし、さらに10分煮て裏漉しする。これを2、3回繰り返し、最後に砂糖1キログラムを加えて煮つめるとできあがる。
 茎は粘り強いので杖(つえ)によく、また飾り柱にもする。ギリシア、トルコ、インドその他ではヨーロッパ系ブドウの若芽、若葉を蔬菜(そさい)として利用する。[飯塚宗夫]

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