翻訳|proteasome
核をもつ多くの真核生物の細胞内でタンパク質を分解しようと働く、分子量の大きい複合型の酵素。不要になったり、合成がうまくいかなかったり、変性したりしたタンパク質はユビキチンとして目印をつけられる。このユビキチン化されたタンパク質を認識して取り込み分解するのがプロテアソームで、分解産物はふたたびアミノ酸となってリサイクルされる。近年になって、このユビキチン-プロテアソームシステム(分解系)がこうした分解やリサイクルにかかわるほかに、細胞の増殖や分化など、さまざまな生命現象にも直接かかわり、またヒトの体の免疫反応にも関係していることがわかってきた。ヒト以外でも、木の葉が枯れ落ちる、あるいはオタマジャクシがカエルになるときに尾がなくなるなど、あらかじめ設定されたプログラムにそった細胞死(アポトーシス)にも密接に関係している。さらにこの分解系が崩れると、癌(がん)やパーキンソン病およびアルツハイマー病などの神経疾患、自己免疫疾患、感染症などを引き起こすことがわかってきたことから、このシステムはにわかに注目され、プロテアソームの働きを阻害することによって抗癌作用を示す新薬の開発も盛んになっている。
[編集部]
多数のサブユニットからなる巨大なタンパク質分解装置.ATP依存型のものの分子量は2×106 で,沈降定数は26 S(スベドベリ).ユビキチン化されたタンパク質(細胞にとって不都合なタンパク質)をエネルギーを使って分解する.[CAS 140879-24-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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