ペッサリー(英語表記)(Dutch)pessary
diaphragm

デジタル大辞泉 「ペッサリー」の意味・読み・例文・類語

ペッサリー(pessary)

子宮の位置異常を矯正するために膣腔ちつこう上端に装着する器具。避妊用のものもある。子宮栓。

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精選版 日本国語大辞典 「ペッサリー」の意味・読み・例文・類語

ペッサリー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] pessary 「卵形の石」の意 ) 受胎防止用に膣内に挿入する器具。子宮後屈症の矯正にも用いられる。〔モダン用語辞典(1930)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「ペッサリー」の意味・わかりやすい解説

ペッサリー
(Dutch)pessary
diaphragm

鋼鉄製スプリングの環に半球状のゴム膜を張った避妊器具。腟内に挿入し,射精された精子が子宮内にはいるのを防ぐことで避妊を実現する。オランダで考案されたためダッチペッサリーが正称。男性の協力を必要としないため,欧米では避妊を推進した婦人運動家により推奨されて普及した。第2次大戦後日本でも避妊法の一つとして指導されたが,あまり普及せず製造会社もなくなった。

直径が60~80mmとさまざまなサイズがあり,産婦人科医助産婦などに診察を受けサイズを測ってもらい,自分に適したものを選ぶ必要がある。挿入法は,両面に殺精子剤ゼリーを塗布し,左右から親指と中指でおしつぶして人差指をそえて腟内に挿入し前縁を恥骨の後方に押しあげる。方法自体が無害で,性感を損なわず,避妊効果もかなり高いなどの長所があるが,練習を必要とする,性器に指を挿入する必要があるなどの理由で普及していない。
避妊
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペッサリー」の意味・わかりやすい解説

ペッサリー
ぺっさりー
pessary

女性側に使われる避妊用具の一つ。1878年にドイツで発明され、オランダの産婦人科医の創意によって普及し、イギリスに渡ってダッチ・ペッサリーDutch pessaryとよばれた。弾力のある細いピアノ線をコイル状に巻いたものを円形の輪とし、これを縁としてベレー帽のような形に薄いゴム膜を張った器具。腟(ちつ)内に斜めに装着され、膜はおよそ円形に緊張する。こうして精子の子宮内への貫通を防ぐ目的で用いられる。直径が60ミリメートルから85ミリメートルまで2.5ミリメートル差の多種類があるが、70ミリメートル、72.5ミリメートル、75ミリメートルの3種がもっとも多く使われる。指導(医師、助産師、保健師など)を得て、各自にあう寸法のものを選び、自分で性交前に挿入し、射精後数時間装着したのち、抜去する。避妊効果が不十分なので、今日ではあまり利用されない傾向がある。

 なお、受胎防止用以外にも、子宮の位置の異常を矯正し、長期にわたって固定支持する目的で腟内に装着するものは、プラスチック製で、ヒョウタン形あるいは円形の縁どりを有し、ペッサリーまたは矯正環とよばれる。可動性子宮後傾症あるいは子宮や腟の下垂、脱出症の治療法の一つとして用いられることがあるが、利用の機会は減る傾向にある。

[新井正夫]

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百科事典マイペディア 「ペッサリー」の意味・わかりやすい解説

ペッサリー

ペッサールともいう。子宮などの臓器の位置異常の矯正後に正常位置を保持するために用いるものは,リングペッサリーという。また,避妊に使用するものは閉塞(へいそく)ペッサリーという。ドイツの医師メイシンガーによって1885年に発案され,避妊法の研究が進んでいたオランダでは早くから使われていた。サンガーによってアメリカにも紹介され,1923年,アメリカでもペッサリーの製造が始まった。ゴム製で浅い椀形,直径60〜90mm。普通,子宮腟(ちつ)部におおいかぶせ,精子の進入を阻止する。性交後,早く除去すると無効になるので6時間以上は入れておく。避妊ゼリー,クリームなどとの併用が効果的。
→関連項目避妊薬

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペッサリー」の意味・わかりやすい解説

ペッサリー
pessary

避妊具の一つ。精子を子宮に入れないように,丸いばねに薄いゴムを半球状に張ったもの。性交に先立って女性の腟内に挿入して子宮腟部をおおい,精子の大部分を遮断するが,少数は侵入できるので,普通はペッサリーの内外にゼリーを塗って精子の運動性を奪う。挿入するときには,専門家にサイズをはかってもらい,挿入後,ゼリーの使用法についても指導を受ける必要がある。経口避妊薬や IUD (子宮内避妊具) などに比べると現代の女性に受入れられにくい条件が多いため,各国での使用者は激減した。

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世界大百科事典(旧版)内のペッサリーの言及

【避妊】より

… 日本でも,第2次大戦後に急激な人口増加が起こり,希望しない妊娠の中絶による母体の障害が増加したため,政府は1948年に優生保護法(現行母体保護法)を制定して,人工妊娠中絶を合法化するとともに,避妊法の普及を推進した。この結果,家族計画の考え方は広く普及したが,当初から主としてコンドーム,ペッサリー,基礎体温法,オギノ式の使用が重点的に指導され,その影響が続いたため,現在用いられている方法には問題点が多い。1960年代になると,母子保健と人口増加抑制という二つの立場から,避妊の普及は世界的な重要課題となり,生殖生理学の進歩とともに多くの新しい方法が開発された。…

※「ペッサリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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