マスカット(読み)ますかっと(英語表記)Masqat

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マスカット」の意味・わかりやすい解説

マスカット
Muscat; Masqaṭ

アラビア半島南東部,オマーンの首都。オマーン湾に面する。マスカットの名称は,この国が 1970年までマスカットオマーン Muscat and Omanと呼ばれていたときにも使用されていた。険しい岩山が背後に迫る小半島上に位置する。1508年から 1650年までポルトガルが支配し,交易施設や海軍基地が置かれた。16世紀にポルトガルが築いた二つの要塞が町を見おろし,当時の城壁や城門がいまも残る。19世紀後半にはアラビア半島,イラン,インド,アフリカ東部を結ぶ中継貿易で繁栄し,町の独特な建物がアラブ,ポルトガル,ペルシア,インド,アフリカ,ヨーロッパの近代建築の影響を色濃く伝えている。スルタンの住むインド様式の王宮が海沿いに建つ。ペルシア湾を通る船舶の寄港地。郊外シーブに国際空港がある。人口 1万9891(2010)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マスカット」の意味・わかりやすい解説

マスカット
ますかっと
Masqat

アラビア半島南東部、オマーンの首都。オマーン湾南岸に位置する港湾都市である。人口4万0856(1993センサス)、6万0100(2002推計)。天然の良港で、古代から海上貿易の中心として栄えてきた。16世紀初頭ポルトガル人が占領して、約150年にわたって支配した。18世紀中葉以降、現サイード王朝の首都となった。かつてはアラビア半島で最良の停泊地といわれたが、後背地に恵まれず、内陸との交通が不便なため、現在は近隣のマトラーに貿易、交通上の地位を譲っている。ペルシア湾の入口という戦略的地位を占め、アメリカ空軍がマスカット空港を使用している。港の背後のアハダル山の山麓(さんろく)では、ポルトガル人がもたらしたといわれるマスカット・ブドウが栽培されている。

[高橋和夫]

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