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ペール・ギュント Peer Gynt

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ペール・ギュント
Peer Gynt

ノルウェーの劇作家 H.J.イプセンの戯曲。5幕。 1867年刊,76年クリスチャニア (現オスロ) で初演。ノルウェー人の偏狭さを風刺した幻想的な韻文劇。ノルウェー民話の伝説的人物ペール・ギュントを主人公に,その無節操,楽天的な生活を描き,最後に彼は失いかけた自己を愛人ソルベーグの愛のなかに見出す。イプセンの求めに応じて E.H.グリーグが作曲した音楽が有名 (『ソルベーグの歌』『アニトラの踊り』など) 。

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百科事典マイペディアの解説

ペール・ギュント

イプセン劇詩。1867年作。ペール・ギュントは没落した地主の子で,大きな夢ばかり追って母や愛人ソルベーグを悲しませている。世界をかけめぐって富をつむが,年老いて帰国の途中難破して無一文になって故郷の山小屋にたどりつき,待ちわびていたソルベーグの腕に抱かれて死ぬ。

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デジタル大辞泉プラスの解説

ペール・ギュント

ノルウェーの作曲家エドヴァルド・グリーグの管弦楽用組曲(1888, 91)。原題《Peer Gynt》。イプセンの同名の戯曲のために作曲された劇付随音楽。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ペール・ギュント
ぺーるぎゅんと
Peer Gynt

ノルウェーの文豪イプセンの五幕詩劇。1867年刊。著者の思想的彷徨(ほうこう)時代の作品。前作『ブラン』(1866)が神の王国を地上に、という主人公の一筋の理想主義的悲劇であるのに対し、この作の主人公ペールはノルウェー山地の伝説的猟師。力も強く才気もあるが、好色でほら吹きで血気に任せ冒険と彷徨を繰り返す移り気な性格として描かれ、前作とは好対照をなす。そのため初めは、ノルウェー人を戯画化しているとしてむしろ不評だったが、現在ではもっとも作者の詩的天分を示す作品とみられている。
 前半3幕はペールの青年時代。彼は、いまは零落している地主未亡人のひとり息子で、大きなことをいいながら酒と喧嘩(けんか)で日を送っていて、かつては自分に気のあった地主の娘イングリにも背かれる。彼女がほかの男と結婚する日、突然ペールが現れて彼女をさらって山に逃れるのが発端。しかしその式場でふとみかけた聖書をもった清純な娘ソールベイのおもかげがぬぐいきれず、イングリを一夜で捨てる。ついでドーブル山地のトロルの王の娘「緑衣の女」に出会い、財宝とトロルの王になるというのに惹(ひ)かれて結婚するが、魔王に人間の品位を最終的に捨てることを強要されるに及んでこれを拒否。山小屋に潜んでいるところへソールベイが訪ねてくるが、「待っていてくれ」と言い置いて瀕死(ひんし)の母のもとに行き、母を葬ったのち、国外に逐電するのが前半。第4幕は、ほぼ20年後のアフリカが舞台。ペールは、アメリカへの奴隷の売り込みなどで大金をつかみ、いまは故郷へ錦(にしき)を飾るべく船出を待っている。しかし連れてきた友人らに船ごと財産を盗まれる。偶然手に入れた豪奢(ごうしゃ)な船で、今度は予言者を気どり、アラビアの族長の娘アニトラを手に入れようとするがこれにも失敗。エジプトに渡りスフィンクスの謎(なぞ)を解いたとして王に担ぎ上げられそうになるが、結局運び込まれた所は、精神科病院だった。第5幕、いまや年老いたペールは故郷に向かい、途中船の難破などにもあうがようやく帰国する。最後には無一物となり、山奥の小屋にたどり着くと、白髪になったソールベイが彼を待っていた。
 日本での上演は1978年(昭和53)俳優座による。古くは茅野蕭々(ちのしょうしょう)、楠山(くすやま)正雄の訳がある。[山室 静]
 この戯曲のための付随音楽は、作者自身の依頼でグリーグによって作曲された。1874年に書き始められ、翌年完成し、劇の上演にあわせて初演された。さりげない作風の小品が多いグリーグには珍しく、音楽は長大で劇的な起伏をもち、編成も独唱・合唱を含む大規模なものである。のちにこれから抜粋して二つの演奏会用組曲がつくられたが、「朝の気分」「アニトラの踊り」「ソルウェイグ(ソールベイ)の歌」などの美しい小品を含むこの組曲は、現在に至るまで高い人気を保っている。[三宅幸夫]
『毛利三弥訳『ペール=ギュント』(『世界文学全集24』所収・1970・講談社)』

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